Stan Getz Plays | ScrapBook

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スタン・ゲッツ・プレイズ(紙ジャケット仕様)/スタン・ゲッツ

¥2,000
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ジャズを聴き始めた当時、ソニー・ロリンズ、ジョン・コルトレーンなどハードなテナー奏者の演奏を好んで聴いていた。当然、ビックネームということでStan Getzも聴いてみた。か細い音がひょろひょろとスピーカーから流れ出す。トレーンやロリンズの豪放な演奏と比べるとなんとも頼りなく思えたものだ。

しかし、長い間ジャズを分からないまま聴き続けていると、そんなか細く頼りないStan Getzが、よく聴くとすばらしい演奏と思えてきた。か細い音と聞こえていた音は、とめどなく流れる繊細なメロディーラインに聴こえ出し、頼りない音色はカラフルな音色に変わった。

このアルバム、Getzがクールなプレイから徐々にホットなプレイに移っていく途中をとらえていると言われるが、彼の場合、ホットであろうがクールであろうが、彼のサックスから流れ出す音に身をまかせて聴いていると、どんな時代の演奏であっても彼は希代な、また天才的なメロディーメーカーであることがすぐに分かる。

リリカルなStella By Starlight、アップテンポで奏でられるThe Way You Look Tonight。ジジ・グライス作曲のHymn Of The Orientであっても、彼のオリジナルではないかと思ってしまう。つまり、どんな曲であってもまるで彼が作った曲でないだろうかと思えるほど、このアルバムの最初の曲からお終いの曲までが美しく流れ、終わりにむかって小気味よく進んでいく。ジャケットも可愛い。