(予定稿)散らからない紙情報の整理技術 | 隠居ジイサンのへろへろ日誌

隠居ジイサンのへろへろ日誌

九州北部の街で、愛するカミさんとふたり、ひっそりと暮らしているジイさんの記録

最初にお断りしておきます。
ここで整理の対象として取り扱う「紙情報」は、あくまでも「暮らしに関わる紙情報」です。会社や役所などの書類整理や、研究や論文の執筆など「知的生産」に関するもの、思い出や記念、家族写真など「個人的な心」に関するものは対象外です。わが家の場合、夫婦ともども重度の活字中毒者ですが、本・雑誌は買いません。図書館オンリーです。蔵書は段ボール1箱くらいです。本も雑誌も整理の対象外です。家族写真や子どもが描いた絵なども、ほぼ電子化(カメラ撮り&スキャナー取り込みで電子ファイル化)して、アルバムや現物も少なくなりましたから、これらも整理・整頓済みです。さらに、みなさんの家では年賀状が毎年どっさりでしょうけど、わが家は30年以上前に年賀状をやめましたから、来るのは数枚です。お年玉の当選番号を調べたらポイです。整理の必要もありません。

以上のことを踏まえて。
カミさんとふたりの団地暮らしでも、紙による情報は否応なく入ってきます。新聞・手紙・はがき・ダイレクトメール・チラシ・ビラ・パンフレット・役所からのお知らせ・商品に付属した保証書や取扱い説明書・・・・もし、ちいさな子どもがいるなら幼稚園や学校からのプリントなどなど。
みなさんの家では、家に入ってきた「暮らしに関する紙情報」をどう処理しているでしょうか?
家の中の片づけは「モノと情報の整理・整頓」です。モノだけが片付いても、情報、特に紙に書かれている情報が片付かないと、ほんとうに片付いたとはいえません。家庭内での紙情報の取り扱いは、洋服や食器などのふだん使うモノとはちょっと違ってきます。紙に書かれている情報は千差万別です。新聞や本、雑誌はもちろん、資産やお金、身分や資格、仕事や学校に関係する書類も、多くはまだ紙の情報です。ペラペラの紙1枚でも、処理を間違えば大きな損害を被ることがあります。家の中の断捨離や片づけでは、洋服や食器などのモノを整理する前に、日々入ってくる紙情報(本・雑誌を除く)を最優先で処理することが重要だとわたしは思います。
片づけ本を読むと、紙情報の整理にもさまざまな方法が紹介されいます。それは、紙の情報は、家族構成や職業や暮らし方などで、種類や量・処理方法がそれぞれだからです。しかし、多くの片づけ本では、「家に入ってきた紙情報は、受け取ったらすぐに内容を確認して、しかるべく処理すべし」と書かれています。暮らしに関する紙情報の処理では「迅速処理」が最大の武器です。忙しいからといって、受け取ってからすぐに処理しなかったら、処理するのが面倒になり、さらに散らかって、さらに忙しくなる。

「片づけたいけど、めんどくさいなぁ。」
「あとでやろう。」
「ちらかってるので、家事も仕事もすすまないなぁ。」

片づけや断捨離というのは、つまるところ、この負の連鎖との闘いです。どこかでその鎖を断ち切らないと永遠に下降ループがつづきます。ゴミ屋敷、モノ屋敷へ一直線です。それは職場でも家庭でもいっしょです。
では、どうすればいいのか?
片付かない負の連鎖を断つには、「片付くしくみづくり」と「片づけの習慣化」が重要です。紙情報の混乱状態を整理するには、受け取ったらすぐに内容を確認して、しかるべく処理することを習慣化することがいちばんの解決方法です。複雑なしくみだと、めんどうになって長続き(習慣化)しませんから、できるだけシンプルな方法(しくみ)がおすすめです。

わが家の紙情報の処理をご紹介します。紆余曲折・試行錯誤した方法です。ただし、これがベストな方法なんてことは思っていません。あくまでもみなさんの片づけの参考に。
生活用品とは違って、家庭内の情報処理は、家族の共通認識がないと混乱します。シンプルな方法で、毎回の処理を習慣化すれば、「年金の書類、どこにやった?」とか、「スマホの保証書はどこにある?」なんてことはなくなります。
順を追って紹介します。
 

