【釈 正輪 メルマガ 5月21日号】 日々是好日 | 自灯明寺

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【眞のラストサムライ】

 現在、全米話題のドラマとなっている「SHOGUN将軍」をご存知でしょうか。
映像の中で切腹の場面が出てくるのですが、「切腹の儀礼」に、これが本当のサムライの切腹なのかと、ドラマを観たアメリカ人たちは驚愕したと、米国の友人が言っていました。

 しかし、実は切腹を有名にしたのは川上音二郎(明治の劇作家)とその妻、貞奴(さだやっこ)の一座が、アメリカで実際に「ハラキリ」と称した切腹の場面を演じていたからだとも言われています。

 さて今回は、知る人ぞ知る歴史上の人物。明治新政府を救ったと伝えられる、眞(まこと)のラストサムライこと、「瀧善三郎(たきぜんざぶろう)」について述べたいと思います。

 瀧善三郎は今から約百九十年前、岡山市北区で生まれます。時は風雲急を告げる慶応4年(1868年)1月11日。後世にいう戊辰戦争の真っ只中。
旧幕府と明治新政府の間で緊張が続く中、事件は起こりました。

 備前藩(岡山藩)で鉄砲を扱う部隊の隊長を務めていた善三郎に、新政府から兵庫県西宮での警護を命じられます。 
実はそこへ向かう道中に起こった出来事でした。善三郎が加わる備前藩の隊列が、神戸三宮神社の近くを通りかかろうとしたその時のことです。

フランスの水兵二人が、行列を無理やり横切ろうとしたのです。この時代、侍の隊列を横切るのは御法度です。善三郎は横切るフランスの水兵を止めたものの、水兵たちはこれに応じず、銃撃戦へと発展してしまうのです。さらには、この件に乗じてイギリス・フランスなど六か国が、新政府に抗議文を出し外交問題へと発展していったのです。

 新政府にとって初めてとなる外交問題でした。問題は、この事件で死者が一人も出ていないにも関わらず、諸外国の要求は「新政府の謝罪」と「責任者の処刑」といった、実に理不尽極まりない重いものでした。 

 「Protégez immédiatement les résidents japonais!(ただちに在留邦人を保護せよ)」
欧米列強は居留地防衛のために、神戸港を武力占拠し、停留している日本船舶を片っ端から拿捕(だほ)しました。
更にその要求はそれだけに止まらず、事件の再発防止という名目で、日本側の現場責任者の処断(処刑)となり、善三郎が指名されたのです。

 数名の負傷の被害に対してはあまりに重すぎる、然も、そもそも事の発端は無礼行為(供割)ではないか……日本側の必死な抗弁も虚しく、ついに善三郎の切腹が決定しました。
これが後に語り継がれる「神戸事件」です。

 「是非もなきこと。この腹一つで各国と和親が復するならばお安い御用。奉公人としてこれ以上の本懐はございませぬ」 

「このままでは、神戸は先のアヘン戦争でイギリスに奪われた香港のように、植民地にされてしまいます。日本の未来を切り開くため、今は欧米列強の傲慢を耐え忍ばなくてはなりませぬ」 

「あの毛唐どもに、目にモノ見せてくれましょう」

 かくして迎えた慶応4年(1868年)2月9日、いよいよ善三郎は切腹の晴れ舞台に立ったのでした。

 死刑を要求したフランス人のイメージは、何の作法もなく首を切る『ギロチン』でした。しかし実際はとんでもない。短刀を深く刺し、更に右へ引き、最後は十文字に斬り上げるといった、武士道の作法に殉じた正式の儀式で切腹したのでした。

 この善三郎の堂々たる最期は、外国に衝撃を与えたといわれています。善三郎の死によって事件は収束しました。

 当時は欧米諸国がアジア各国を侵略していた時代でした。もし、「善三郎の死」がなければ、神戸の街は香港やマカオのように植民地になっていたかもしれないといわれています。

 命をかけて外交問題を解決した善三郎の死は、世界的ベストセラー新渡戸稲造の「武士道」でも触れられています。

 「切腹」の是非はともかくとして、大義のために命を賭けて事にあたる潔ぎよき者は、今の日本にいるのでしょうか。
人生とは「死に方用意」日々悔いのない生き様を心掛けたいと思います。

           合掌

きのう見し 夢は今さら ひきかえて
神戸の浦に 名をやあげなむ

 「昨日見た夢を、今に引き換えて神戸の浦に、名を上げる機会を得ることができた。
かねて夢見ていた功名の機会を、ここ神戸にて実現したのだ」

           瀧善三郎 辞世の句

                  釈 正輪 拜




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