アイキャッチは、ボッカチオ「デカメロン」

ぺストの難から逃れたあらゆる身分男女が、

卑猥なエピソードトークで盛り上がるお話。

 

 

下ネタ。恋バナ。

 

身分関係なく、

悩んだり、

笑えたりするテーマ。

 

 

イタリア散文芸術の先駆け。

 

ダンテの「神曲」に対して、

「デカメロン」は「人曲」

 

 

 

 

【世界史論述問題】

京都府立大 2018 大問4 Part②

 

 

 

今回は模範解答の掲載と

解答作成の細かい添削を。

 

 

 

前回の記事はこちらです。

京都府立大 2018 大問4 Part①

 

 

【設問】

 

中世ヨーロッパの黒死病とその影響について論述せよ。なお、論述するにあたっては、下の語句をすべて使用し、使用した箇所には下線を引いておくこと。(200字)

 

死の舞踏 デカメロン 農民一揆 モンゴル 領主

 

京都府立大 2018年 大問4 歴史学科受験生選択問題

 

 

 

【受講生の解答】

 

14世紀頃にヨーロッパで黒死病の大流行が起き、多くの人が亡くなった。これによって農民の価値が上がったり、農民に変わる奴隷の地位が向上した。しかし、領主がこれに対して支配を強めた結果、各地で農民一揆が起きるようになった。また、黒死病の流行はヨーロッパに留まらず、モンゴルなど東アジアまで広がった。一方で黒死病は社会変容をもたらしただけでなく、人々の死生観にも影響を与えた。人々は死を身近に感じ、恐怖の念を抱くようになり、それはバーゼルの「死の舞踏」からも窺える。また常に死と隣り合わせであるなかで、人生をよりよく生きることを考えるようになり、この個人を尊重する考え方はルネサンスを導いた。ボッカチオが著した「デカメロン」ではペストを逃れた農民の姿が描かれている。(329文字)

 

赤 不要 青 内容変更の余地あり

 
 
 
【添削】
 
 農民に変わる奴隷の地位が向上した。
 
かなり痛いミス。中世の荘園における生産階級を「農奴」という。家族を持ち、多少の保有地を持つので古代における「奴隷」とは少々異なる。黒死病によって、奴隷という身分が新たに荘園に組み込まれたわけでもない。
 
 
② また、黒死病の流行はヨーロッパに留まらず、モンゴルなど東アジアまで広がった。
 
前回記事でも言及した。この論述における「モンゴル」の使いどころ。たしかに中国地域にペストが発症が見られた例はあるが、今回は黒死病のヨーロッパにおけるの影響を論述としてまとめたいところ。モンゴルの駅伝制が黒死病の拡大に寄与した文脈で使いたい。
 
 
 ボッカチオが著した「デカメロン」ではペストを逃れた農民の姿が描かれている。
 
デカメロンで描かれたのは登場人物のの身分は、貴族から貧者にまで及ぶ。身分や貧富の差に関係なく、人々の個性を尊重するからこそ、「人曲」なのである。
 
 
 
【模範解答】
 

14世紀当時のユーラシア大陸には、モンゴル帝国が敷いた駅伝制があったために、東西交流が活発であったが、それが災いして、アジアで発生した黒死病はヨーロッパに拡大した。ヨーロッパ人口の三分の一が死亡したが、当然のように農民の人口も激減した。農民人口の減少によって荘園における農奴の地位は向上し、それに対して、農奴支配に窮した領主は、地代を引き上げるなど、反動的な動きをとった。こうした封建社会の矛盾は、各地で農民一揆を招き、結果的に、領主は没落していくことになる。また黒死病は人々の死生観を変容させた。黒死病を題材とする「死の舞踏」や「デカメロン」から窺えるように、人々は「現世」において、個人としてよく生きることに関心を抱いた。このような関心は、人間性や個人を重視するルネサンスにも影響を与えた。(343字)

 

※解答欄は20㎝×12㎝。1文字1㎝四方と仮定して、360字程度が妥当な文字数かな。

 

 

 

【論述のポイントのまとめ】

 

①「中世ヨーロッパの黒死病とは?」

 

・まず、アジアで発症例があったこと

 

・14世紀、ヨーロッパとモンゴルとの

 東西交流が原因で黒死病が蔓延したこと

 

・その結果、ヨーロッパで大量に人口が減ったこと

 

②「黒死病の影響とは」

 

(社会的影響)

 

・農民の数が激減した結果、

 荘園が農民の売り手市場と化したこと

 

・にもかかわらず、領主が反動化したこと

 

・その結果、農民一揆が起き、

 領主の没落につながったこと

 

(文化的影響)

 

・人々が「現世」で個人として

 よく生きることに関心を抱いたこと。

 

・この死生観の変容が、

 人間性や個人を重視する

 ルネサンスを導いたこと。

 

 

 

【コメント】

 

「黒死病」→「死の舞踏」→「ルネサンス」

この流れと死生観の考察。

 

なかなか鋭かったです。

 

資料集に細かい説明がある程度ですもんね。

 

よく読み込んでいるなぁと感心しました。

 

 

資料集の読み込み!

論述問題に対応するための基本!

 

これからも、この姿勢貫きましょう!

 

 

【世界史論述講座始動!】気合いと愛で添削します。【今回は一橋大2018の解説】

 

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