目標は、
①紙に書かれたことを確実に実行していけること。
②雑多な紙情報を整理・整頓し、探しやすくすること。
③必要以上に増殖させないように捨てやすいしくみにすること。
④見た目をよくすること。

 

「整理・整頓」とよくいいますが、整理と整頓はやることが違います。
片づけの手始めにやることを「整理」といいます。
整理の目的は、雑多なモノ・情報を選択・分別して、不要なものを捨て、必要なものを残すこと。
整理の、その次が整頓です。
整頓は、整理されたモノ・情報を一定のルールで並ばせ、必要なモノ・情報を、迅速かつ正確に選択・検索ができるようにすること。さらに、家の中では見た目もだいじですね。紙に限っていえば、視野の中に「本の背表紙以外の雑多な紙の書き物」が入らないこと。テーブルの上に読みかけの新聞や雑誌が置いてあったり、宣伝チラシや役所からのお知らせが乱雑に重ねてあったり・・・。
整理と整頓は相反することもありますが、家庭内の情報量くらいでは、双方とも両立できると思います。

紙情報のサイクル

1 受け取った紙情報は、
2 種類ごとに分類して、
3 選別し、
 ・不要なものは廃棄またはリサイクルへ
 ・必要なものは、次のいずれかの処理をする。
  →すぐにアクション(返事・回答・支払い)する。
  →いったん保留して、後で処理する。
  →保存する。
4 保存が必要なものは、すぐに検索・利用できるようデータ化またはファイリングをする。

 

図のサイクルが円滑に回っていれば、家庭内の紙の情報は混乱状態にはなりません。4つの通過点(ポイント)を、シンプルに、かつ確実に通過させることが片づけの習慣化、期限順守、処理の迅速化にもつながります。習慣化というのは、「意識しなくても、同じ動作が自然にできること」です。
工程管理の応用です・・・むかし、職場でこういうのやったことがあるなぁ(笑)。

では、このサイクルを回す方法として、わが家で実践しているしくみを具体的に紹介していきます。
紙の情報は、
(1)できるだけ家に入れない
(2)すぐに処理する
(3)処理後は3か所へ現物を移動させる

というシンプルな方法です。

まず、紙の情報は、
(1)    できるだけ家に入れない
時間と労力をかけずに紙情報を整理する大前提は、家の中へ入ってくる不必要な「紙」そのものを抑制し、不要となった「紙」を処分することです。モノも紙情報も同じですが、不要でムダなものがなく量が少なければ、選択・処理・管理する労力と空間・かかわる時間も少なくてすみます。
①新聞や雑紙などの処理
わが家に入ってくる紙情報のうち、紙としての量、情報量とも一番多いのは新聞です。わたしもカミさんも新聞好き。旅行に行ったときでも、コンビニで買って読みます。旅行先では、その地方のローカル紙を読むのもおもしろいものです。ですから、新聞は入場を抑制していません。
家では、読みかけの新聞はマガジンラックに立て、テーブルの上などに置きっぱなしにはしません。読み終わったら押し入れの中の新聞ストッカーへ。


 リサイクル資源として、ここに一旦ストックします。1か月で、黄色いストッカーの3分の2くらいになります。食品の箱やトイレットペーパーの芯、ティッシュペーパーの空き箱などの雑紙やダンボールなどもここに一旦ストックしておきます。月に1回、地区の廃品回収が回ってきます。「紙」を、そのままゴミとして捨てることはほとんどありません。ゴミ袋の倹約にも役立っています。
読みかけの本や新聞、雑誌などは、できるだけ「平置き」にしないように心がけています。これは会社でデスクワークをしていたときからの習慣です。使い終わった資料は、かならず立てて置く。資料を平置きで重ねるのは、片付かない人のデスクの典型です。いつも忙しそうにしているのに、探し物が多くて、仕事が前に進まないタイプ。
ちなみに、新聞の折り込みチラシは、新聞販売店に申し出ればチラシ抜きで配達してくれるそうですが、わが家は折り込みチラシでゴミ箱を折るのでチラシは消耗品です。
②広告チラシの侵入を阻止
紙の量が新聞の次に多いのが、わが家の場合、かつては広告チラシでした。これは、次のように侵入を阻止しました。
わが家は賃貸の集合住宅です。ということもあって、マンションや戸建て住宅の広告チラシが狙い撃ちのように毎日、郵便受けに入っていました。それに加えて、新学期には学習塾、決算期には自動車販売店、選挙のときは政党や候補者のパンフレット、ピザの宅配、ラーメン屋、から揚げ専門店、高級食パン、パチンコ店、ガソリンスタンド、歯科医院・・・と、郵便受けに入りきれないくらいの広告チラシが入っていたときもありました。その量は、市役所からのだいじな郵便物がその中に紛れ込むほどでした。
困った困った。ほんとに困っていました。
なにか対策はないか、ということで、こういうのを作って郵便受けに貼りつけました。
 
