いわゆるA級戦犯 | ScrapBook

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いわゆるA級戦犯

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株式会社 ビーケーワン

昨日、「パール判事の日本無罪論」の本を簡単に紹介した。この本は文庫本でページ数も250ページ程度。しかし内容はとても濃く、歴史上の事実に対してある一定の知識も必要とされる。東京裁判に関する文献はかなりの数にのぼり、大半は専門的な文献だ。また、中には著しく偏ったイデオロギーに基づいて書かれているものも散見され、気がつくと大方のテレビや新聞でマスコミが垂れ流す歴史観に染まってしまうか、自ら知らない間にネット右翼になってしまっているかだろう。

ここで取り上げる「いわゆるA級戦犯」の著者小林よしのり氏は、右翼であるとか批判の的となりがちだが、彼は「右翼」と呼ばれる類いの発言をしているのだろうか?

氏が右翼であるかどうかはさておき、この作品は、氏の数多くの作品の中でも異色作であろう。本作では、氏の情念とでも言うものがほとんど表現されていない。歴史的事実を淡々と描く事を通して、東京裁判の真相を読者の判断に委ねようとしている。戦争犯罪人の定義とは? そして東京裁判とはそもそも「法」に基づいたものなのだろうか?

本国会において、安倍総理の「歴史認識」について民主党や共産党がとやかく言っているが、彼らのあまりに稚拙な歴史認識を伝える新聞やテレビ、それを垂れ流しむしろ支持している既存のマスコミに辟易するより、歴史の真実に迫る文献を読み、自ら判断できる知識と良識を養う事がいかに必要であるか、テレビのコメンテーターの安易な発言を聞きながら、思う。しかし既存のマスコミのコメンテーターのレベルの低さはなんとかならないのだろうか?