何気なく、ふらっと立ち寄った書店。

ギター・マガジンもベース・マガジンも、既にしっかり立ち読み済みである。

他に読みたい雑誌があるわけでも無いのだが、自然と足が向いた音楽コーナー。

そこで目に飛び込んできた、近年ではあまり目にしない、懐かしい「井上陽水」という活字。

なんじゃらほい?

と手に取ってみると、分厚い。


Like cool,man,cooool!

厚さ28mm。「インタビュー40年の集大成」

なんじゃこりゃ!

というわけで、2~3ページぱらぱらと見ただけでレジへ直行した。


店員「3,800円になります」

私 「 ( ̄□ ̄;) 」


もちろんそんな驚きは顔にも口にも出さず、クールに支払った。

今は一気に読みたい気持ちをなだめすかしながら、味わうように舐めるように読み進めている。


そう言えば今年、デビュー40周年なのだ。

そのうち約35年間、彼を聴き続けてきた。感慨もひとしおである。

既に新しい発見もあり、先が気になるところだが

あと19mmはGW中の楽しみに取っておこうと思う。


最初に断っておくが、これは書評ではない。


高橋和巳氏の『我が心は石にあらず』


たしかに学生時代に先輩に勧められて読んだことがある。

だが二十数年経った現在、その内容は全く覚えていない。

そもそも当時もその思想どころか、文意すら理解していなかったと思う。


実はロシア文学に憧れた時期があった。

十冊ほど、無理して読んだ。

しかし登場人物の名前が覚えられないという、極めて阿呆らしく情けない理由で読むのをやめた。(ラスコーリニコフという名前だけは今も覚えているが)

だいたい私は重厚で難解な文章が苦手だ。

軽妙で、電車の中なんかで読んでいたら、思わず「ぷっ」と吹き出して恥ずかしくなるような文章を好む。


こんな私だから、高橋和巳氏の作品はいくつか読んだが、どれも心の中に入ってこなかった。

よって未だにタイトルの意味すら知らない。

知らないくせに、実は気に入っている。

我が心は石にあらず。

このフレーズ。

「こう見えても私の心は石じゃないんだから、傷ついたり悲しかったりがっかりしたりすることもあるんですよ」


本来の意味は違うらしい。

石なら転がる。転がれば憂いも晴れる。だが石ではない私の心は晴れることがない。

そんな感じ。

幸い私の憂いはたいてい長続きしないので、多少は転がっているものと思われる。

そこで思い出すのがこの諺。

転石苔をむさず。

英語では

A rolling stone gathers no moss.

苔を良いものとして解釈するか、悪いものとして解釈するかで意味が変わってくる。


結局、石は転がる方がよいのか転がらない方がよいのか?

私の結論は、

「別にどっちでも良い」


真面目に読んでくれた人がいたら申し訳ないが、こういう意味のない文章を書くことが好きなだけ。


でもThe Rolling Stonesでロックとブルースに目覚めた私は、どちらかといえば転石肯定派ということになる。


だから?


いや、まったくもって、どうでもいい話だ。

ブルースもロックもソウルもR&Bも、今となっては自分の血肉になっていると思うのだが
(そう信じている)
やはり私の音楽の原点は、井上陽水の『氷の世界』と『陽水ライヴ/もどり道』の2枚のアルバム。


LPなんて半年に1枚買えるか買えないかという中学生の頃である。それこそすり切れるまで聴いた。


あの声、細い目、素朴な顔、もじゃもじゃアフロにベルボトムのジーンズ、独特な文字、ギターの音、すべてが格好良かった。




井上陽水(本名:いのうえあきみ)
デビューは1969年9月
当時は「アンドレ・カンドレ」という名前で、「カンドレ・マンドレ」がデビュー曲名。




どういう意味か知らないが、このふざけた名前が陽水の作風を物語っていると思う。
適当、語呂合わせ、言葉遊び、思いつき。
本人がなんと言おうが、多くの曲の歌詞は絶対そんな感じで作ったに違いない。
いくつかの美しい詩を除いて。


Like cool,man,cooool!

この曲は、かの忌野清志郎との合作。
意味不明なシュールな曲も好きだが、これも大好きな曲のひとつ。
ちなみにドラムは林立夫、ベースが細野晴臣、ギターに高中正義、等々凄いメンバー。

いま聴くと、また違った発見があったりして新鮮だ。