Eric Dolphyについて | ScrapBook

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読んだ本についての感想文と日々の雑感、時々音楽のお話を

Eric Dolphyという名を知っている方はよほどジャズに通じた方だろう。僕自身ジョン・コルトレーンを聴き続けた中で知った名前だった。Eric Dolphyはアルトサックス、フルート、バスクラリネットを演奏するジャズマン。マルチリード奏者。チコ・ハミルトンのバンドで名を揚げ、チャールズ・ミンガスやジョン・コルトレーンとの共演で有名になるが、彼自身のバンドを率いた期間は短かった。ブッカー・リトルとの相当バンドでファイブ・スポットのライブ版はジャズの名盤の一枚だろう。リバーサイド、ブルーノートにリーダーアルバムを数枚残し、36歳という若さで異郷の地ベルリンで1964年に亡くなる。糖尿病であった彼が昏睡状態になった時、現地の医療機関でインスリンを投与されインスリンショックで亡くなったというから、当時のアメリカではインスリン療法は一般的ではなかったのだろうか? という疑問が起こる。

「馬のいななき」と評された彼の演奏だが、浅田彰が「Eric Dolphyはバード(チャーリー・パーカーのこと)のベクトルを持つ」と評したように彼の音は飛翔する。ブルースと現代音楽とゴスペルを混ぜ合わせた時代さえ軽々と飛び越えた音楽と言えば少しは彼の音楽について伝えることができるだろうか?

彼の音に耳を傾ける度に、僕はたらたらと垂れ流される格好のいいラップなんかより、また予定調和的な四角張ったPOPSなんかよりもずっとずっと軽く心地よいスリルを味わう。

アウト・トゥ・ランチ/エリック・ドルフィー

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