第六のF、ニコンF6 | 1m71

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札幌出身。日本各地、デンマーク、米国、印度、豪州、現在京都と専門職資格を手に生き抜く。欧州一周鉄道旅行、Amishとの異文化生活と千ドル中古車で北米大陸二度横断、マザーテレサの家ボランティアと世界を探検中。インスタグラムはonlyzeiss。

 

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 ニコンF6が発売されてからちょうど3年(2004年10月22日発売)になります。今日ではフィルムカメラを取り巻く環境はやはり厳しく、既にコニカミノルタがカメラ事業から撤退しキヤノンもフィルムカメラの開発をやめ、フィルム一眼レフカメラの最高機種はF6のあとは今日までありません。F6が最後のフィルム一眼レフ最高機種になるかもしれません。
 ニコンのF一桁シリーズはニコンのフィルムカメラの最高機種のシリーズです。F一桁シリーズはプロ用カメラの位置づけでしたが時代がデジタルカメラ主流(特に報道カメラマン系)になり、F6はプロ用という位置づけではありません。
 自分にとって最初のF一桁シリーズの購入(2005年4月)でした(…ひょっとして最後のF一桁購入かも…)。F一桁というのは高校のときに同級生のF3を見たのが最初です。当時は高校入学祝に買ってもらった他社の入門一眼レフを使っており、F3と聞いてもぴんときませんでした。何年か後にニコンのF-401でオートフォーカスカメラを使い始め(1985年にミノルタのα-7000のテレビコマーシャルを見たとき、自動でピントが合うと知ってショックに近い驚きでした)、その数年後にニコンのF70Dを使い始めました。F70Dはカメラ自体の性能は高かったのですが、機能を使うには操作系が煩雑でデンマークを旅行で訪れた際に買い取り価格が良かったことから売却し、代わりにアメリカで中古のニコンFE2を購入しました。当時日本ではFE2の中古価格が生産終了後高騰し六万円前後だったと記憶しています。以来ニコンはFE2がメインカメラでした。2004年まではカメラは中級機で必要十分だと思っていましたが、最後のF一桁購入になるかもしれないと思い、新品で二十万円を超える購入価格だったのでかなり迷いましたが、ある記念の意味もあって思い切って購入しました。
 このF6、それまでのFシリーズとはちょっと違います。以前のF一桁シリーズは重厚なイメージがありました。ところがF6は軽快でシャッター音も拍子抜けしそうなほど軽く感じます。オートフォーカス時代よりニコンフィルムカメラの最高機種と上級機種は主に単三型電池が電源に使われていましたが(単三型電池は世界中で入手が容易)、F6では小型のリチウム電池になりました。しかしながら防塵防滴機能は前機種F5と同程度ということでマグネシュウム外装のボディとあいまってプラスチック外装のカメラにはない堅牢性を感じさせてくれます。
 ニコンのカメラで気に入っているのは見えないところへの気配りでしょうか。一例はF6のシャッターモニター機能です。シャッター速度誤差を最小限に抑え、異常を検出すると表示されます。カメラ雑誌やウェブで報告されることがありますが、使用のカメラのシャッターに異常があるにもかかわらずそれを知らずに撮影を続け、現像後フィルムを見て愕然とする場合があるとのことですが、F6ではそういったことが避けられます。失敗が許されない撮影状況では頼もしいカメラです。他社のカメラも所有し他社のカメラにもニコンに負けない長所がありますが、個人的には日本のモノづくりの意気込みはニコン一桁シリーズにも代表されると思っています。F6のボタンのクリック感覚、メインスイッチと測光モードダイヤルが印刷ではなくたとえ削れれても金太郎飴のように消えることがないなどニコンの想い・日本人のモノづくりの心意気が詰まったカメラを所有できて日本を遠く離れた地で励まされています。せっかくのF6なのだからいい写真を撮らなければ。
 最近はフィルムカメラをぶら下げて撮影している人(特に女性)が日本の街中では目につくとのことですがデジタルではまだまだといわれている空気感をぜひ味わってほしいと思います(特に白黒写真で)。
 イメージはソニーのDSC-R1で撮影。フラッシュはスローシンクロモードで三脚使用。夜景と人物を両方きれいに撮りたいときたいへん便利なモードです。シャッタースピードが遅くなるので三脚などを使用してカメラを固定して撮影する必要があります。最近のデジタルカメラでは高感度のノイズが低減されているのでスローシンクロモードを使わずに感度を上げることによって同等のイメージを得ることもできます。