損害賠償の基本は現状復帰、それが不可能なら相応の代価で償わなければならない。

 特別栽培米を生産してきた被害者の渡辺さんらが、放射性物質が残る 上下の土を入れ替える「反転耕」ではなく、土壌入れ替えを望むのは当然の権利。

 それを、スムーズな被害者救済のため設立された 原発ADRが、加害者=東電の意向を汲んで門前払いするとは? 

 原発ADRは、加害者=東電を被害者から守る? 防波堤になることが使命ではない筈。

 もし、福島原発の放射能で汚された農地を現状復帰する費用が高額で支払えないと言うなら、
加害者=東電は、相応の代替地を提供するか、相応の代価で償わなうかしか選択肢はないが・・

 現状復帰できない・・償えない事故を起こす原発の運転は禁じられなければならない。
国家財政さえ脅かす 一民間企業には償えない切れない事故を起こすリスクを侵す 川内原発の再稼動も、当然 許されるわけがない。 

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 毎日新聞より
原発ADR:汚染農地…農家3人「土を返せ」を門前払い
【◇審理で「東電が合意できないものは取り扱わない」

 東京電力福島第1原発事故で汚染された農地を事故前の状態に戻す「原状回復」を求める福島県内の農家3人が、裁判外で紛争を解決する手続き(原発ADR)を「原子力損害賠償紛争解決センター」に申し立てたところ、センター側が和解協議の対象外にしていたことが分かった。審理で「東電が合意できないものは取り扱わない」と説明したという。幅広い分野の賠償問題を対象にするはずの原発ADRが、和解協議に入る前に訴えを「門前払い」にしている実態が浮かんだ。【高島博之】

 センターの上部組織「原子力損害賠償紛争審査会」は、賠償対象となる項目を「指針」として示しているが、センターの発行する被災者向けの「手引」には「(指針にとどまらず)個別事情についても対応する」と記載。線引きせずに対応することになっている。

 3人は大玉村の鈴木博之さん(64)、二本松市の渡辺永治さん(65)、猪苗代町の武田利和さん(64)。いずれも専業農家で、9~40ヘクタールで稲作などを行う。農薬や化学肥料の量を厳しく制限した特別栽培米などを作り、全国の消費者と直接契約を結び販売。「日本一の米作りを目標にしてきた」(鈴木さん)

 原発から約60キロの鈴木さんの農地では、放射性セシウムを1キロ当たり1万6200ベクレル(2011年12月1日)検出。同じく約60キロの渡辺さんの農地は6090ベクレル(11年8月2日)、約80キロ離れた武田さんの農地は1450ベクレル(12年1月26日)だった。生産した米はすべて国の基準値(1キロ当たり100ベクレル)を下回るが「約300人の契約者から解約が相次ぎ一時は約100人に減った」(武田さん)。3人は12年4月、原発ADRを申し立てた。

 請求内容は風評被害による減収分の賠償と、農地の原状回復費用(約30億円)など。上下の土を入れ替える「反転耕」では空間線量は下がるが農地に放射性物質が残る。表土を削り取っても新しい土は追加されないため、土壌入れ替えを求めた。富山県の神通川流域で発生したイタイイタイ病で汚染された農地の土壌入れ替え費用が1ヘクタール約4670万円だったことを基に、費用を算定した。


◇農地の除染

 旧警戒区域と旧計画的避難区域および空間放射線量が毎時0.23マイクロシーベルト以上の地域が対象。環境省のガイドラインによると、放射性セシウムが土壌1キロ当たり5000ベクレル以下の場合、上下の土を入れ替え(反転耕)、5000ベクレル超は表土を削り取る。福島県では4万4808ヘクタールの農地の除染が計画され、9月末現在で約半分が終わった。福島県から出荷するコメは全袋検査され、放射線量が国の基準値を下回っていることが保証されている。】