これは効果絶大でした。
郵便や市政だより、選挙公報などはちゃんと入りますが、毎日大量に入っていた広告チラシは1枚も入らなくなりました。ポスティング会社もクレームが恐いでしょうからね。団地の集合ポストのうち、5割くらいの部屋が同じようなものを貼っています。ポスティング(チラシ入れ)をする側からすると、マンションや団地の集合ポストは、一度にたくさんチラシを投入できるのでありがたい場所なんですけどね。カミさんが以前、1枚1円のポスティングのアルバイトをやっていて、そんな話をよくしていました。
③ダイレクトメールの侵入を阻止
カミさんが以前、通信販売で購入していたサプリや化粧品の会社からのダイレクトメールが数社から送られてきていました。分厚い冊子や、なかには商品サンプルのようなものまで送られてきていました。購入自体はずいぶん前にやめたのに、ずっと送り続けてくるんですよね。
「もう買うこともないんやろ、ダイレクトメールは止めてもろたら?」というと、「そうやね。もう違う乳液を買うようにしたけんね」と言って、販売会社に電話をしていました。電話口で、やめた理由をあれこれ聞かれたり、他の商品を売り込まれていたようですが、「もう、購入する予定はありません。ダイレクトメールは送らないでください」とキッパリ。こういうのは、キッパリと断ればだいじょうぶです。これで、数社分のダイレクトメールをカットできました。
「チラシを入れないでの貼り紙」と「不要なダイレクトメールお断り電話」で、郵便受けには、必要なものしか入らなくなりました。その結果、郵便受けのカギを開ける手間もずいぶんと減りました。チラシやダイレクトメールでお困りの方、簡単でオススメの方法です。
④パンフレットの侵入を阻止
博物館とか美術館とか観光施設などにいくとパンフレットが置いてありますよね。わたしはもらいません。チケットも即、捨てます。カミさんは「思い出やけん」と言って、とっておいているようですが・・・これは、人それぞれですね。いまは、そういう類のパンフレットはネットで見られるのに・・・でも、思い出を紙の現物で残したいという他人の趣味に、口出しは厳禁です。
⑤レシート・領収証の侵入を阻止
すこし前まで、カミさんは食費だけの家計簿をつけていました。そのため、スーパーのレシートは捨てられませんでした。リタイア後に晩ごはん担当になったわたし。スーパーで食材の買い物をするのはわたしなんです。ところが、レシートをたびたび失くすので、カミさんから叱られるんです。わたしも、いいかげん頭にきて、「もうレシートは捨ててくるけん」と宣言したら・・・、カミさん、ちょっと考えて、「そうやね、お互いケチで無駄遣いせんから、家計簿もやめようかね」という大英断(笑)。
ふだんの買い物はクレジットカード払いです。通帳をみれば使った金額はわかります。支払いの証拠が通帳に記載されるものは、領収証・レシートは全捨てです。
現金で支払うのは、商店街の八百屋さんと病院、コンビニで支払う税金も現金じゃないとダメなんですよね。
生活習慣病で毎回高い薬代を支払う薬局は、クレジットカードが使える薬局に変更しました。薬はそのままもらいます。薬袋はもらいません。ずっと同じ薬ですから薬の説明書ももらいません。
わたしが通院している個人病院は現金のみ。手数料がもったいないのでしょうね。お医者さんは意外とケチですな(苦笑)。
病院と薬局の領収証も即処分します。生活習慣病のデパートで、毎年、医療費控除の申告をします。以前は、病院と薬局の領収証は、控除金額の計算用に1年間分保存していたのですが、いまは、医療費をどれだけ使ったか市役所からハガキが来るんです。国保で支払った医療費(薬代含む)は、そのハガキで計算できます。
以上、
・郵便受けに「チラシは入れないで」の貼り紙をする。
・「ダイレクトメールは不要です」の電話をかける。
・パンフレット類は持ち帰らない。
・レシート・領収証はすぐに捨てる。
これだけで、かなりの紙が入ってこなくなりました。
 
