世界観 | ボクシング原理主義

ボクシング原理主義

ボクシングの原理原則に則っとりながら技術論や方法論を分析考察。技術や意識の向上を目指したい、いちボクサーの見識メモ。
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            武士道とは死ぬこととみつけたり


「葉隠れの有名な言葉ですが、

それが表現されたのは江戸時代。

戦国の世も夢も醒め、
いわば生まれる時代を間違えたようにそれぞれの義と闘争の場を失った武士達の腹を割った言葉ではないでしょうか。

ある種そんなものと似通った匂いのするボクシングワールド。

ボクシングに限らずワールドワイドなものにはそれなりに様々な世界観が存在するのは当然なのですが、選手に対する認識・評価というものに関して特にそれを感じる。

例えば亀海選手の認識は日本ではディフェンスマスター。
ところが海外ではディフェンス無いスターという認識。」



荒川対フィゲロアや

今回のような試合の内容をみても、やはり日本はよりファイトが浸透・卓越していて海外はよりボクスがという感じですな。

チャルロ対太田とかもそうでしたが日本勢は海外勢をファイトに持ち込み、海外勢はこちらをボクスで封殺する。面白くないとか過小評価しているという理由でファイトに付き合う外人は酷い目に合うというのがセオリーのようです。

石本対アバロスや長谷川対マルチネスなんかは展開として逆・スタイルとして逆ですが、能力としてはそうだと思える。

日本勢はやはりサイズがデカい。ボクシングのような階級制の競技には他スポーツで謂われるような肉体的ハンデは殆どなく、むしろゲレロに限らず下から上げてくる選手の多い今のボクシングでは海外選手にはサイズで上回っているように見える。」




アマチュアとプロの一番の違いといわれるフィジカルを使った闘い。

それに直接影響する減量と試合での能力の差というのにはやはりサイズに伴うフィジカルの差が関係しているのは言うまでもない。

そういったフィジカルやパンチ力が相手にもたらす消耗や不具合を考えるとボクシングがより奥深く感じられるし逆に選手に対する幻想を透かしてしまう事にもなりそうである。


山中、内山といった日本が誇る選手たちもフィジカルとパンチの高さがその階級では抜きんでているので今までのように自分から下がるのではなくて否応なしに下がらされるようなフィジカルやテクニックを前にしたときどうなのか気になるところ。
そういえばエドウィン・バレロなんかもそういうのを感じさせた。

そういう意味で国内・海外がお互いに持つ評価、特に選手トレーナー間レベルでの意図の把握などに関してはしばしば的外れな認識や食い違い・すれ違いがあるように思えるし、それの活用の仕方から組み立て方、結果までを見通すコミュニケーションにおいて非常に難があるのは当然ですな。


それはさて置きながらも以上の事を踏まえてポストファイト考察。


ゲレロ亀海

ゲレロが格の違いをみせようとしたのか亀海の接近戦に付き合ってボディを著しく被弾。
途中から改心してアウトボクシングに切り替えようとするが時すでに遅しでアウトボクシングで相手を切り離してそれを維持するだけの体力は亀海のボディによってすでに削られていた。
亀海のこのボディはシルバ戦でも活躍したし主武器と言えるかもしれない。

亀海が下手を打ったのはやはりショルダーロール。
それを使う度にゲレロが息を吹き返したし、やはり勿体ない。


方法論的に見れば亀海サイドの賢さが光りゲレロサイドの判断力の無さが浮き彫りに。
そしてお互いに打たれ強さとハート、根性が凄い事を証明。

亀海の精神力と頭部への打たれ強さも凄いがゲレロの打たれ強さと精神力も凄みを感じた。あれだけリバーブローを強打の亀海に不用意に効かされ続けアッパーで目を塞がれても増していった目の輝き。ああいうのはやっぱり腹が括られているからこそなんでしょうか。
タフ・アズ・ネイルs、ロバート・ゲレロ。


逆に亀海は終盤あたりだったかでゲレロのリバーブロー一発に飛び退く場面もあったので腹は打たれ弱い方なのかもしれない。



そして同じボディーの効果が目立った ラッセルロマチェンコ


モビルトランクス・ロマチェンコがまさにガンダムのような機動力を発揮。
サリド戦の賜物かフィジカルの応用でも断然優っていた。

結果以外は戦前予想通りといった展開で正直ラッセルはリングインから緊張している印象を受けた。まさかのアマチュアコンプレックス。

したたかで安全運転なキャリアを積んだラッセルと突飛で飛躍のあるマッチメークを続けるロマチェンコ。亀海ゲレロもそうでしたが、どちらも肝心なのは腹の括れ方なのかもしれないと思わせる素晴らしい試合でした。



ところで来月は カネロララ がありますが大変楽しみです。

赤い彗星のカネロは言うなれば乗ってる人は速いけども機体がデカいという感じなのでニュータイプであるメイウェザーにはアウトクラスされたわけですが、アングロ戦ではその素早さと諸動作に磨きがかかっていてとても強くなっている印象を受けた。

↓メイウェザー戦のアニメ版


首だけ避けるところなんかそっくりです。


ララの方は非常に素養が高く特にアウトボクサーを相手にした時に力を発揮するタイプのように見える。ただ小刻みな動きなどではなく無駄の少ない純粋なボクシングである分相手に引っ掛けられた時のリスクもある感じがする。

カネロの武器は攻撃の切り替え。
シャープシューターであり単発による差し合いや不意打ち、隙を縫というところから相手がガードを固めたり丸々るとコンビネーションでパンチを当てるところまで持っていったりフィジカルで圧倒できる。まさにプロの戦法を心得ていてアマ思考しすぎる選手には相性が悪そうであるがララはフットワークを使って動き続ければメイウェザーの如くコンビネーションを打たせないで試合をコントロールできるかもしれない。

ララの武器は単発だが鋭角なパンチ。
相手が完全に見えている彼だからこそのものでアングロ戦ではコンビネーションをセットされた状態で相手にパンチを選ばせたためにノックダウンを喫したが、ポジションをセットされなければ何ということはない筈。

この試合パンチの鋭角さが天秤の役割をしていると思える。
ララもそうだがカネロもパンチの鋭さを意識している分ここで上手く立ち回ればカネロを崩す切っ掛けになりそうなので、試合間近の選手の様子とかで考えが変わるかもしれませんが、今のところ予想は動き回っても踏み込んでも足があるララが後半ストップして勝利すると予想。ララが負ける展開を想像すると相手の間合いの外で動かないでいてロープにつまり圧倒されるというところか。



そういえばゲレロ対亀海のアンダーでソトカラスがドーナツ屋の鉢巻を巻いていたけども、ボクシングはスイートサイエンスで舞台はリングな訳だからと何故か納得してしまった。




おまけ