遠野放浪記 2014.01.12.-14 新しい嵐の中へ | 真・遠野物語2

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この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

深い雪に覆われた街を出て、俺は再び鱒沢駅に戻って来た。


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ホームに人の姿は無く、すぐ側に釜石街道が走っているというのに、駅は静寂に包まれている。

最低限の除雪はされているが、雪に埋もれたまま時間が止まってしまったかのような駅の様子だ。

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上りの汽車が来るまでに一時間強あるので、待合室で昼ごはんを食べながら待つことにする。

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今回は御馴染みの缶つまシリーズからムール貝の白ワイン蒸し風だ。相変わらずそのクオリティに外れは無い。ごはんが冷え切っていたことを割り引いても、野に分け入るような旅をする中でいただく昼食としては、充分な贅沢だと言えるだろう。

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やがてやって来た汽車に乗り、俺はひとつ隣の駅、柏木平駅に降り立った。

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柏木平は鱒沢と比べて峠に近いため、天候も変わり易いのだろうか。

俺が訪れた時間帯には、横殴りの吹雪に襲われていた。

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駅周辺は鱒沢以上に寂しく、数軒の家が駅前の小道に並んでいるだけだ。釜石街道からも少し離れた場所にあり、汽車が来ない時間帯には人の気配すら感じられない。

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この柏木平地区に、今日最後の目的地である遠野遺産が眠っているのだ。

これまでに何度か訪れているものの、深い縁がある土地ではなかった。そういったところを歩くこと自体、今日のひとつの楽しみである。