私はこの13年半で、車内販売を10000回も利用した超マニアです。
1日平均2回、列車の車内販売で品物を購入しています。
10年前・20年前は、多くの特急で車内販売が実施されていましたが、この10年で車内販売をしている列車が大幅に減少しました。
ですから、40歳以上の乗客にとっては、車内販売で品物を買うのは、当たり前の「文化」「習慣」なのです。(もちろん売店の方が安いから、車内販売を利用しない派もいますけど)
一方で20歳前後の若い人にとっては、車内販売でワゴンを停めて買うのは、不慣れで結構ハードルが高い独特の難しさがあるでしょう。
ホント?と感じるかもしれませんが、不慣れな人が車内販売で買うのは結構「勇気」が必要なのです。
今回は、「不慣れな人が利用しにくい理由」と「利用の仕方」について。
■ハードル【1】品物が一部しか見えず不安
現在の日本では、コンビニはじめ多くの店で、品物をじっくり見て選ぶことができます。
ですが車内販売では、ワゴンの中に収納されている場合が多く、何があるのかパッと見ただけで分かりません。
「飲み物を何でもいいから買いたい」なら問題なくワゴンを停められても、「買いたい品があるか不明」の状態で声をかけてワゴンを停めるのは、案外ハードルが高いでしょう。
↑東海道新幹線2020年。
半分くらいの品は収納されていて見えません。
販売品のメニューの一部は、ワゴンに写真入りで貼られています。
《対策1》販売員に確かめるor検索
コンビニと違って品物が見えない訳ですから、販売員に尋ねるのが基本です。
販売員もその辺は理解していますから、「何か腹の足しになる品ありますか?」「ソフトドリンクは何がありますか?」とでも尋ねたら、「酒以外の飲み物は、コーラ、缶コーヒー、ネクター、お茶があります」などと具体的に選択肢をあげてくれます。
軽減税率になってから、メニューは席に置くことは、ほぼ無くなっていますが、販売員が持っているメニューを見せてくれることも多いです。
東海道新幹線と山陽新幹線では、ホームページのメニューが比較的しっかりしています。
「東海道新幹線 車内販売」「山陽新幹線 車内販売」と検索してチェックしましょう。
■ハードル【2】販売員と話しながら買うのが苦手
現在60歳以上の人なら、コンビニやスーパーでなく、地域の個人経営の店で買い物をしていたと思います。
店の主人には顔と名前を知られていて、「今日はお母さんと一緒でなくてお手伝いかな」とか「そのTシャツはカッコいいねえ」などと話しかけられます。
ところが、若い人は話しながら買うスタイルには、慣れていません。
話しながら買う習慣が無い人にとっては、ビールは何がありますか?などと何往復かやりとりしながら買うのは、不慣れで違和感があるハズです。
《対策2》慣れるorあらかじめ調べる
本来は「車内販売は話しながら買うものだ」と考えるのが良いのです。
むしろ、「会話しながら買うのが車内販売の魅力」とも言えます。
でも、どうしても会話して買うのに抵抗ある人は、車内販売で何を売っているのかを検索しておきましょう。
そして、「ビールと、じゃがりこをください」とでも言って買いましょう。
↑比較的品物が見やすいワゴン(快速ゆけむり2022年3月)
■ハードル【3】買わないのは悪い?
ワゴンには何が載っているか、よく分かりません。
買いたい品が明確に決まっている場合、ワゴンを停めて品物が無かったら、買わないことになります。
テレビCMで、クレジットカード類が「使えますか?」と聞かれて、「現金だけなんです」と答えると、「じゃ、いいですぅ~」と大口顧客が逃げていくというエアペイのCMがありました。
この品物が無ければ買わない「じゃ、いいですぅ~」に抵抗がある人もいるでしょう。
販売員にとっては、「品物があれば買う」という声かけは、迷惑でも何でもないと思いますが、変に優しい人は気を遣うのかもしれません。
《対策3》堂々と買わないor安いお茶を買う
買いたい品が無ければ、「じゃ、いいですぅ~」もアリです。
多くの列車の販売員は、車内販売の売り上げが2倍になったら時給も2倍になるような歩合制ではありません。
無理して売ろうとは思わないのです。
でも・・・どうしても気になる場合は、安い飲み物でも買いましょう。
JR東日本の特急・普通列車グリーン車では、350mlのお茶は170円です。
お茶なら冷めても飲みやすいです。
■ハードル【4】後ろから無言でワゴンで気づかない
「勇気?」を振り絞って車内販売を利用しよう!と決意しても、買えない時があります。
ワゴンが音もなく、「車内販売でございます」と声もなく、無言で通り過ぎることがあります。
特にこの2~3年、新型コロナの影響が出ているのか、声を出さない販売員が目立ちます。
私のようなマニアは、ワゴンの音に敏感ですが、それでも通り過ぎてしまうことがあります。
2度目に前から来た時に買えば良いのですが、その時には下車駅に近くなっていたら買えません。
《対策4》追いかけるor手を振る
何mも先に進んだワゴンに「ビールください!」などと大きめの声が出せる人は、それはそれで買うことができます。心臓の弱い控えめな人は、どうするかですが、大きく2つあります。
1つは、ワゴンを追いかけるのです。
「通路側の席」または「窓側の席だけど通路側が空席」なら、難なく追いかけていけます。
もう1つは、手を振ることです。販売員がその1両を出る際は振り向いてお辞儀をします。
(まあ新幹線の最後尾なら25m近く離れますから、気づかれないかもしれませんが)
もちろん販売員には、「後ろから無言で通り過ぎる」のは避けて欲しいものです。
【まとめ】
若い人を中心に、車内販売の利用に慣れていない人は多い。
慣れていないから利用しないのは、もったいない。
品物が無いなら買わないのもアリだから、堂々と車内販売のワゴンを停めよう!
【おまけ】
以上のような傾向がありますから、結果的にこうなります↓
■1人ワゴンを停めたら次々と停まる■
一部の乗客は「何がワゴンにあるか分からない」「ワゴンを停めたけど買わないのは申し訳ない」と感じる傾向があります。
近くの客がワゴンを停めて「シンカンセンスゴイカタイアイス」を買ったとします。
保冷ボックスを開けて、スプーンを渡して、代金を受け取ってと、30秒はかかります。
その間、近くの客はワゴンをのぞきこんで品物の有無を確認できます。
販売員の性格が悪くて「そんな品物ないよ」と、冷たい視線を浴びせたりしそうもないことが、無いのも分かります。
また、一緒に乗っている連れに「ビールでも飲むか?」などと話をする時間ができます。
そして、近くの客が「シンカンセンスゴイカタイアイス」を買うのを見たら、自分も買いたくなったりします。
そのため、客1人が車内販売を利用すると、周りの客も次々と買う傾向があるのです。
ですから、腕の良い販売員は1人に売ってから次々と周囲に売れていきますから、売り上げが一気に上がります。
カリスマ販売員、伝説のアテンダントが生まれるのは、こういった事情からだと思います。