遠野放浪記 2013.09.23.-01 晩秋の朝 | 真・遠野物語2

真・遠野物語2

この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

長松寺の門の下で一泊した俺は、早めに出発しようと思っていたのだが、住職の方が早起きだったため、彼に起こされることに。まだ6時前だぞ!

寺の人の朝は早い。幸い住職は優しい方で、この先の旅路を応援していただいた。


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ようやく空が澄んで来た遠野路を走る。今朝の目的地は、高清水展望台だ。

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高清水山と石上山に東西を挟まれた綾織町みさ崎の朝は、山影に隠れて太陽の光はか細い。

遠野まつりが終わった遠野の田園では、既に稲刈りが始まっている。

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高いところに登れば、太陽に会えるかもしれない。山へ向かい少しずつ勾配が大きくなる綾織の道を、冷たい空気にすっかり目が覚めた二本の足が歩いて行く。

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真冬の白い遠野、春の青い遠野、そして夏の深緑の遠野と、季節が巡る度に高清水に挑んで来たが、この秋の黄金の遠野を目に焼き付けたとき、俺と高清水の関係にも大きな区切りが付くだろう。

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少しずつ高いところまで上って来た。振り返ると、綾織の平地には既に太陽の光が届き、日差しを浴びて輝く黄金の田園が見えている。もう暫くして、太陽が空高くに昇って来ると、今は影に覆われている山間の小さな街にも、分け隔てなく日差しが降り注ぐだろう。

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おっと、本格的な山道に入るあたりで付近の住人に遭遇。

このあたりに人里最後の人家があるので、其処かその近くの住人だろう。

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冷たい空気が少しずつ和らぎ、山肌は淡い光を浴びている。

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やがて、見慣れた山道への入り口に差し掛かった。この風景を境に、道に立ち込める空気は、人里から山のそれに変わる。

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展望台まではおよそ2時間。気合を入れて出発だ。