習慣化コンサルタントの古川です。
今、藤井聡太四段の快進撃が続いて、
社会現象になっていますね。
子を持つ親たちは、
我が子にもあんな風に育って欲しいと
彼が幼少期に使っていたおもちゃを買うので、
品切れ状態が続いています。
私も子を持つ親なので、
気持ちはわかりますし、同じようにおもちゃを
検索して探してみたことを正直に告白しておきます(笑)
しかし、彼の卓越性を本当に学ばせるならば、
おもちゃではなく、次の本がおすすめです。
マスタリー
仕事と人生を成功に導く不支持な力
モーツアルト、ゲーテ、ダーウィン、アインシュタイン、ナポレオンなど
あらゆる分野で「熟達の究極の境地」に達した人たちに
共通することは何か?
これを豊富な偉人の例を用いて書いているのが
この本です。
骨太の本で450ページ、
かなりの分量の本ですが、
久しぶりに名著に出会えた!という印象の本です。
この中から、
引用しながら、
ポイントを書いてみたいと思います。
まず、各分野の偉人は次のようなプロセスを経て
境地に達すると言います。
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若い時の情熱や偏愛、それの活用法の発見にいたる偶然の出会い、
熱意に目を輝かせた精力的な修行期間。
その期間を通して、自分を厳しく訓練し、その結果、より早く修業を終える。
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イチローを思い浮かべても、
藤井聡太くんを思い浮かべても共通しますね。
この本で一番面白いのは、偉人たちは初期段階で
「心の奥の小さな導きの声」を感じているということ。
このニュアンスは、本書の内容を相当引用することで、
ロバートグリーンさんの洞察のボイスをそのまま
表現してみたいと思います。
偉人たちが激しい努力をするのは、
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学びたいという激しい欲望と、対象分野への深い思い入れがあるからだ。
そして一途な努力の原点にあるのは、遺伝子によって受け継がれてきた、
生まれながらにして持つある資質である。
それは、才能や技量といった伸ばす必要とするものではない。
なにかに対して自分を強烈に駆り立てる衝動なのだ。
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強烈に駆り立てる衝動。
さらに遺伝子によって、生まれながらにして持つ資質。
ここは多くの人のコンサルティングをしていて
うなづけることです。
引用を続けましょう。
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この衝動とは、人の唯一無二の個性の現われである。
この独自性は、特定の行動や生まれつきの好みとして、私たちの前に出現する。
音楽や数学、スポーツや勝負事、パズルのような問題を解くこと、
工具の修繕や建築、あるいは文学作品など。
人生の後半でマスタリーに達して異彩を放つ人間は、
この好みを、ほかの人々よりも深く、そして明確に認識する。
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イチローも藤井聡太くんも
野球や将棋に駆り立てられる衝動を、
言語を超えて、
身体的知性を持って強く
「これしかない」と直感したのだと思います。
客観的に出会いのストーリーを見ると、
たまたま野球や将棋だったという
偶然の産物のように見えますが、
私は違うと思います。
外的な偶然性はあれど、
心の衝動が反応するごく限られた対象物は
それほど多くないと思います。
いや、むしろ、
イチローは、たまたま野球ではなく、
やっぱり巡り巡って野球に行きつくような
気がしてならないのです。
もちろん、彼ならテニスでも
パフォーマンスを残したかもしれませんが、
上記の引用を考えても、
野球でなければならない、内的衝動があったのではないかと
勝手に分析しています。
さらにこの内的衝動が、
内的騒動こそが、
内的衝動だけが、
なぜ、究極の境地にだどりつかせるのか、
引用してみましょう。
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内からの欲求を強く感じる。
それは、彼らの考え方や夢を支配するようになる。
そして偶然にしろ自分の努力にしろ、
この好みが大きく花ひらく方向へ進む道を見いだす。
この深い愛着と欲求のおかげで、
長い困難な道のり
ー自己不信、どこまでも続く練習や勉強、
かならず訪れる挫折、妬みから生じる際限のない嫌味—に耐えることができる。
こうして彼らは、他の人々にはない回復力と自信を身につけていく。
歴史上の偉人の多くは、自分を導くなんらかの力か声か
宿命のようなものを感じたと語っている
心の奥の、言葉にできないような深い場所からエネルギーが湧いてくる
偉人たちは現実の、力、声、運命だと勘違いするほど、それを強烈に感じる。
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究極の鍛錬と継続的な努力。
常人ではありえないように見えることも、
その人の中には、強烈な衝動があるから
実現できるという前提を忘れてはいけないと思います。
藤井聡太くんには、
四六時中将棋を考えて
歩きながらも将棋本を読んで溝に落ちるほどの
集中力があるのは、
内的衝動にアクセスしているから。
さらに究極の境地に達する
鍛錬と努力は、意志も必要ですし、自己鍛錬の連続ですが、
衝動なくしては絶対に有りえないのだと思います。
比較するにはおこがましいですが、
長く膨大な作業になる執筆を17冊書き続ける
私も、間違いなく「強烈な内的衝動」です。
ある時、「本を書き残す生き方がしたい」
「ひ孫の世代にも役立つメソッドを書き残したい」
と思って、出版社も決まっていないときに、
勝手に原稿を書いてみました。
間違いなく楽しい作業でした。
でも、同時に執筆のプロセスは気が乗らないときも
コツコツ続ける鍛錬でもあります。
でも、でも、でも、
1冊書き上げて、「あー、もう暫くいいや」とヘトヘトになっても、
2ヶ月もすると、ムクムクと創作意欲が湧いてきて、
次の本が書きたくなる。
そのテーマについて、考えを巡らし、メソッドを体系化し、
検証して、また作り直し、言語化していく、
こんなプロセスを支えるのは間違いなく衝動です。
この衝動にアクセスすると、
意志や根性という次元ではない、
長く長く続く困難も乗り越えられるのだと思います。
さて、長くなりましたが、
マスタリー、おすすめ本です。
冒頭の藤井聡太くんの話を見ましたが、
おもちゃを買い与えるのではなく、
我が子の強い内的衝動を探ってあげる、本人が感じられる
機会を作ってあげることが重要なのではないかと思います。
私も我が子の内的衝動が何かを一緒に探求してみたいと思います。
また、自分の内的衝動を探ってみてください。
それらはアクセスされず、
あなたの内側でくすぶっているマグマのようなエネルギー。
抑えるほうが簡単で、
発揮するのは難しいものだと思います。
社会的常識、社会的抑圧、他人の目。
これらに簡単にねじ伏せられて、蓋を閉じられてしまうのが
この天才的な才能を発揮するエネルギーです。
あなたにも100%あります!
これは、多くの人のコンサルティングをしていて、
本当に感じます。
偏狭的、変態的なほどの
熱中を生み出す衝動の源を仕事や人生の仕事に活用すれば、
大きい第一歩を踏み出せることになります。
ぜひ、心を落ち着け、内省し、
内なる衝動を発見する習慣をおすすめします。