遠野放浪記 2014.01.12.-12 お水神様 | 真・遠野物語2

真・遠野物語2

この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

鱒沢の奥の奥、街の姿も消えてしまった場所に、最後の一社が眠っていた。


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雪深い沢を越えたところに、赤い鳥居が見える。

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古い巨木の近くに、お水神様が祀られているのだ。

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この沢の水は綺麗な湧水で、集落に迷い込んだ旅人の喉を潤したり、水道が引かれる以前は地域の飲用水として重要な役割を担って来た。その後水道設備が整備された際に、集落で湧水に感謝する水神碑を祀ったのが、お水神様の始まりだという。

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現在は、水道施設も役割を終え、静かな眠りに就いている。

その跡地は雪に埋もれて発見出来なかったが、巨木の根元に御稲荷様の祠が祀られているのを見付けることが出来た。


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月舘稲荷と銘打たれている。同じ名前が一戸に地名として残っているが、関係はあるのだろうか。


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御稲荷様はしばしば水神と同一視され、達曽部の稲荷穴など、綺麗な水が湧くところに祀られることもある。沢水に対してか、もしかすると多くの街の人々を助けた水道施設に対する感謝も込められているのかもしれない。

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お水神様を後にする参道からは、集落が見渡せた。

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数軒の家々が寄り添って暮らす小さな街だが、雪が溶けて春になれば、力強い命の鼓動に溢れるだろう。そんな季節の移り変わりを、沢は流れを止めることなく、これからも見守って行くだろう。

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さて、これで無事に鱒沢四社全てを巡ることが出来た。この後も行きたいところはあるが、ひとまず鱒沢駅まで引き返すことにしよう。