習慣化コンサルタントの古川です。
マズローは、人間は欲求の動物である。
全生涯を通じて、何かを欲し続けるのが人間の特徴であると言っています。
人間というものは、常に何かを欲している動物であり、
ほんの短時間を除いて、完全な満足の状態に達することはほとんどない。
1つの願望が満たされると、それに代わって別の願望がひょっこり現れる。
それが満たされるとまた別の願望が全面に現れるといった具合である。
全生涯を通じて、実際、常に何かを欲し続けるのが
人間の特徴であると言えるのである。
(人間性の心理学 p39より)
有名な欲求の段階説。
これは、習慣が続かない理由、続けるためにどうすればいいかの
示唆がたくさん含まれています。
これを解説したいと思います。
1.生理的欲求
食欲、睡眠欲、性欲などの未充足状態がある場合、
人間は一番初めにそれを求めるというものです。
確かに、ディズニーランドに行って念願のミッキーが
前に現れても、下痢をして猛烈にトイレに行きたいときなら
私たちはミッキーを押しのけてでもトイレに駆け込みます。(笑)
ミッキーに会えて嬉しい、ワクワクという気持ち(愛情欲求)
は生理的欲求の前では後回しなってしまう。
いずれにしても、生理的欲求は脳や心にとって生存を守ることが
第一命題のため、最重要視されます。
習慣で、
ダイエットが難しい理由は、食事制限が脳からすると生存危機と
隣り合わせの危険行為だからこそ、思うように減らすことができない。
また、早く起きれない人の悩みは、
二度寝してしまうというもの。
なぜ、二度寝するのか?理由は様々ですが、睡眠負債がたまると
私たちの脳は何をおいても、返済に全力を挙げます。
睡眠は生命に関わる重大テーマだからです。
だから寝ることを重点において、
早起きを計画しなければうまく行きにくいのです。
2.安全欲求
安全欲求とは、
病気、混乱、危険、無秩序から逃れたいという欲求です。
戦争はわかりやすい危険ですが、
心理的には新しい行動という変化も混乱と言えます。
新しい習慣を始めようとすると、
頭はそれがいいと考えますが、
心はいつもと違うことを始めることに他ならず、
危険を感じます。
だから、私たちの心理の根底には
変わりたくない!いつも通りのパターンを繰り返した方が
安心という原理が働きます。
習慣が存在するのは、
このパターンを繰り返すためであり、
いつも通りを大切にする生き物です。
また、新しい人生に踏み切るのに、
経済的リスクがあったり、新しい人間関係に飛び込んだり、
新しい挑戦をするのは、結果の不確実性、予測不能性と戦うことになるので、
本当に精神的エネルギーを使うものです。
安全欲求との戦いをして、
努力するわけですね。
でも24時間365日、ずっと挑戦するわけにはいきません。
なぜなら、私たちの心理は安定していたいから。
私が高密度化仕事術で、
生産性を高めるには、退社時間を絶えず早める挑戦をすること。
これを本質として提案しています。
しかし、簡単じゃないのは、自分を追い込むことは、
安全・安定を崩すことに他なりませんので本当にしんどい。
こんな精神状態になるぐらいなら、
長時間残業の今までの方がいいよね。
こう感じるのではないのでしょうか?
これぞ安全欲求なのです。
3.愛・所属欲求
習慣でわかりやすいのは、
マラソンチームをつくるとモチベーションが湧くというもの。
同じ情熱の仲間と何かを始めると私たちは頑張ろうと思えます。
また、家族との時間を大切にする。
仕事に没頭しすぎて、
子供の成長を見れていない
家族との時間がなく、家に居場所がない
という方も多いとおもいます。
しかし、それが原因で家庭が崩壊すると
私たちは愛情・所属欲求が大きく揺れ動きます。
ワークライフバランスという言葉がありますが、
まさに両方を大切にしないと、
定年退職したら、奥さんから離婚届を出されて、
仕事も家族も失うということになります。
当たり前にあるものにはありがたみを感じないものですが、
なくなるとその重要性がわかります。
4.承認欲求
私は、習慣化の部活という企画をやっていますが、
周りから「いいね」をもらったり、コメントをもらうと
やる気になります。
みんなに宣言することで、
自分を追い込むという人も上手に承認欲求を使っている例です。
承認の反対は、拒絶、否定。
あいつはダメだと言われたくない
という気持ちを反動としてモチベーションに転換している例です。
5.自己実現欲求
読書をしたい、セミナーに参加して勉強したい
英語力を高めたい、週末起業をしたい、キャリアアップをしたい。
そのための勉強を習慣にしたいというのは、
自己実現欲求から生まれる習慣ですね。
ただし、学習習慣を身につけられない人は
「時間がない」という問題を抱えがちです。
残業を減らせばいいのですが、
早く帰ると
「上司からあいつは暇だ、サボっていると言われるのではないか?」
を心配して帰れなかったり、
睡眠が不足していると、帰ってヘトヘトになっている中、
眠たくて勉強する気分になれない。
これはよくある悩みです。
低次の欲求が優先されるという
マズローの考え方からすれば、
なるほどうなづける問題ではないでしょうか?
今日はマズローの欲求段階説を
習慣化に紐付けて解説してみました。