遠野放浪記 2013.01.12.-01 思い付き | 真・遠野物語2

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この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

2013年が明け、俺はまずまず順調に日常生活を送っていた。


1月上旬には成人の日があり、その週末は3連休になる。俺はこの機会に遠野の高清水山へリベンジに行きたいと考えていたが、年初ということで仕事が立て込み疲労気味だったことに加え、前週からチェックしていた週間天気予報の内容があまり芳しくなかったので、まあ今回は見送りかな……と半ば諦め、1月11日は酒をかっくらって寝てしまった。


ところが翌朝、9時頃目を覚まして何気なく遠野の天気をチェックすると、明日は快晴という予報に変わっているではないか!

さらに、今から家を出発しても10時44分上野発の列車に乗れば、今日中に遠野に到着することが出来る。行くしかない。


そのようなわけでこの冬3度目の遠野旅行は出発の約一時間前に決まった。

そうと決まれば早速出発したいところだが、そこまで急がなくても列車には間に合う時間なので、朝食を家にあるもので済ませていくことに……。

手の込んだものは準備している暇がないので、冷凍ごはんを解凍して、実家からくすねて譲り受けてきたサクサク食べる香ばし醤油を乗せていただく。一時流行った食べる辣油に続けとばかり登場したと思われるこの食べる醤油だが、俺はこちらの方が好き。ちょっと濃いめのフリーズドライ醤油はごはんとの相性抜群だ。

バーターには、職場で貰ってきたゼロカクのラムコークテイストを。美味かったんだけれど、まあアルコール入れたいよね……。


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10分程度で手軽に朝ごはんを済ませたら、必要なものだけリュックに詰めて出発だ。


今回も目的地は山なので、パティは留守番。彼女の遠野デビューはまだ先だ。

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始発で出発していた過去2回と違い、既に街は活動を開始しており、菊坂には人や車の姿が多い。

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学生の頃はよく神保町や本郷に足を運び、朝から晩まで散歩していたものだが、社会人になってからはこの時間に街を歩いたことがない。勿論平日とは雰囲気も違うのだろうが、この空気が新鮮だ。

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余談だが、本郷には非常に坂道が多い。東京23区に存在する坂道の約一割が文京区にあるといわれていて、坂道マニアの俺にとっては垂涎モノの風景がそこら中にある。

菊坂自体が、俺の家があるあたりから本郷大地に上っていく坂道なのだが、そこからさらに大小様々な坂道が分かれ、迷宮のような本郷の深部へ上って行っている。

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東京のど真ん中にありながら、街の形成経緯もあり、とても美しく情緒に満ちた土地だ。

もしこの街に出会っていなかったら、今すぐにでも遠野に移り住んでいたであろうが、本郷も好きなので非常に悩ましいところだ。

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記憶喪失気味の少女などが訪れることで有名な、金魚掬いが出来る喫茶店がある金魚坂もここにある。

本郷という街はどこか懐かしく、記憶の底に仕舞っていた子供心を擽られる。本当に、遠野と本郷が隣同士だったら良いのになぁ……。

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菊坂を上ると、本郷通りと春日通りの交差点に到着。

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春日通りをまっすぐ歩き、湯島の天神様を横目に切通坂を下る。

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その先で道は台東区に入り、俺が大好きな文京区とはお別れ。

文化の残り香が漂う本郷とは違い、このあたりは有象無象全てをごった煮にしたような怪しげな雰囲気が漂っている。

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尤も、空が明るいうちは人通りこそ多いものの、至って静かなものだ。夜になると街には妖しいネオンが灯り、様々な誘惑が手招きしてくるようになるのだが。

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家から歩いて30分程度で上野駅に到着。やはりこの時間は人が多い。

列車も混んでいるのかなぁ……。

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今回は正規料金で列車に乗るので、俺はまず長距離切符が買える新幹線用の券売機に急いだ。