ヴァネス・メルティロシアン対デメトリウス・アンドレード考察 | ボクシング原理主義

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 「*この考察にエイドリアン・ブローナーマルコス・マイダナキース・サーマンへスス・ソトカラスの試合の考察も纏めてしまいたい。


ドネア対ダルチニアンのアンダーカードの実力派カードであるヴァネス・メルティロシアンデメトリウス・アンドレード。両者共に素晴らしい実力の持ち主である。


アンドレードはアマチュア時代にあのキース・サーマンにオリンピックトライアルで2度勝利している選手で、ボクサーパンチャータイプ。メルティロシアンは、こちらもオリンピック代表だっただけに技術的には結構何でもできる。タイプとしてはボクサーファイターだが、なかなかの適応能力を持っている。


最近の記事で、自論ではあるが、これからのファイター、ボクサーファイタータイプの変容についてお話した。

今回のメルティロシアンがそこまでの者とは思わない。

ただ、ボクシングにおける戦法・戦術とそれに則る事が出来る能力の重要性を説くことができるかもしれない。



例えば、
メルティロシアンがただただ直線的にアンドレードに突進すれば、相手を崩す事はおろかボディ打ちにカウンターと決められKOされてしまうかもしれない。

これはアンドレードの戦法が、そもそも直線的にプレスをかけたり正面であっても隙を見て猛攻を仕掛けてくる・突撃してくる相手を前提に作り上げられたスタイルだからだ。

つまり戦術としては、いくら優れた突進力を持っていたとしても、それに対処するために存在するスタイルに突進する事はグーでパーに突っ込むのと似たような行為であり、誤りであるといえるだろう。」


              「なるほど、間違った戦力の運用という事になりますな。」

 「逆に、その運用や配置自体は変えずに戦力自体を入れ替える事で相手に誤った戦術を取らせるような事も出来るわけだが、歩兵(ジャブ)というのが如何に重要な戦力であるかを物語っているね。

このようにボクシングでは、
スタイルという「戦力・様々な機能」を「如何に運用したり配置しているか」というのと、その構造がもたらす全体的な機能である「手筋」というのを理解し始める事によって、まるで盤上の出来事のようにスポーツを楽しむ事が出来るようになる。

例えば、
キース・サーマンがカーロス・クインタナ戦以来、ヤン・ザベック戦にディエゴ・チャべス戦と引き続き見せた試合内容を考えてみよう。

評価の高いクインタナ戦では正しい戦術に則る事が出来る能力を証明したが、
チャべス戦ではパワーが本物であった事とは別にあまりテクニックが高くはない事を垣間見せた。このことは、結局サーマンが正面からの突破を持ち味としていて、これがソトカラス戦は勝つだろうが苦戦するのでは?と思わせる要素ではないだろうか。


同じ様にソトカラスと対戦した正面突破型にマルコス・マイダナがいるが、サーマンと同じ興行でエイドリアン・ブローナーと対戦する。


ブローナーの勝利を予想しているが、
理由はマイダナがサーマンと同じ正面突破型であるからだ。


ブローナーやアンドレードにしても、あのスタイルというのは正面からの侵略を防ぐために建設されたスタイルである。その主要な機能はテコを使う事で正面に対する守備と火力を限定的に極限まで高め、最悪左右への転身を行えるというものだ。これは、逃げ回ったり動き回る事で体力を無駄に消耗させるという最後の穴を塞ぎ、ファイターを逆に打ち負かしてしまい最終的にファイターを下がらせてこちらが攻勢に転じる事を目的としたボクサーがファイターを完全に封じるために行き着いた境地であり、火力自体がいくら高くともこれを正面から打ち破るのは至難の業である。


サーマンやマイダナと、ヴァネス・メルティロシアンが決定的に違うところは、サークリングからの展開である。

今回のメルティロシアン対アンドレード両者のスタイルを見て、
単純に両者を正面からぶつけ合うようなシュミレートをすれば、
断然アンドレード有利という事になる。

これは、サーマンやマイダナがアンドレードやブローナーと対峙することとも同じで、いくらサークリングやそのたのテクニックや戦術を使っても変わりにくい性質だと思う。


ボクサーが設定した絶対的な射程の外からの攻め。
これを試みても、それが不得意なサーマンやマイダナ。
これを難なく展開できるメルティロシアン。

ディフェンスに劣るメルティロシアンが多く被弾し流血も予想される厳しい内容となるだろうが、
予想はメルティロシアンが激戦を制しKO勝利。」





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