遠野放浪記 2012.12.29.-09 一週間 | 真・遠野物語2

真・遠野物語2

この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

一日の終わりが近付き、真っ暗闇に沈む遠野駅に到着。

実に一週間振りだ。遠野在住の某氏から「遠野が好き過ぎる変態」と称された俺にとっては一週間でも長い。


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遠野駅で降りる人はいつもよりも多いようだ。年の瀬の帰省客だろう。

俺はこの人混みを遣り過ごし、ゆっくりと駅を出た。

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遠野駅前は先週とは全く違う、白い世界と化していた。

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カッパの池も雪で埋まり、優しい誰かにマフラーを巻いて貰った他は何ひとつ身に付けていないカッパたちは今にも凍え死にしそうに見えるのに、表情ひとつ変えずずっと立ち続けているところが凄い。

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年甲斐もなく駅前を走り回り、真冬の刺すように冷たい空気を思い切り吸い込んでみる。確かに遠野の匂いがする!

先週は1年11ヶ月の長い旅路を経てこの街に戻って来ることが出来た感動を貰った。今日はもう、心はすっかり遠野に魅入られていたあの頃に戻っている。許されるならば、この街にただいまと叫びたい。

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さて、まず遠野に到着したらのんのんに入らなければなるまい。

今回は珍しく宿に泊まることにしているが、のんのんに立ち寄ってからチェックインするために約束の時間を19時にしていただいていたのだ。

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今週もカッパ店長が出迎えてくれる。これが会うのはまだ二度目なのに、もう何十年も昔からの仲のように「おかえり!」というひと言で迎え入れてくれることが何より嬉しい。僭越ながら遠野人の末席に加えて貰えたような気がして誇らしくもある。


今日はのんのんパフェを発注。学生時代は遠野にいる間、毎日のように食べていた懐かしいメニューで、日が暮れるまで遠野を駆け回った後でコレを食べることでようやく一日が終わると感じたものだ。

尤も今回は、のんのんパフェから遠野で過ごす日々が始まるのだが(こんなところでも遠野との関わり方が昔とは違ってきていることを実感する)。

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ちなみに今日も、あの女将さんは17時で一度退勤しており、店には不在だった。

今日も俺がいる間に戻って来るかな?とワクワクしながら待っていたが、残念ながら俺の出発時間が先に来てしまい(これから雪の中を光興寺まで歩かなければならないのだ)、今回は会うことが出来なかった……。無念極まりないが、まあ明日、明後日とのんのんに立ち寄るチャンスはあるので、きっと何処かで会えるだろう。

俺はカッパ店長ともうひとりの女将さんに明日また伺うことを約束し、再び雪の遠野に飛び出した。