(2) すぐに処理する
紙情報の侵入をできる限り阻止しても、日々生活していれば、役所からのお知らせや保険会社、年金事務所などから連絡便がきます。もし、子どもが学校に通っている家庭なら、プリント類もまだまだ多いでしょう。教科書もノートもドリルもテストも宿題も紙情報です。わが家でも、3人の息子が家にいたときは、学校関係の紙があふれていました。学校からのお知らせなんかは、いずれかは電子化するのでしょうけどね。小2の孫がいる次男ちに行ってみますと、まだまだ紙が多いようですね。
家の中に入ってきた紙情報はすぐに処理する。これ以外に暮らしに関わる紙の情報をうまく管理する方法はありません。
まずは、受け取ったら、あきらかに不要なものはすぐに捨てることです。
そのへんの空いたスペースにポンと置かない。
不要だと判断したものは、ゴミ箱か資源回収スペースへ直行する。
すぐにです。
躊躇せず、すぐにです。
郵便やメール便に個人情報が載っていれば、手でむしり取ってゴミ箱に捨てます。
どなたかの片づけ本には、「紙情報は、空中にあるうちに処理すべし」と書いていました。受け取った紙情報は、手から離して、あとでどうにかしようと思ったらダメということです。手に持っているうちに要・不要の判断をし、処理する。それくらいの気持ちで処分しましょうとのこと。
日々の暮らしに係る紙情報についての要・不要の原則。
捨てられないもの=現在および将来必要なもので、かつ、この世に1つしかないもの。
捨てられるもの=上記以外のもの。
捨てられないものの例
・財産とお金に関する証書(通帳、権利証、年金証書、契約書、保険証書、保証書、保存が必要な領収証など)
・身分や資格などの公的証明書(マイナンバーカード、運転免許証、保険証、カード、資格証など)
・返事や回答、支払いなど、今後の対応が必要な書類。
それ以外は、捨てても生活に支障はありません。家族写真やラブレターや子どもが描いた絵なども、捨てようと思えば捨てられます・・・これは要・不要論ではなく、心の問題ですけど。
対応が必要となる紙情報の処理方法は3つです。
・即応=すぐに対応が必要なら、即日、返事を書く、連絡する、支払うなどのアクションをとる。
・保留=期限に余裕があるなら、いったん、目につきやすいところに仮置きをする。
・保存=対応が不要で保存が必要なものは、検索しやすいようにファイリングまたはデータ化する。
ある日のわが家を見てみましょう。
郵便受けに入っていたお知らせは、テーブルか台所の棚に置きます。テーブルの上も棚の上も、ふだんは何も置いていません。つまずく床置きや、そのへんにポイ置きをせず、散らからない部屋にするにはこれがだいじです。
 
すぐにアクションが必要な案件は、忘れないうちにその場でやれば済みます。まあ、こういう郵送物に対して即時対応するケースはほとんどないでしょうけど。
期限に猶予があれば、現物をなくさないよう、またアクション(返事や回答、支払い)を忘れないように、一時保管しておきます。わが家の一時保管場所は台所のコルクボードです。押しピンで貼りつけます。ブスッと刺すだけ。1秒ですみます。
 
