クレヨンハウス東京が移転のため
11月23日が最後の日になるとを知ったのが
11月の半ば。

なくなってしまうわけではない
そう自分に言い聞かせて
気持ちを収めようとしていました。


数日悶々とするのですが
やっぱり行きたい。

行けばよかった
もしあの時行っていれば‥。
この類の後悔の苦しさは、もういや

行ける方法を考えました。

もう最後の日しか行ける日はなくて
当日、関空からpeachで。
いつものことながら
無事起きれた時点で、やれやれ、よしよし。

成田に着いたあたりで
予定変更となるお知らせが入ります。

東京駅に向かうバスのなかで
あれこれ考えます。
その先の選択はまた改めて。


終日大雨の関東
夕方、スマホと駅員さん頼りに
表参道駅着
駅近で何回か行ってるので強気です。


雨の中のクレヨンハウスがきれい。



やっぱり来てよかった
本当に来たかったから
クレヨンハウスが大好きだから。

そして何よりの目的
店長の吉村さんのもとに。

大人に絵本を読んでいきたい

そのきっかけをくれた

吉村さんが読んでくれた絵本


今日は終日レストランとのこと。




レストランに行くと

皆さん並んでます。


吉村さんはレジとケーキの前で

いつものように丁寧に対応されています。



久しぶりだけど

変わらない吉村さんに泣きそうになり

ぐっと堪えます。




待っている間

吉村さんや、ガラスの向こうで

黙々とケーキを焼く

ケーキおばさんの様子に見惚れます。


子どもの頃から今も

お料理しているのを見るのが大好きです。



とにかく、すごい人です。

同じ想いの方が沢山いるのが嬉しい。


てんやわんやの中での吉村さんが美しい。



林明子さんの絵本の人みたい

と、また ぐっとくる私。


順番が回ってきて

先にお会計。


素敵なコピーに、ワインも思わず


チャーミングなのが

「お一つ、どうぞ」と

オーガニックのみかんをいただきました。



今夜あたりいただきます。



この日はビュッフェ形式のみで

皆さん、ご機嫌でお食事。


私のようなお一人様も

男性も女性も

家族連れ

赤ちゃんから、高齢の方も

いろんな方が、にこやかに。


なんて穏やかで楽しげな食事風景。


あちこちのテーブルで

いただいたみかんをむいているので

こたつにみかん

な匂いと雰囲気。


食べ終わった子達なのか

テラスのあたりをキャッキャ笑いながら

ひたすらぐるぐる走ってて

従姉妹みたいに見えて

昭和のお正月の感じです。



隣のテーブルの親子さんは

赤ちゃんと幼児さん連れ。


二歳前後の男の子が

小さな指でぴりぴりとみかんの皮をむいて

お母さんの口にも入れてあげたり


お父さんとお母さんが

協力しながら食べさせ、食べています。



ふと気づいたのは

この時代に

こんなに人が沢山いるのに

誰もスマホを触っていない

子どもに動画を見せている人もいない


みんな

目の前のお料理に向き合って食べています。

お父さんお母さんとおしゃべりしている

子ども達がとっても嬉しそう。



こんな風景

何年ぶりだろうとと思いました。


改めて

ごはんを食べながらのスマホは行儀が悪い

作ってくれる人に失礼なんだ

と、慣れて諦めている気持ちに気づきました。

その温かな空間は本当にいいものです。


何より

子どもが沢山おしゃべりしていて

楽しそうなんです。




楽しく食べていたお隣テーブルの男の子が

湯のみを落としてしまいました。


ガシャんと割れてしまい

「すみません!」とお母さん。


そしたら

クレヨンハウス主宰で作家の

落合惠子さんが1番に飛んできて


「大丈夫よ!」と。


落合さんが

「大丈夫なのよ。

 人生にはね こんなことがいっぱいあるの。


 だけど

 大丈夫なのよ。


 大丈夫 大丈夫」と。



男の子は

うんと幼いのに、申し訳なさでいっぱいの顔。

何よりびっくりして泣き出しそう。


「ぬれちゃったね〜。」

と膝をついて

布巾で男の子の手やズボンを拭きながら

床も拭き

「大丈夫なんだよ〜」と繰り返す落合さん。


もちろんその様子をスマホで撮る人なんて

いません。

(先日、転けてしまった落合さんを撮っている

人がいたとか)



