【釈 正輪 メルマガ 3月19日号】 日々是好日 | 自灯明寺

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【狼狽の心】

 わたしたちは日々の生活の中で、いつも動揺してはいませんか?
それは確固たる信念と湧き起こる不安からなる「狼狽」なのです。

 剣による礼儀作法と術を指南(指導)をしているわたくしですが、何よりも大切なことは、技を磨くこと以上に精神を鍛錬しなければなりません。何故ならば、狼狽する不安な心が生きるか死ぬかの境目になるからなのです。

 幕末の剣客家で名高い千葉周作がある晩、二、三の門弟を連れて品川へ釣りに出かけました。

 松明を照らして沖へ沖へと魚を求めて行くうちに、方向を見失ってしまいました。
どちらが陸か?さすがの周作先生も狼狽して多くの松明をどんどん燃やさせ、四方をうかがいますが全く見当がつきません。
焦りながら海上を彷徨ううちに、頼りの松明が燃え尽きてしまいました。

 最早これまでと千葉周作は観念しました。
ところがよくぞ言ったもの。

 ″窮すれば転ず、転ずれば通ず″
辺りが真っ暗になるにつれ闇の中にくっきりと、濃い陸地の影が見えてきたではありませんか。

 一同歓呼の声をあげました。
後日周作がその体験を知人の漁夫に話すと、漁夫はニコニコしながらこのように言ったのです。

 「先生らしくもないことです。松明で陸は見えません。松明は足元を照らすものです。遠い方を見るときはかえってその灯りが邪魔をします。そんなとき、わしらはワザと松明を消すのでさ」

 「なるほど、私は松明に頼っていたばかりに、かえって遠い陸地が見えなかったのだ」

 なにごとも全体を見回すこと。目先に一喜一憂していては遠大な未来を見通すことは出来ないと千葉周作は悟りました。

 その後、千葉周作の編み出した北辰一刀流は冴えに冴え、江戸一と言われるほどの流派に成長したのでした。

               合掌

 窮して窮して窮して変じ
 変じて通ず

 妙心寺管長・正眼寺専門僧堂師家、梶浦逸外
 
 この言葉はわたくしの師匠、故梶浦逸外老師の言葉です。己が信じた道を不退転の意思をもって、これでもか!これでもか!と、最後の最後まで貫く、さすれば必ず道は開けるのだと、わたくしに説いてくださいました。

 閑坐聴松風(かんざして しょうふうをきく)

心が穏やかだと聞こえてくるでしょう。松が風に揺れる音が。日々何かと忙しいわたしたちは、そんな穏やかな音に気がつくこともありません。
絶えず不安を抱えて生きているわたしたちですが、何があっても動じない心。その心を築くためには確固たる信念を持たなくてはなりません。

そして自分を信じるのです。しからば必ず聞こえます。かすかな音が。
信念無き不安な人生は、漆黒の夜海を羅針盤のない舟で彷徨しているようなものです。
心も体も狼狽しているわたしたちは、この松の音のように、人生において大切なことを見落としてはいないでしょうか?

            釈 正輪 拜





ちょうちょ講話会

どなたでもご参加いただけます。
お気軽にお越しください。

◯3月22日(金)19時より
 大阪市住之江区 フラミンゴカフェ
◯3月23日(土)10時より
 兵庫県宝塚市 戸島雅美様サロン
◯3月24日(日)13時より15時
 15時より17時まで、和法(礼儀作法)を行います。
 大阪市 鶴見区民センター
◯3月24日(日)18時より
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シャムロッククリエイティブ株式会社

釈正輪 秘書 赤荻由那

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