遠野放浪記 2013.01.12.-02 宇都宮とは何だったのか | 真・遠野物語2

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この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

高清水山の最寄駅は綾織駅なので、上野からの切符を往復で購入。

何しろ今回は誰にも出発を伝えていない極秘の旅(笑)なので、遠野市街地まで足を延ばすこともないだろう。完全に高清水山一本勝負である。


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列車は雲ひとつない青空の下、まずは栃木を目指して北上。

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年末よりもさらに冬の盛りが近付いている関東平野の田園は、完全に丸裸状態で荒涼とした大地に変わっている。今年の冬は関東もかなり冷え込むようなので、来月あたりにはここが白一色に変わる光景も拝めるのかもしれない。

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ぽつん、ぽつんと立つ家が車窓の彼方に置き去りにされていく。

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列車は東京から埼玉、茨城、栃木と北上し、関東の北限が近付くに連れて風景は野趣溢れるものに変わっていく。

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列車に乗ってから2時間程が経ち、宇都宮駅が近付いてくると、再び家の姿が増えてくる。

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東京にある程度近く、経済・物流面で影響を受けながらも独自の空気を保っている、北関東の都市の姿がそこにはある。

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宇都宮に到着する頃には、もうお昼ごはんの時間になってしまう。

俺は久し振りにコンコースの駅弁屋に立ち寄ってみたのだが、そこで素晴らしいものを発見した。


駅弁屋がつくった餃子弁当 カレー塩。


餃子を誇りとする宇都宮において、餃子が入った駅弁を見掛けるのは初めてのことだ。かつては散発的に餃子の駅弁が登場していたらしいのだが、ここ数年は姿を消していたことになる。

俺も学生時代から宇都宮駅で駅弁を買い求める度に「どうして餃子の街に餃子の駅弁が存在しないんだろう」と疑問に思ってきた。今回、そんな俺の疑問に応えてくれた松廼家に最大級の賛辞を送りたい。

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中にはカレー塩がかかった餃子が――ここも俺のハートをがっちり掴むポイントであり、この駅弁は俺のために登場してくれたと言っても過言ではない。

副菜にはパッケージにもある霧降高原豚のピリ辛味噌焼きに、焼売、漬物2種、黒豆。どれもごはんが進むおかずだし、焼売と甘く煮た黒豆で口直しできるというところで非常にバランスが良い、例えるならば1997年のヤクルトスワローズみたいなおべんとうだ。

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肝心の餃子はカレー塩によって最初からかなりしっかり味が付いており、とても美味しい。小さな醤油のパックが付いていたが、これをかけると逆に味が濃くなり過ぎるし、カレー塩のコンセプトもぶれてしまうので、使う必要はないだろう。

今までいただいた駅弁の中でもかなり完成度が高いと思えるものだったので、是非姿を消すことなく、宇都宮駅の名物として定着してほしい。