重ね置いたり、引き出しに入れたりはしません。一時保管場所はここだけ。なんらかのアクションが必要な紙情報はここに押しピンで貼りつけます。
この日受け取った「よかドック」(福岡市・国保加入者の健康診断)のお知らせも、ここで一時保管です。
この日は、眼科検診の予定とか、歯医者さんからの健診案内ハガキとか、図書館の貸出レシートとか、団地の工事日程とか、美術展のお知らせなんかを押しピンで貼りつけています。紙に押しピンのちいさな穴があきますが、ずっとこの方法ですから、穴はまったく気にならなくなりました。ここに貼っておけば、一覧でき、忘れることはありません。歯医者に行くか行かないかは別にして(笑)。
3人息子が家にいたときは、学校からのプリントがあふれんばかりになっていましたが、いまは老夫婦ふたりだけ。だいたいこんな感じです。わが家でいちばん混沌とした壁面です(笑)。
パソコンでデータ化すれば、捨てられる紙もあります。
例えば、血液検査の結果表です。
30年来の糖尿病で3か月に1回、血糖値などの検査をします。そのデータはエクセルに入力しています。データ入力は5分もかかりません。検査結果表の紙は破って捨てます。過去30年分のデータをエクセルに入力しています。糖尿病などの生活習慣病は、血液検査データの変化が診断の重要な指標となります。結果データを有効活用できます。
こんな具合です。・・・データだけで、血糖値が改善するわけでもありませんが(苦笑)。
 
また、初診の病院に行くときなどは、そのデータを印刷して持って行けば、お医者さんからぞんざいに扱われることはありません。これは過去に何度も経験ずみです。あまり自慢できる話じゃありませんけどね(笑)
電気・ガス・水道の使用量(検針票)などは、カミさんが「趣味」で、ずっとノートに記録しています。他人の趣味に口出しをするのは、夫婦でも厳禁ですね。

(3) 処理後は3か所へ現物を移動させる
これまで紹介したように、
①一瞥して不要なものは、ゴミ箱かリサイクルボックスへ直行。
②とりあえず一時保管のものは、台所のコルクボードへ。
では、保存が必要な紙情報はどのように管理するか?
③保存が必要な紙情報はファイルに保存します。
わが家でのファイリング方法をご紹介します。
わが家の暮らしに関する「フローの紙情報」は、このファイルボックス1つに入っているだけです。
書類の件名を封筒に書き、関係書類を入れ、ファイルボックスに立てて保存する。
 
厚さ10cmくらい。
もし、わたしたちが死んでも、このファイルボックスをみれば、手続きや連絡先は全部わかります。新陳代謝していますから、必要書類は30秒以内にでてきます。

そのほかのファイルボックスには、「ストックの紙情報」が入っています。
 
ストックの紙情報・・・
成人した3人の子どもたちの通知表や、母子手帳、電子ファイル化しなかった家族写真、卒業証書、プリンタ用紙、50年以上前のカミさんの通信簿、わたしが仕事で作ったプレゼン資料、会社の辞令、孫娘が「おじいちゃんだいすき❤」と書いたお手紙とか・・・本以外の紙資料は全部この中です。
このファイルボックスは硬い紙製(硬質パルプ)です。プラスチックだと目障りですが、自然素材だと部屋の中にあっても目障りになりません。人間の目の不思議ですね。家の中では見た目もだいじです。

・・・わが家のファイリングのやり方
家庭内での情報管理で重要なことは保存ではありません。情報共有と検索です。検索できてこその情報です。それに、だれでもが「それがある場所」がわかる必要があります。一人暮らしならいいでしょうけど、家族で住んでいるなら、情報共有と検索は必須です。複雑な整理方法をやると絶対に長続きしません。
さらに、やたらと増殖させない「捨てる」方法も重要です。
検索を素早く・確実にやるためには、紙の書類や資料は、
①分類して、
②立てて保存する