大丈夫

大丈夫 を

おまじないみたいに繰り返してもらって

男の子の表情が柔らいでいき

お父さんもお母さんも赤ちゃんも

柔らいでいく。


また泣きたくなります。



この絵本みたいでした。


この絵本の帯の言葉に心惹かれたんです。

「人生を支えら言葉を求めている人に」と

柳田邦男さんが書かれていました。


そう

大丈夫 だいじょうぶ は

人生を支える言葉です。



この絵本みたいに

大丈夫

と言って励まし大切にされた経験は

誰かを励まし助け、許す

優しい連鎖になります。


お父さんもお母さんも

お詫びしながらも

男の子を責めなかった。


思わず、お父さんに

「いい子育てされてますね」と

気持ちがこぼれました。



「いや〜、

 割れると思ってなかったかも です。


 普段はプラスチックのものが多いから」

と。

「大事な必要な経験ですよ」と

あれこれ

おしゃべりできる空気。



こんな経験が、どれほど大切かを

吉村さんから

教えてもらった本で

心に留めることができました。


優しく凛々しい先生の在り方に

何回読んでも泣いてしまう。

自分が抱きとめられた気持ちになるのです。



失敗しないように、しないように

先回りするのではなく


割れるから大切に扱う

陶器やガラスの手触りを感じながら。


もし割れてしまっても

「大丈夫よ」

と片づけることを経験していく


そうやって

必要なこと

大切なこと


あなたは大事な子なんだ

と教えていく。



落合さんの 大丈夫 に

みんなで包まれました。


片づけが終わって

男の子の顔に安心が戻ると

テーブルを離れていかれる落合さんに

彼は

もみじみたいに小さなお手てを


「大丈夫〜」と振りながら

にっこり見送っていました。



大人こそ

こうして振る舞いをおぼえて

助けたり助けられる姿を

子どもに見せていきたいです。



心ほかほかで

デザートを取りに行くと

落合さんが座っていらして

お話できました。



うちの子ども達もクレヨンハウスが大好きで

大人になった長男は時々ランチに来てたこと


吉村さんに会いに行ったら

絵本を読んでいる姿を

「〇〇君に面影あるなぁって思ってた」

と言ってもらえたこと


落合さんのおかげで

絵本屋になれたこと

買ってくださる方

応援してくださる方がいるから

続けてこれたこと

を話せました。



「絶っー対に本屋をなくしてはいけないの。

 がんばってね。

 無理はしないでね」

と熱くて優しい落合さんの言葉。


また泣きそう。


応援してくださる方のことを話しながら

一人のお客様の話題になりました。


ずっと介護されている裕子さん


裕子さんは落合さんのファンで

ずっとラジオも聴いておられます。


やっぱり時間が自由になるわけではなく

今は絵本との出会いが楽しみ

と。


そんなお話ができたので

思いきってサインをお願いしました。


ちょうど封筒を持っていたので

失礼で申し訳ないのですが

とお願いすると


「ちょっと座って書くわ!」と

裕子さんのためのサイン。



また泣きたくなる





「私から

 もう一言ね」と

封筒をひっくり返して




私達みんなが頷ける言葉です。




吉村さんとも会えて

吉村さん

「やっぱり寂しい」と涙涙。


「そう 寂しいね」と

いつも包んでくれた吉村さんと抱き合って

いい子いい子。


また吉祥寺に行くのを楽しみにします。


落合さんのご挨拶素敵ですよ!



大人からも子どもからも

メッセージいっぱい。








見送ってくださる落合さんとスタッフさん。





そんなクレヨンハウスからの

クーヨン

読み応えあります。

落合さんのエッセーも毎月の楽しみ。

子育て中ではない方が

よく買ってくださいます。


どの立場の方にも

広告なしのクーヨンからの発信は貴重です。


特に今月号

私達一人ひとりに大切なことです。




応援カレンダーも

ご好評いただいており嬉しい限りです。


「カレンダーっていいですね!」の声が

嬉しいです。

まだお届けできますので

よろしくお願いします。





絵本屋つきのあめ

からお届けします。