読書録:「『司馬遼太郎』で学ぶ日本史」磯田道史 | 隠居ジイサンのへろへろ日誌

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九州北部の街で、愛するカミさんとふたり、ひっそりと暮らしているジイさんの記録

(内容紹介:ネット情報からおかりしましたm(_ _)m)

当代一の歴史学者が、日本人の歴史観に最も影響を与えた国民作家に真正面から挑む。戦国時代に日本社会の起源があるとはどういうことか?  なぜ「徳川の平和」は破られなくてはならなかったのか? 明治と昭和は本当に断絶していたのか?  司馬文学の豊穣な世界から「歴史の本質」を鮮やかに取りだし、日本の歴史と日本人について深く考えさせる意欲作。

 

司馬遼太郎(1923(大正12)年 - 1996(平成8)年)は、戦国時代と幕末・明治期という激動の時代を舞台にした作品を多く描いた歴史小説家です。高いビルの上から道行く人を観察するような「司馬史観」ともいわれる大局的で独創的な歴史の把握法と、エネルギッシュで個性的な主人公を描いて、日本でも指折りの人気作家です。たいていの作家は、本人が亡くなると人気も下がってくるものですが、司馬遼太郎の作品は、いまだに人気を保ち、評論集も続々と出版されています。

例えば図書館で、日本文学研究コーナーでをのぞいてみると、論評されている作家は夏目漱石がダントツ。続いて、紫式部、松尾芭蕉、宮沢賢治、太宰治、森鴎外、芥川龍之介あたりの評論や評伝が目立ちます。近年の作家では、司馬遼太郎や藤沢周平、松本清張、三島由紀夫など。

司馬さんと藤沢さんはどちらも歴史小説の大家です。司馬さんはノンフィクション、藤沢さんはフィクションと対照的な作風ですが、文章のうまさは、どちらもピカイチですね。両人とも新聞記者を経て作家活動にはいりましたから、記者時代に筆を磨いたのでしょう。

 

司馬遼太郎の小説は、若者、特に男性の人生に強い影響力があるといわれています。

いちばん顕著な例は、土佐脱藩浪人・坂本龍馬の活躍を描いた長編「竜馬がゆく」でしょう。歌手の武田鉄矢さん、ソフトバンクの孫正義さんが大きな影響を受けたというのは有名です。どちらも福岡出身の人ですけど(笑)。わたしの同級生や同僚にも、「竜馬がゆく」を読んで、龍馬信者になった人が何人かいます。

物語は、かなりな長編(全8巻)ですけど、読みだすととまらない魅力的な本です、もちろん坂本龍馬自身が魅力的な人物ですし、司馬さんの筆力もすばらしいのですが。

 

司馬遼太郎の作品は、戦国時代から幕末・維新・明治が中心です。現代小説は執筆されていません。それは、司馬さんが、戦車部隊として戦争に行ったことに関係しているのだそうです。「司馬史観」といわれる歴史認識や、戦後の現代小説をなぜ書かなかったかなど、その周辺のことは、この本に詳しく書かれていますのでネタバラシはやめておきます。

 

わたし自身は、小説本を20冊ほど読みました。ただ、司馬さんの本を読むのは、登場人物や時代背景がエネルギッシュなだけに、読むほうもエネルギーが必要なんです。読書記録を見たら、20代によく読んでいましたが、それ以降は、数年に1冊ほどになっていました。

司馬遼太郎と同じ歴史小説の分野では、吉村昭の、歴史の事実を厳密に積み上げていくような題材の扱い方と感情を抑えたカチっとした文体のほうが、わたし好みです。

 

「司馬遼太郎記念館」のホームページに、司馬作品の人気ランキング・トップ10が載っていました。

紀行文の「街道をゆく」以外は長編小説です。

この中では、

・「竜馬がゆく」=幕末の風雲児・坂本龍馬

・「燃えよ剣」=新選組副長・土方歳三

・「世に棲む日日」=長州藩の教育者・吉田松陰と、奇兵隊・高杉晋作

の3作品を読んでいます。

おもしろさからいったら、「燃えよ剣」がいちばんでした。

短編集では「人斬り以蔵」「アームストロング砲」がおもしろかったですね。

印象深かったのは「空海の風景」。とても難解でしたけど。

 

青年諸君には「竜馬がゆく」をぜひ読んでほしい。