というのがファイリングの基本中の基本。
そのひとつとしてバーチカル・ファイリングという方法があります。書類を1件ごとにフォルダに挟み、垂直(バーチカル)に立ててファイリングする方法です。役所や一般企業でよく採用されているファイリング方法です。
書類整理(ファイリング)は、書類で仕事をする会社や役所ではどこでもやっていることです。これをやらないと会社や役所は成り立ちません。また、会社や役所では、文書の管理方法についてきちんとしたルールがあります。みんながルールに従って文書を処理しないと組織の力が発揮できません。家庭生活をうまく運営するのも同じです。ただし、家庭内でこまごまとしたルールを作っても絶対に破綻します。ルールは、シンプルでめんどくさくないほうが習慣化します。
ファイリングや情報処理・整理の基礎技術は、日本の学校では簡単にしか教えてくれないようですね。ですから、子どもたちの勉強机の上は、教科書、ノート、お便り、マンガや宿題など、紙の資料が平積み状態で、いつも散らかっている。親の世代でも同じでしょう。家庭内の書類も、あちらこちらの引き出しの中で積み重なり押し込まれていることが多いのではないでしょうか。この世から紙の書類がなくならない限り、ファイリングの技術は必要ですし、たとえすべてが電子化されても、ファイリングの基本知識がないと、情報を扱う会社や組織では仕事ができません。英語やプログラミングを教えるより前に、ファイリングや情報処理・整理の原理原則を教えるのが先だと思うんですけどね。
次の写真は、わが家での現在進行中のフローな書類の一部です。
分類は、書類(情報)の種類によって、時系列・五十音順・事案別などの方法がありますが、家庭生活では事案別が一般的でしょう。
 
 
老夫婦ふたりのわが家での分類は次のようなものです。
・年金
・国民健康保険
・介護保険
・マイナンバーカード
・税金
・預貯金関係
・確定申告
・医療費控除
・印鑑証明
・団地の契約書
・月極駐車場
・スマホ
・インターネット
・NHK
・電気・ガス・水道
・生命保険
・クルマ関係
・ETC
・バイク関係
・電気製品などの保証書
・診察カードとお薬手帳(苦笑)
・名簿・住所録
・卒業証書や資格証
・慶弔袋
・コロナワクチンの接種証明
・取扱い説明書
→操作を覚えたら捨てる→メーカーのホームページに載っているから。
取扱い説明書は、いまは1冊も保存していません。全部捨てました。わが家にある工業製品のうち、いちばん機能が多いのはデジタル一眼レフですが、取扱い説明書には、基本的な機能しか載っていません。そのなかに、「説明書に載っていること以外の機能については。付属のCDかニコンのホームページを見てくれ」って書いているんですよね。カメラの基本機能は覚えましたし、カミさんが1眼レフを使うことは絶対にありません(笑)。捨ててもだいじょうぶ。
わが家の紙の書類や資料の保存は、
①分類して=封筒(フォルダ)に件名を書いて、書類を放り込み、
②立てて保存=ファイルボックスに入れる。
それだけ。
とにかく、1分類1封筒(フォルダ)です。たとえ紙が1枚でも1分類1封筒(フォルダ)です。1枚の書類でも件名を書いて封筒に入れます。「その他」とか「雑件」というような封筒は作りませんから、書類が迷子になることはありません。「ここをみれば必ず必要書類が出てくる」という安心感を持てることは、書類整理の大きなメリットです。
書類を増殖させないためには、封筒(フォルダ)を並べる順番も重要です。わが家では、初めて作ったフォルダ(封筒)、最後に使ったフォルダ(封筒)を一番手前に置くようにしています。野口悠紀雄「超整理法」の押し出しファイリングの簡易版です。
 
図のように並べると、よく使うフォルダは手前に、あまり使わないフォルダや長期間使わなかったフォルダは後ろに下がります。探す時間が短縮できると同時に、使用頻度が低い書類もわかります。要・不要の判断もつけやすいのです。時期が来て、中身をドバーっと出して、再確認して、不要なものを捨てれば整理はおしまいです。
暮らしに関する書類で、老夫婦がいつも使うものなんていうのはタカが知れています。わが家の場合、しょっちゅう使うのは、病院の診察券とお薬手帳(笑)。年金のお知らせが年に数回、保険や税金関係は年に1回、契約関係は変わらなければ変化ありません。
取扱い説明書? 最後に見たのは最近買ったスマホのマニュアルですが、あらかた覚えたので捨てました。分からなかったら、子どもに聞いたほうが早い(笑)。
研究や執筆など「知的生産」に関する紙情報や、手紙や写真、思い出など個人の気持ちのこもった紙情報は、処分のハードルは高いでしょうが、生活に関する紙情報は、有効期限つきのものが多く、要・不要の判断は比較的簡単です。
家で商売などをしているならともかく、一般家庭での分類数はさほど多くないと思います。
大分類~中分類~小分類と固定して並べる「図書館式の分類・ファイリング」は、ファイルの数が膨大になれば利点もありますが、不要になった書類を捨てるには適していません。暮らしに関する紙情報は、一定の間隔でファイルの中身を見直さないと、物量としての「紙」そのものが限りなく増殖していきます。保存スペースが限られているのであれば、フローな紙情報は時間軸で管理するのがベターだと思います。
ファイル数が多くなる家庭であれば、家族ごとに、図書館式と押し出し式を併用するのがいいかもしれませんn。
例:分類後のフォルダ(封筒)を押し出しファイル式に並べる。
・家族共通
家計
税金
家財
契約
  ・
  ・
・夫
 健康保険
 年金
 医療
 仕事
 健康診断
・妻
 健康保険
 年金
 医療
 仕事
 健康診断
・長男
 学校
 習い事
・長女
 学校
 習い事

