遠野放浪記 2013.05.26.-05 虚構 | 真・遠野物語2

真・遠野物語2

この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

黒磯を過ぎてからは暗くなるのが速い。

宇都宮線の駅たちは、青白い残光の彼方へ消えて行く。


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橙から青、そして黒に変わる頃、列車は上野駅に到着した。

今回も戻って来てしまった。

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公園口から坂を下った俺は、ガード下に海千山千の商売人たちが居を連ねるアメヤ横丁を通って行くことにした。

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一応休日だというのに、妖し気な輝きを放つこの場所に集う人は多い。

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昼も昼で活気に溢れる場所だが、夜の顔は明らかに“非日常”のそれである。

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その一角を彷徨ううちに、俺はアーグラーというインド料理屋に辿り着いた。

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実は今日の夕食は、此処にしようと決めていたのだ。

如何にもなインド人のイラストに迎えられ、俺は建物の2階へ続く狭い階段を上った。