第65回NHK杯/1回戦「藤原七段ー佐々木五段を振り返ろう」
今回は今朝のエントリーでもご紹介させて頂きました
昨日放送の第65回NHK杯将棋トーナメントの1回戦
「藤原直哉七段-佐々木勇気五段」の模様を振り返ります。
先手は現在20歳の新鋭・佐々木五段。
その初手▲7六歩に対して、藤原七段は2手目に
飛車先を突く△8四歩と返し、対局はスタート。。
3手目▲2六歩。
上図での持ち駒
▲佐々木五段: なし
△藤原七段: なし
時に振り飛車を採用する佐々木五段ですが
本局は3手目に飛車先の歩を突いて居飛車を明示。
「角換わり」での勝負を指向しました。。
10手目△7七角成。
上図での持ち駒
▲佐々木五段: なし
△藤原七段: 角
藤原七段も「角換わり」に異存なし。
そのまま定跡手順の進行となり、上図10手目に
藤原七段から手損のない角交換が敢行されました。
18手目△6四歩。
上図での持ち駒
▲佐々木五段: 角
△藤原七段: 角
角交換成立後
両者は「ノーマル角換わり」の常套手段である
「腰掛銀」を目指す駒組みを展開。。
33手目▲5六銀。
上図での持ち駒
▲佐々木五段: 角
△藤原七段: 角
早々と5筋に銀を構えた後手に対して(24手目△5四銀)
佐々木五段は自陣を十分整備してから、銀を5筋に定め
戦型はおなじみの「角換わり相腰掛銀」に。。
上図から次に藤原七段は
左の銀を3三の地点に繰り上げました(34手目)。
38手目△2二玉。
上図での持ち駒
▲佐々木五段: 角
△藤原七段: 角
上図でガッチリと「矢倉囲い」の中へ
玉の入城をすませた藤原七段は次の▲1八香をみて
4筋の金を一段下げて手を渡すと(40手目△4二金引)
以下、▲6六歩~△4三金直~▲2五歩~△4二金引~
▲6八金右に下図46手目△1二香と進行。。
46手目△1二香。
上図での持ち駒
▲佐々木五段: 角
△藤原七段: 角
金を上げ下げしながら手待ちを繰り返し
さらに1筋の香車を上げて「穴熊」へのシフトを示唆。。
「こちらから動かす駒はないので
そちらの駒組が終わったら仕掛けて来てください」
と、佐々木五段からの動きをジッと待ち続けます。
49手目▲4五歩。
上図での持ち駒
▲佐々木五段: 角
△藤原七段: 角
「先生、お待たせしました」
佐々木五段が仕掛けたのは上図49手目の局面。
飛車を元居た2筋に振り直してから(47手目▲2八飛)
4筋の歩をぶつけました。。
以下
△同歩~▲3五歩~△4四銀~▲1五歩~△同歩~
▲2四歩~△同歩~3四歩(57手目)と佐々木五段は
歩を連続で突き合わせお待たせした分、仕掛けを急ぎますが。。
60手目△3五銀。
上図での持ち駒
▲佐々木五段: 歩
△藤原七段: 歩3
藤原七段は頃合を見計らって角を投入(58手目△4六角)
抜け目なく桂取りを仕掛けると、佐々木五段も角を投入して
桂馬を守るべくヒモをつけました(59手目▲2六角)。。
その佐々木角を目掛けて藤原七段は銀をぶつけます。
この手に対して
佐々木五段は銀を引いて対抗(61手目▲4七銀)。
直後に二度目の角交換が成立しました。。
80手目△1八歩。
上図での持ち駒
▲佐々木五段: 角
△藤原七段: 香、歩3
藤原七段は再度手にした角を3筋に打ち打ち込み
基点を作ると、佐々木飛車の押さえ込みを図ります。。
85手目▲1四角。
上図での持ち駒
▲佐々木五段: 銀、歩
△藤原七段: 歩4
盤面向かって右側の制空権を
簡単に明け渡してなるものかと佐々木五段は
飛車、角を強引に藤原玉の頭上に貼り付けて
手を作り、紛れを求めます。。
しかし
106手目△2五玉。
上図での持ち駒
▲佐々木五段: 銀、歩4
△藤原七段: 飛、桂、歩
藤原七段の指し手に迷い無し。
先手の二枚角を巧みに押さえ込みながら
玉の上部脱出に成功しました。。
上図から次に佐々木五段が
9筋の歩を突き合わせるも(107手目▲9五歩)
藤原七段は構うことなく、玉を前進(108手目△2六玉)。
「入玉」をみせつつ、佐々木五段に手を渡しました。。
113手目△9三香成。
上図での持ち駒
▲佐々木五段: 銀、桂、歩5
△藤原七段: 飛、桂、歩2
藤原七段の老獪な指し回しが焦りをよんだか
佐々木五段は9筋の強行突破に打って出ますが。。
122手目△9八飛。
上図での持ち駒
▲佐々木五段: 銀、桂、香、歩5
△藤原七段: 桂、歩2
藤原七段は端の攻防でも厳しく裏を取り
切れ味鋭く、佐々木玉を仕留めにかかります。。
135手目▲8四馬。
▲佐々木五段: 飛、桂、香2、歩5
△藤原七段: 金、歩2
防戦一方となった佐々木五段は
それでも、玉を上部に逃げ出し何とか粘りますが。。
上図から次の瞬間、藤原七段が一刀両断。。
【 投了図・136手目△7六龍 】
投了図での持ち駒
▲佐々木五段: 飛、桂、香2、歩5
△藤原七段: 金、歩2
ズバリと龍を引いての王手で
佐々木五段を無念の投了に追い込みました。。
将棋界の次代を担うべき新星を相手に
快心の指し回しで勝利をおさめた藤原七段が
堂々の2回戦進出。
その2回戦では
名人挑戦中の行方尚史八段と対戦。。
これまた興味深い顔合わせとなり、実に楽しみです。
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【 序 章 】
「私と将棋界」
柔らかブログ誕生のきっかけとなった
第21期竜王戦以降の将棋界を熱く振り返ります。
【 第一章 】
「愛知女子将棋界の駒音」
山口真子さん/中澤沙耶さんインタビュー
【 第二章 】
「明日咲く花」
今泉健司さんへのエール&ミニインタビュー