「その他」のフォルダ(封筒)は作らないこと。
・・・子どもの学校の書類は、小学生以降は自分でファイリングするように躾ける。そんなことは当たり前です。
整理整頓・片づけは、子どものころからの習慣づけがだいじです。

書類を入れるのに、以前は使い古しの封筒に入れていましたが、最近100円ショップに行って封筒を買ってきて新しく作り変えました。A4が入る角2の封筒=13枚で110円でした。2袋買いましたから220円。安い投資です。1回やっておけばずっと使えます。
封筒の上の折り曲げ部分(フタ)はカットします。書類を出し入れするときに、ひと手間省けます。ちょっとしたことですが、フタを開け閉めするのって、けっこうメンドクサイのです。封筒は立てて置きますから、資料がこぼれることはありません。めんどくさがり屋のちょっとしたコツです。
挟んでいる書類が透けて見えるビニールのクリアファイルがありますが、あれって、意外と中身を視認しにくいんですよね。
片側が開いているので、小さい書類がこぼれ落ちることがある。
ツルツルとしたプラスチックの手触りが、わたしは大キライ。
重ねると滑る。
立てかけても単独で立たない。
紙の封筒みたいに古びないし、くしゃくしゃに丸まらないから物理的・心理的に捨てにくいんです。
オマケにもらった派手なプリントのものなんてサイテーです。あれは情報処理の道具じゃありません。

実は、これまで読んだ「片づけ本」では、家庭内での書類の整理方法がほとんど触れられていません(※)。語弊があるかもしれませんが、いろいろな片づけ本の中で、片づけの対象になるのは、1に洋服、2に洋服、3に洋服(笑)。それからずーーーーと下がって、雑誌、本、食器、おもちゃ、思い出の品・・・。つまり、家庭内の洋服さえ片づけば、片づけの半分は終わったも同然のような書きぶりなんです。でも、家庭内で洋服より大事なのはいろんな書類、探してもなかなか出てこないのも書類。どこに紛れ込んでしまったのかわかならいのも書類。「あの書類、捨てたんやないやろか」と心配になるのも書類。書類の整理がされないと、とてもたいへんな事態になることは、みなさん経験があるのではないでしょうか。わたしなら、片づけの第1位に挙げたいのが書類の整理です。重要な紙情報さえ確保して整理・保存できていれば、あとは何を捨てようとかまわないと思います。
 

(追記)

最近、「人生が変わる紙片づけ!」石阪京子著(ダイヤモンド社/2022年4月)という紙情報の片づけ本が出版されました。同書では、紙情報の電子化についても詳しく書かれていますので、その方面が得意な方は、参考にされてはいかがでしょうか。・・・しかし、電子化って、あれ、わが家レベルの書類量では、時間がかかって、かえってめんどうな気がするけどなぁ。
一応、わたしも、免許証とか健康保険証とか預金通帳とか保険証書とか年金証書とかマイナンバーカードとかクレジットカードとかETCカードとか、再発行がめんどうなものはスマホで写真に撮って保存しています。紛失したり災害があった場合、番号と連絡先さえわかれば手続きがスムーズにすむようですから。
 
(参考資料)

 

 

 

(2022.06.04予定稿)