【釈 正輪 メルマガ 5月14日号】 日々是好日 | 自灯明寺

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【いろは歌】

 先週末の仏教講座で「いろは歌」についてお話を致しました。  
今回は皆さんにも、「いろは歌」をご紹介致しましょう。

 そもそも「いろは歌」とは、仏説から引用されたもので、その元となっているのが、お釈迦様の物語です。

 お釈迦様が遠い過去世に、雪山童子(せっせんどうじ)であった頃、深遠なる悟りを求めて修行の日々を送っていました。
ある日、風に乗って「諸行無常(しょぎょうむじょう)是生滅法(ぜしょうめっぽう)」と聞こえた「悟りの偈文」に導かれ、異形の「羅刹(らせつ)鬼」と出会います。
続きが聞きたい童子は、鬼に手を突いて頼み込みました。

 羅刹は言います。
「ここ十日ばかり、俺は何も食っていないのだ。だが、飢えのあまり、うわごとのように、何か口走ったのかもしれぬ。しかし、もう話す力がないのだ」

 だが、ようやく見つけた言葉の主。童子は懸命に説得します。

 「では、あなたの召し上がるものを用意いたしましょう」

「それは無理だ。俺は人参や大根。犬や猫の肉は食わぬ。生き血滴る生温かい人間の肉しか食わぬのだ。どうだ驚いたであろう」

 必死の懇願に、獲物をもて遊ぶように言い放った悪鬼を、静かに見つめて童子は尋ねました。

「それは私の肉でもよろしいのか」
「それはいいが、そんなことできるはずはなかろう」

 意外な申し出に訝しげな羅刹を童子は畳み掛けます。

「いや、あなたがもし、残りの偈文をお聞かせ下さるならば、私は喜んでこの体を差し上げます。
どんなに大切にしても、五十年か百年で滅びる体です。永遠に生きる悟りを得られるなら惜しくはありません。どうかお聞かせください」

 再び羅折に額(ぬかず)いた。その時でした。
 
生滅滅已(しょうめつめつい)
生滅滅し已(お)わりて
 
寂滅為楽(じゃくめついらく)
寂滅を楽と為す

 端然(たんぜん)として羅刹が、残りの偈文を説きました。同時に、童子の一切の迷雲は晴れ晴れ渡り、ついに悟りは開かれました。

 「あぁ…我が出世の本懐、成就せり…」

 かつて体験したことのない歓喜にむせぶ童子は、後の衆生のために偈文を木石に刻みつけたいと願い出ます。

丁寧に一文字一文字、彫り終えると、感慨深げに偈文を眺め、しばしたたずんでから、やがて身を翻して近くの樹に登ると

「いざ、参らん」

サラリと羅刹めがけて投身したその時でした。羅刹は、仏法を守護するインドの神、「帝釈天」に変化し、童子を抱き留めて地上に降ろし、礼拝してこのように褒め称えたのでした。

 「善いかな、善いかな、あなたこそ眞の菩薩である。その決心があってこそ、仏覚を開くことができるのです」

 帝釈天は羅刹となり、雪山童子の求道心を試さんとしたのでした。

 雪山童子が生命を懸けた「偈文」の心は、有名な「いろは歌」に歌われています。

           合掌

 色は匂えど 散りぬるを
 (咲き誇る花も、やがては散り逝く)

 わが世だれぞ 常ならむ
 (世に常なるものなどありはしない)

 有為の奥山 今日越えて
 (苦しみ迷いの奥山を、今乗り越え)

 浅き夢見じ 酔いもせず
 (迷夢に酔うことのない世界にでた)

 一切の滅びる中に、滅びない真実が、仏教にはたくさん教えられています。

                  釈 正輪 拜




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◯5月25日(土)10時より
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◯5月26日(日)13時半より
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◯5月26日(日)18時より
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どなたでもご参加いただけます。
お気軽にお越しください。

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釈正輪 秘書 赤荻由那

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