大人たちの過ぎゆく日々 -14ページ目

大人たちの過ぎゆく日々

身近な家庭菜園/現代小説

 (17) 「先生は独身だったなんて知らなかったわ」

「教師だから結婚には慎重なのかな ?」

「どうかな、夜遊びしてるんじゃないの?独身貴族」

「あのキャンピングカーって、いくらするの ? 高そうよね」

「ねー、聞くけどさ・・さっきの話し、先輩に似ているってほんと?」

「似ていたわ」

「でも、先輩の方が大人だったけどね、それに色っぽかった」

「それゃさ、先輩は2年も上だもの。私は何も知らない乙女だったからね」


「・・」


あの頃から山口先輩には彼氏がいたのだと色々想像もした「先輩は彼氏が居たから、大人びてたのね」それに比べ私たちは、中学生の延長のように女同士キャッキャッ遊びまくっていた。あの頃、山口美香はデートしてたと思うと何かが違っていた。

「私たち、先輩とは個人的な付き合いは無かったしね」

「そうね」

「もっと色々話したかったな。そしたら人生変わってたかも知れない。結婚相手も違っていたかも」と現実を・・後悔した感じの言葉に聞こえてくる。

「事故は悲しいけど、生きていれば45歳、女ざかりね」

「私たちの方が年下なのに、私たちは魅力のないオバさん」

そんなダメ押しが入ると「涼子は違うけどね・・なにか秘訣があるの ?」

「 ヒ・ミ・ツは持ちたいけど」と・・これは夫の事にも通じることと感じた。

「ヒミツかぁ?少し、私は少しへそくりはあるけどさ」

「私は主婦してるから、出不精になってるし」

「今更だけど男は、外で何してるか分からないね、お酒飲んだり、パチンコ・マージャン、浮気したりして自由ね」

「そうそう、仕事で遅くなると言われれば何も言えないからさ、黙って返事するだけよ」

「浮気ってさ相手が必要でしょ、よほどのプレーボーイじゃなければ、男100人浮気したら、普通に考えたら100人の女性が絡むよね、中には主婦も居たりして・・」と、なんとなく何もしない自分達が惨めに思えてきた。

「これゃ、先生よりも悲惨かも」


バカ笑いをしたが、あまりにも現実的に思えてしまい溜息を付くのだった。つづく

 (16) 涼子は美香先輩の代理で、先生は制服だけを愛しただけかと気付く。それでも余りにも話が悲しすぎて怒る気持ちにもなれない。

 

その時は代理でもいい、先生の記憶に残るような想い出の人になろうと「その後は、どなたかと結婚したんですか?」聞いていた。

 

「ん・・ショックが大きかったからな、気付いたらこの歳だよ。でも鈴木の変わらない制服姿を見て、彼女の姿を見れたようで嬉しかったよ、ありがとう」

 

その時、涼子は先生の為にも先輩の為にも体型を維持しようと決めた。すると黙っていた冬子が「涼子は先輩に似ていたからね」

 

弘美も「そうそう、テニスしている時なんか間違えた時もあったし」

 

思い出したことがある・・美香先輩が「鈴木さんは、私と体型がそっくりね。テニス上手になるわよ」


あの言葉は忘れてはいない。

 

倉田先生は、似ている事に対しては何も喋らないのは、山口美香とは違うのだろう。いくら体型が似ていても、愛する人とは別物なのだと。

 

「先生、たまには会いましょう」


寂しさを感じる先生の想いを言葉にすると、皆も賛成してくれた。

 

「それはありがたいが、そろそろ戻ろうか」星に願いが通じたのか、先生は夜空を観ながら立ち上がる。

 

バンガローに戻ると23時過ぎ、早く夕飯を食べたせいか夜が長い。涼子は先生の過去を知って「あ~あ・・ずーと慕っていたのになぁ・・」


冗談を交じえて告白した。つづく

 (15)私たちが二年生になると山口先輩は卒業してしまい、その後のことは知らない。それなのに倉田先生は、先輩と卒業後も付き合っていたと言うのか! 涼子は気持ちの整理が出来ないでいた。

 

「先生、聞くけど・・ありがとうって ? どういうこと」

 

「当時を思い出したんだよ。制服で着てもらえて嬉しかったんだ」

 

「え?」それで感謝されたの、そういうこと・・それより奥さんは?」


先輩のことが気になってると「んと・・交通事故で亡くなってしまった。しかも運転していた男子も即死で、彼も卒業生だったので同時に二人も教え子を亡くしてしまった」

 

「え、事故死?」すぐに複雑な結論を考えをしてしまう。

 

「結婚届を出してからでね・・その間に事故を起こした。聞くところによると、男子学生とは5年間は付き合っていたらしい・・」

 

「山口先輩は‥最後のドライブしたのかな?」

 

「それに比べ、俺は卒業後にコンビニで偶然出会っただけで、それが切っ掛けで会うようになっていたんだ」

 

「お付き合いは、じゃ二年 ?・・」

 

「いや、偶然出会ったのが卒業して一年後くらいかな?」

 

「知ってたんですか?先輩に彼がいること?」

 

「知らなかった・・美香から聞いたことも無かったし、でも何度か 『先生は社会人だから一緒に居ると落ち着く。私は安定感を求めているのかな?』 って言ってたのが気になっていた。あの時、大学生になっていた彼と付き合っていたんだね。そのことを知ったのは美香の友達から聞いて知ったよ」

 

星空を観ながら更に「俺はね、ずるい男だと悩んだ。事故は俺のせいだと・・知らないとはいえ、彼女と婚約までしてしまったんだから・・早いものだ、あの時から 25年も経ってしまった」

 

「これは怒られるかも知れないけど、美香の想い出の写真は持ってなくて・・高校の卒業写真での制服姿ばかりが記憶に残っている。それで実際に見たくて制服を持ってこいと皆に頼んだ」

 

・・

涼子は、もし偶然に好きだった人に出会ったら、どんな人生になるのだろうかと考えた・・今では偶然な出会いは有り得ない。一人で出掛けるのはスーパーの買い物くらいなんて人には言えない。そして偶然出会うのは、これからは病院の待合室かなと笑うしかなかったのだ。つづく