きてくださってありがとうございます!
昨日の記事の続きです。⇒料理本の撮影の裏話など
イトウさんというのはこのブログを本にしませんか、と言って下さった方で、syunkon1~4まで担当してくださったんですが
なかなかスパルタで、仕事に熱い人です。
最初に登場したのはおそらく2011年(⇒本を作るにあたっての今までのこととか、色々)
「お金を出してわざわざ本を買ってもらうのだから、ブログとは違う魅力が必要なのです。」
「何をやっても満足する人もいれば、満足しない人もいる
確かに約束を守れば多少文句を言う人は少なくなると思うけれど
そんなチャレンジのないものを作ってどうするのかと私は思います
本を作るには挑戦が必要です」
「読者さんに「こうきたか!」という新しい驚きを提供することを目指すことが
逆に読者の方への恩返しだと思います」
これは今でもずっと頭に残ってます。ずっと大事にしたい言葉。
イトウさん時代の料理の撮影は、なかなかハードでした。
朝5時の準備~撮影後の片づけが終わる深夜まで、気づけば一度も座ってない、トイレも1回しか行ってないみたいな。(私の要領が悪いだけやで)
一番きつかったのはsyunkon2、3の時で
上の娘が0~1歳という初めての子育てで、撮影前1週間の準備の時点で白目(は言い過ぎた。黒目の周りに白目。上下にまつ毛)。
なんですが、突然撮影の2日前に「明日撮る撮影の品数ちょっと少ないから10品増やしますね。リスト・・・①・・・・②・・・・」みたいにメールが送られてきたり。(ひぃぃー)
必死に動いて1日に撮る予定のものを全て撮り終わった!という時は
「まだ18時までちょっと時間があるから、カメラマンさんいるのにもったいないんで、今すぐ買い物にいって、次に撮る予定の物をできる限り撮ってください。」というスタンス。
撮影が終わってイトウさんとカメラマンさんが帰られたら、そこから洗い物と片付け、翌日の準備が深夜2時3時まで続き、そこからブログを書いて夜中は子どもの夜泣きで起き、そのまま翌日撮影。もう頭もまわらないまわらない。
それでも撮って頂いた写真をズラッと観ると、本当に美味しそうで毎回鳥肌がたつし
ブログのコメントを読むとサーーーッと心が洗われてやる気が出るし
そもそも好きでやってること、ずっとやりたかったことなんで、苦労とかではまったくないんですけどね。
意見が食い違ったり、厳しい言葉もたくさん頂きました。
イトウさんは普段はめっちゃ優しいいんですが、こと本の制作に関しては、思ったことはオブラートゼロでわりとはっきり言うので、防弾チョッキを着用してないと精神の奥までズシャァやられる。
1年休んだら待ってくれる読者さんはいませんよ、これは山本さんのための本ですか、読者さんのための本じゃないんですか、お金をもらって仕事をするということがどういうことかよく考えて、ここまで来たのは自分の実力だと思ってますか、どれだけ予算がかかっているかわかりますか、2歳のどこが小さいの・・・・
もう最後のほうにはメールの件名が「伊藤」だったら震えて一定期間開けない(笑)
泣きながらノートパソコン部屋の床にバァン投げてしまったことまであるわ。(睡眠不足って人をおかしくさせる一番の要因だとこの頃学んだから、今は「悩んだら、まず寝る」をモットーにしてる)
でもイトウさんが言うことは、あとから思い返すと、結局自分のためになっているんですよね。
そしてイトウさんと意見がずれたとき、「もういいです!」と投げるんじゃなく
ありとあらゆる手段(オレンジページとか広辞苑持ち出したり)で対抗して、いつも最後は心から納得した状態で本にしています。じゃないと何かあった時に他責にしてしまいそうになるから。
と
これだけ聞くと、まるで大変なことしてるように思えますが
実際は恵まれた環境のなか、ただ本を1冊作らせて頂いてるだけなんですけどね。勝手に好きなことしてるだけ。
イトウさんはたくさん優しい言葉でフォローしてくださっていたし、こちらの状況に気も使って下さっていたし、家族も親も協力してくれていたのに、ただ自分のキャパが狭かった。
当時はちゃんと思い出せないぐらいバタバタで、子どもにも罪悪感、子供を預ける親にも申し訳ない、仕事でイライラして家ぐちゃぐちゃで夫にも申し訳ない、でも独身時代と違って100%求められた仕事をこなせてもないから出版社さんにも申し訳なく、みんなに謝って、夫ともよく喧嘩して、もうすべてに中途半端な駄目人間…涙…みたいな。(はよ寝ろ)
でも、あがってきたデザインがめっちゃ素敵だったり、いい含み笑いコラムが思いついたりしたら一気に楽しくなって、はやく見て欲しい!となるし(イトウさんに「これ面白いね」とか言われたらもう)
ブログのコメントを読むとほんと冷静になれるし励まされるんです。本当に、今もですけど、コメントがあったからやってこれだと思う。そして結局は自分のために作ってきただけなんだと思います。褒められたくて。福ちゃんですほんまに。(もっとホメてくれ・・・ふるふる)
そして、すべての作業が終わって本が無事出る時にはイトウさんに
「余裕がなくて厳しいことばっかり言ってごめんね。私は山本さんを連れてきた責任があるから。売れなくなったら次はないんだよ。」
「私に編集長のように、気持ちよく本を作らせながらもいい本に着地できるほどの実力があったら、もっと山本さんは苦しまずに本を作れたのに、申し訳ないです」
とか言われると
もうついていきます!!ってなるんですわ。もう心わしづかみ。
しかも結局、イトウさんに「こうしてほしい」と言われたところが読者さんにとても好評だったり、何度も書き直させられたところを褒めてもらえたりするんで
やっぱりすごい人だし、独りよがりだとダメなんだなあ・・・と痛感する。
その後もイトウさんとは本当にいろいろなことがありましたが
厳しいなかにある本への熱い思い、天狗になったら終わりだという教え、営業さんへの感謝などなど、たくさん教えてもらって
あの頃イトウさんにお尻を叩かれなかったら、今頂いている様々なお仕事は無かったんで、本当に感謝しています。
(syunkon5以降はイトウさんが産休に入られ、今は井野さん、瀬尾さん、原川さんに担当して頂き、これまた違った熱いドラマがあって、楽しく本を作らせて頂いてます)
今ではイトウさんはお子様が2人いらっしゃるんですが
愛情をかける対象が私からお子様にうつったとたん突然束縛がゆるくなり、優しくなり
なんやろ、言い方あれやけど、DVの彼氏にふられたような感覚に陥って、ちょっとさみしくなったわ。(ほんであの頃のことをとても謝られました。子どもがいるとこんなに何にもできないの知らなかったと)
あー
ひくほど長くなってすみません。酔っ払いか。
何を大成したわけでもないのに、後から読み返したら後悔しそう。自己愛と押しつけがましさがすごいわーこの人。
とにかく読者さんのコメントに日々励まされ
運と人に恵まれて
日々せかせかと楽しく、本を作ってまっせ
という話でした。
ご清聴ありがとうございました。