(15) 社会人だから一緒に居ると落ち着く、私は安定感を求めているのかな? | 大人たちの過ぎゆく日々

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身近な家庭菜園/現代小説

 (15)私たちが二年生になると山口先輩は卒業してしまい、その後のことは知らない。それなのに倉田先生は、先輩と卒業後も付き合っていたと言うのか! 涼子は気持ちの整理が出来ないでいた。

 

「先生、聞くけど・・ありがとうって ? どういうこと」

 

「当時を思い出したんだよ。制服で着てもらえて嬉しかったんだ」

 

「え?」それで感謝されたの、そういうこと・・それより奥さんは?」


先輩のことが気になってると「んと・・交通事故で亡くなってしまった。しかも運転していた男子も即死で、彼も卒業生だったので同時に二人も教え子を亡くしてしまった」

 

「え、事故死?」すぐに複雑な結論を考えをしてしまう。

 

「結婚届を出してからでね・・その間に事故を起こした。聞くところによると、男子学生とは5年間は付き合っていたらしい・・」

 

「山口先輩は‥最後のドライブしたのかな?」

 

「それに比べ、俺は卒業後にコンビニで偶然出会っただけで、それが切っ掛けで会うようになっていたんだ」

 

「お付き合いは、じゃ二年 ?・・」

 

「いや、偶然出会ったのが卒業して一年後くらいかな?」

 

「知ってたんですか?先輩に彼がいること?」

 

「知らなかった・・美香から聞いたことも無かったし、でも何度か 『先生は社会人だから一緒に居ると落ち着く。私は安定感を求めているのかな?』 って言ってたのが気になっていた。あの時、大学生になっていた彼と付き合っていたんだね。そのことを知ったのは美香の友達から聞いて知ったよ」

 

星空を観ながら更に「俺はね、ずるい男だと悩んだ。事故は俺のせいだと・・知らないとはいえ、彼女と婚約までしてしまったんだから・・早いものだ、あの時から 25年も経ってしまった」

 

「これは怒られるかも知れないけど、美香の想い出の写真は持ってなくて・・高校の卒業写真での制服姿ばかりが記憶に残っている。それで実際に見たくて制服を持ってこいと皆に頼んだ」

 

・・

涼子は、もし偶然に好きだった人に出会ったら、どんな人生になるのだろうかと考えた・・今では偶然な出会いは有り得ない。一人で出掛けるのはスーパーの買い物くらいなんて人には言えない。そして偶然出会うのは、これからは病院の待合室かなと笑うしかなかったのだ。つづく