Nefertiti | ScrapBook

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ネフェルティティ(紙ジャケット仕様)/マイルス・デイビス

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夜、窓を開けていると肌寒い空気が部屋中に満ちてくる。ぴんと張りつめた空気を感じながらも湿度が低いため心地よくさえある。そんな環境で聴きたい音楽はこれ。

タイトル曲のNefertiti は、トランペットとテナーサックスが同じメロディーを演奏し続け、ドラム、ベース、ピアノが即興を続けるというジャズの方法論を逆転させた作品。ドラムコンチェルトという聴きかたもできるほどここでのトニーのドラムは冴え渡っている。しかし、この演奏を聴くとこの作品以前のジャズが霞んでしまうのは、なぜか?

次のFallも即興の途中に唐突に現れるテーマが、唯一ジャズを聴いているという感覚に聞き手をつなぎ止める。恐ろしく緊張感を孕んだ演奏だがテーマ曲とそれに続く曲を聞いた後では緊張も解けるというもの。しかし、名曲名演が続く。

Hand Jive以降は、このバンドが肩慣らしで演奏した感じがする。もっともポンタのテオ・マセロから聞いたことによるとNefertiti でさえ、あのバンドの練習を録音したもんだっていうから。どんな連中だろう?

しかし、マイルスはこれほどのバンドを解散しても自分が追求する音楽を選択する。彼は切り捨て、切り捨てて良質なものだけを残していく。そのエッセンスを最も伝えるアルバムが、これではないだろうか。

それにしてもウェインのテナーサックスは美しい。