遠野放浪記 2013.07.14.-08 空に近付く | 真・遠野物語2

真・遠野物語2

この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

一の滝より先は、また川から離れて静かな道が続く。


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行く手には結構な霧がかかっているように見えるが、大丈夫だろうか……。

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心配しながら歩いていると、急に視界が開けて、平らになっている場所に出た。


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昔の農地か、牧草地の名残だろうか。

何もないといえば何もないが、何だか不思議な感覚がある場所だった。

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何かぞわぞわしながら不思議な場所を通り過ぎると、今度は俄かに雲が切れ、強い日差しが降り注いで来た!

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山の天気は変わり易いというが、変わり過ぎだ。

ただ勿論、晴れてくれるのならばこれ以上有り難いことは無い。折角高原に上っても、雨ではあまり景色が楽しめないだろうから。

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周囲の森も少しずつ背が低くなって来ている。長かった道程も、佳境に差し掛かりつつあるのだろうか。

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平らな場所が出現する頻度も上がって来た。

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このただ広い草むらには、いったいどんな物語があったのだろうか。今も俺が知らないだけで、小さな花の下では壮大な物語が繰り広げられているのだろうか。

俺がどんなにそれを知りたがっても花は応えてくれず、ただ風に身を任せて揺れているのみである。

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やがて、どれだけ歩いて来ただろうか……道端に、遠野の名所によく置かれている案内板が立っているのが見えた。

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ようやく寺沢高原の頂上が目の前に近付いて来ているようだ!

実際に自分の脚でその場所に立つまで油断は出来ないが、長かった道もようやく終わりを迎えそうだ。