「原子力は儲かる」という日本の常識は、疫病神WHが売りに出た2006年当時、
すでに欧米の原子力ムラでは非常識だった。
 「原子力ルネッサンスの幻」(その1)

1

米国では既に、原子力は儲からないビジネス。だから、WHが売りに出た。

建設を担う大手ゼネコンも原発部門から撤退を模索し、現場で発生する膨大な損を、
いかに相手に押し付けるかで暗闘が始まった。
まだまだ続く〝原発ババ抜き〟 日立、原発新技術から撤退 損失700億円計上へ

 しかし、利用者に割高な電気料負担を強いる、「費用+適正利潤」という総括原価方式に守られた日本では、保守するメーカーに高いカネを払っても料金で回収できた。
電力利権を解体せよ!総括原価方式から見る原発問題

 だから東芝も、メンテナスなどの「原発のお守り」で、米国相場の5倍の暴利?を貪ることが出来た。 その分は私たち利用者が負担させられていたのだが・・

 そして愚かな東芝経営陣は、「原子力は儲かる」との勘違いのもと、
疫病神WH非常識な高値で買取り、破滅へと舵を切る。
東芝と味の素、命運を分けた買収劇

 しかし愚かな東芝経営陣は、破綻寸前の今なお原発を捨てることができない。
まともな経営者なら、「残すのは原発でなく半導体」と判断する筈だが・・

 それは、原発という疫病神を抱え、実質債務超過状態の旧電力9社も同じ。

電力自由化で総括原価方式という打ち出の小槌 を失い、原発は儲からないどころか
不良債権に変身?

 今では、コスト面で太陽光など再エネにも遅れを取り、電力自由化後の原発は、
国の庇護無しには生きられない。
旧電力9社が生き残るには、疫病神・原発を切るしかないのだ。
原発と電力自由化は両立しない。【原発支援策】なくば旧電力は経営破たん!

 同じく国も、既に破綻している幻の核燃料サイクルを諦め、再エネに重心を置いたエネルギー政策で、未来に一歩踏み出さなければならないのだが・・
東芝破綻危機でも懲りない 悪魔の国策“原発ビジネス

 だが安倍総理らが、国ごと破滅させるリスクを負ってまで、疫病神・原発に拘る
本当の理由は、潜在的核武装
安倍総理は、原発事故のリスク・原発のコストの多寡など気にもしていないだろう。
原発の真実 『ウソの首謀者は自民党政権』だった?!
「核兵器の保有も使用も合憲」?閣議決定。原子力の平和利用もアピール

 しかし、敵が投下する原爆より、原発という大量破壊自爆装置からの攻撃?の方が、
安全保障上のリスクは高い。
日本の国益を損なう、潜在的核武装という愚かな選択は、日本を危うくするだけだ。
原発は格好の標的、たった一発で日本壊滅!愚か過ぎる「潜在的核抑止力論」

 docomoニュース・dotより
東芝「原発は安定事業」と誤判断 “寝たきり原発”にすがる悲惨な実態
【2006年、当時の西田厚聡社長は「選択と集中」を唱え「柱は半導体と原子力」と打ち出した。半導体は大儲けもするが、浮き沈みが激しい。原子力は投資がかさむが、安定した利益を見込める。この二つで盤石の経営基盤を築く、との戦略だ。そこで、米国のウェスチングハウス(WH)を破格の値で買った。

 なぜ西田氏は「原発は安定事業」と思い込んだのか。2月の会見で示された「原子力事業の連結業績推移」という資料から、謎を読み取れる。

 原発の稼ぎは、ほぼ「燃料・サービス」に頼っている。ウラン燃料の供給や、機器の修理など「原発のお守り」ともいえる事業だ。15年度の原子力事業の売上高7275億円の8割を稼いだ。営業利益はプラントの新設事業が66億円の赤字に対し、燃料・サービスは442億円の黒字だ。

「3.11以後、原発の新設は世界でぱったりと止まった。わずかにある仕事も安全基準の強化などで採算が合わない。やればやるだけ赤字。それが現実です」

 東芝で格納容器の設計に携わった後藤政志さんはいう。WHは米国で建設中の原発4基の工事費が膨らんで費用負担を巡り裁判ざたとなった。窮余の一策で相手会社を買収し、訴訟は収まった。しかし、トラブルのタネをのみ込み、7千億円もの損失を生んでいる。

「建設工事はリスクが高いので撤退の方向で見直す。燃料・サービスは安定収益が期待できるので、続けたい」(綱川社長)

 燃料・サービスは安定的に儲かっている。儲けすぎではないかと思うほどだ。

 16年度の業績見通しを見よう。燃料・サービスの売上高は、東芝が1903億円。東芝の原発は休止中のため、「燃料の売上高は立っていない」(東芝広報)という。実質的には、保守・点検・修理などメンテナンスの売上高になる。

 原発が動いているWHの3214億円の内訳は、燃料1414億円、サービス1853億円。両社のサービス事業は同規模といえる。

 かかわる原発の数は大きく違う。WHは世界に92基あり、東芝は日本に21基。単純計算すると、WHは1基20億円、東芝は90億円。東芝は、メンテナンスでWHの4倍以上稼ぐ“効率経営”にみえる。

 燃料・サービスの営業利益の見通しは、東芝が213億円とWHの175億円より多い。1基あたりの利益は東芝10億円に対し、WHは1.9億円。東芝は5倍も利益をあげている。

 なぜ日本の原発事業は米国と比べて、こんなに儲かっているのか。答えは「原子力ムラ」にある。

 総括原価方式という言葉をご記憶と思う。電力会社は「費用+適正利潤」の料金で電気を売る。保守するメーカーに高いカネを払っても、料金で回収できる。

 WHの経営悪化が問題になって以降、東芝は「WHは燃料・サービスが高収益なので、問題ない」と繰り返した。東芝が国内でかかわる原発は、長期停止中の“寝たきり原発”。再稼働のめどがないのに、高収益がうたわれるWHの5倍のカネで“介護”している。

 東芝は原発を「安定収益」だから続けるという。止まっていても、メーカーは破格の収益が保証されるからだろう。一方、消費者は電気代に上乗せされ、税金のごとく取り立てられる。

 東芝だけではない。三菱重工業や日立製作所の原発でも同じこと。原発が動こうと動くまいと、メーカーは儲かる。こんなことは、米国では考えられない。

 WHの買収時、当時の西田社長が「原発は安定事業」と考えたのは、原子力ムラの秩序が頭にこびりついていたからではないか。

 米国では既に、原子力は儲からないビジネス。だから、WHが売りに出た。建設を担う大手ゼネコンも原発部門から撤退を模索し、現場で発生する膨大な損を、いかに相手に押し付けるかで暗闘が始まった。

 日本では、納期やコストを巡って電力会社やゼネコンともめることはない。料金に上乗せして済ます、世界とかけ離れた構造だ。

「国内しか知らない経営者が世界の趨勢を見誤り、原発は海外でも儲かる、と思い込んだ。それが災いの始まり」と後藤さんはいう。

 今なお原発を捨てることができない。「残すのは原発でなく半導体」という正論がかき消され、債務超過解消のために売れるものをすべて売る。そんな会社に、東芝はなった。

 原発事業は売れない。買い手もいない。つかんだババを離せないまま、東芝は“寝たきり原発”に寄生して生きてゆく。】一部抜粋