遠野放浪記 2014.01.12.-13 千里の道 | 真・遠野物語2

真・遠野物語2

この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

鱒沢四社の全てを巡り、俺は次の目的地へ向かうために鱒沢駅に引き返すことにした。

太陽は厚い雲に覆われ、この先まだ空模様はひと波乱ありそうだ。


1


駅へ向かう途中、偶然だが旧江刺街道の始点であった場所を発見した。

2


遠野から江刺の人首(ひとかべ)に至る道である。人首には東北の英雄・阿弖流為の息子である人首丸の伝説が残っており、当地の大森山に立て籠もって最後まで坂上田村麻呂らに対する抵抗を続けたとされている。

3


かつての名も無き英雄たちが歩いた道を、平成の世の雪に埋もれた街を眺めながら俺も歩く。

4

5

6


雪が強くなって来た。集落と集落の間には、鬱蒼とした森と果てしない雪原のみが広がっている。


7

8

9


人気が無い小さな集落にも、生活の気配は感じられる。流水は真冬でも凍り付くことなく、滾々と地底から湧き出し続けている。

10

11


雪は次第に強さを増し、行く先に一抹の不安が募るが、鱒沢の道は不思議と俺を導くように、明るく開けているように見えた。

12


やがて再び猿ヶ石川が見えて来て、俺の鱒沢巡りもひと段落を迎えた。

13

14


この橋を渡ると、見える世界は一変する。

15


釜石線と釜石街道は、冬でも動きを止めることは無く、常に賑やかである。川の向こうの静かな街が、まるで別の世界のように感じられる程に。

16


次の目的地は、釜石線で隣の駅の柏木平。

でも、上りの汽車がやって来るまでにはまだ時間があるので、待合室で昼ごはんにしよう。