「葬式鉄」に思う~小田急を利用して | 車内販売でございます。

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車内販売を15年半で11000回を利用してきた「車内販売大好きな乗客」が書くブログです。 多数の観光列車に乗り鉄しています。

 私はダイヤ改正前日3/25に、小田急ロマンスカーVSEに乗って、シートサービス最後の利用をしてきた。廃止される直前に利用するのを「葬式鉄」と言う。
 この時の話は、こちら↓
往き http://ameblo.jp/syanaihanbai/entry-12143126993.html
帰り http://ameblo.jp/syanaihanbai/entry-12143515226.html

 
 写真↑は、廃止されたシートサービスのカゴ

【1】葬式鉄とは
 列車が廃止される直前に利用することを、「葬式鉄」と言うようになった。(やや否定的な言い方で使われることが目立つ。)
 今春は、「カシオペア」「はまなす」が廃止されるのに伴い、鉄道ファンが押し寄せたそうだ。(写真↓は2015年8月の北斗星最終日の大宮駅)
 

【2】2年前には「しおさい」で葬式鉄
 私の興味は車内販売だから、やはり最後に乗って、車内販売を利用したくなる。
 今まで、車内販売廃止の最終日に、車内販売を利用したことがある。
2年前の2014年3月に「しおさい」の車内販売が廃止される最終日に、東京から千葉まで乗車した。列車は現在も走っているが、車内販売かなくなった日に利用したのだ。
 
 この日は運良く、夕方に千葉市で用事があった。最後の利用だから、こちらも力が入っていて、車内販売で弁当を食べることにした。
 弁当と飲み物を買って、販売員さんに「今日で車内販売なくなるんですね、寂しいですね」と声をかけた。すると「あとでまた来ますから、ご利用ください」と笑顔で応対してくれた。表情からは、『誰にも気づかれずにヒッソリ廃止する状態は寂しい、別れを惜しんでくれる客は有り難い』というふうに、読み取れる表情だった。
 
 
 写真↑は買って食べた弁当。私は最後の利用をして、良かったと感じた。最後に「しおさい」に乗った話は、こちら↓
http://ameblo.jp/syanaihanbai/entry-11796295271.html

【3】ロマンスカーで「葬式鉄」
 この3月のダイヤ改正で、小田急ロマンスカーVSEで、シートサービスが終了することになった。今回は、最後のシートサービスを惜しむ鉄道ファンが、何人かは狙って乗ることは予想していた。
 何しろ人気列車の最終日の最後の営業だからだ。車内販売の終了を狙うのが「葬式鉄」と呼ばれるのかは微妙だが、去りゆくものを見送るという点では、共通するものがある。
  
 
 私は新宿から小田原を往復したが、行きは町田、帰りは本厚木で次の列車に乗り換えた。普通は往復すれば二本で車内販売を利用できるが、途中で乗り換えれば4本で利用できるわけだ。私が乗ったのは次の赤い区間である。
【下り】
はこね43号・新宿17:10→→町田→→小田原
はこね45号・新宿17:35→→町田→→小田原
【上り】
はこね44号・小田原19:20→→本厚木→→新宿
はこね46号・小田原19:41→→本厚木→→新宿
 

【4】常連のマニアが二人
 最初の「はこね43号」に、新宿から乗る時点で、明らかに鉄道マニアと思える客が二人いた。新宿停車中から、アテンダントさんに話しかけていた。高校生らしき人と、30歳にはなっていなさそうな人の2人だ。
 おそらく2人は、私と同じく最後の利用をしようとしている人だと直感した。実際に正解だった。
 マニアが考えることは同じで、単純に1往復するのではなく、乗り継ぐことを考えたのだろう。乗り換え駅は異なるものの、私と同様の乗り継ぎをしていたのである。
 最後の「はこね46号」に乗り、町田を発車してから、最後の利用をしようとして、カウンターに向かった。
 すると、あの常連さん2人と、カウンターで一緒になった。


 カウンター正面の窓際に、買った飲み物を置いて、車窓を見ながら立ちながら、くつろぐのである。 狭い場所に私と常連さん2人の3人が一緒になった。

【5】常連の人は
 私は「先ほどの列車からの乗り換えですね。私もですよ」などと軽く話しかけた。ニコッとした表情をされたが、言葉は帰ってこなかったが。
 でも2人、正確にはこの2人は直接の知り合いでなくバラバラに行動していた1人+1人なのだが、場をよくわきまえていた。他の客が通る時には、体をよけて通りやすくしていた。
 私が近くにいた時には、常連さんは2人とも、知り合いのアテンダントさんとの会話は控えめにしていた。
 私は「おや?」と思って、カウンターの近くだが直接見えない場所に移った。すると、私が消えてすぐ、こんな会話が。
常連さん:「あと少しで終わりですね」
アテンダントさん:「ワゴン販売は続くので、また利用してくださいよ」

 アテンダントさんが客に答えるのなら、普通は「またご利用ください」なのだが、「また利用してください」とギリギリ丁寧語を使ったのだ。
 周りに一般客がいない状況で、顔見知りの常連客に対してなら、かえって親近感ある言葉遣いだ。

 これを聞いて、すぐ座席に戻ることにした。
(1)もともとシートサービス終了は触れないような対応だった。アテンダントさんに話しかけてもスルーされたし、放送による案内も特にない。何か特別なことはなさそうだと感じた。
(2)アテンダントさんと顔見知りの常連客が、2人もカウンターにいる。ここに混ざっても、歓迎はされないと感じた。私だって、いつも乗っている路線で、廃止か何かあって、最後の利用をしている時に、「葬式鉄」マニアに乱入されたら、残念に思える。常連さんは周囲をよく見て、節度を持っていたから、こちらも配慮したくなった。

【6】ホームとアウェイ
 小田急から降りて、激しい「アウェイ感」に襲われてしまった。
 小田急の車内販売は、この2年で20回ほど利用したが、常連さんはその何倍も利用していそうだ。私にとっては、小田急が好きだから「ホーム」と思っていたが、実際は「アウェイ」だったと思い知ったのである。
 

 こんなわけで、「ホーム」で車内販売を利用して、安心感を得たくなった。
 帰りの普通列車では、普通列車グリーン車を利用した。車内販売ではチューハイを買って飲んだ。
 
 普段は軽く挨拶する程度のアテンダントさんだったが、いつもの笑顔を見て、私の利用し慣れている地元路線は安心するなあと、実感したのだった。