
信徒は神の徒であって教会の下僕ではない。」


「団体がしっかりしているからといってボクシングが衰退しなかったり活気づいたりするわけではないであろう。結局はボクサーそれぞれのエネルギーの問題なのじゃ。
マイク・タイソンという熱量は時代という限定的な空間を乗り越え、今でも一番有名なボクサーの一人じゃろう。」
「確かにそうですな。ボクシング原理主義でも確か一番閲覧されている記事はマイク・タイソンとディフェンステクニックという記事だった筈だ・・・。これは、ボクサーによって読まれているよりか、他の格闘技関係の人からも読まれている気がする。
しかし先生、やはり個人の力には限界があって、それこそ神のご加護でも無ければやってけませんよ。」

口で言っても分からん性質らしいのう・・・。」

「パンチは比較的軽かったが、非常にスピードのあるボクサーだったね。
そんな彼の紹介映像がある。
日本ボクシング時代
総合格闘技時代
ハント戦

異種格闘技戦の実現という意味では、モハメド・アリ対アントニオ猪木と並んで実験的な価値のある試合だろう。(k-1にはプライムを過ぎたブリッグスが来た事がある。)
総合のような異種格闘技色が強く、洗練されたタイプが寝技系に限られていた世界に、他の一つの道である程度洗練された選手が何らかの理由で介入してくるのは珍しくなかったが、西島洋介ほど技術とコンディション、闘志を持ってやって来た選手は居なかった。
面白い事に、その道で最高に洗練されている選手が総合格闘技で成功する例は稀だった。柔術で最高の選手だったマルセロ・ガルシアが総合では普通に弱かったりしたのだ。UFCはそもそもグレイシー家が自分達の武術の有能さを証明するために行ったサーカスみたいなもので、後にダナ・ホワイトがそのコンセプトを買って、日本での総合格闘技ブームを継ぐ形で現在の人気を博している。よって以前は柔術的な寝技が最重要視されたが、ミルコ・クロコップなど適応力を持ったストライカーの出現によって、柔術と平行してキックボクシングが重要視されるようになる。ところが、本場がアメリカに戻ったと同時に一般層の理解力が高まり、テイクダウンとポジショニングが最有力の要素となり重宝されるようになっていて、今ではボクシングとレスリングがトップMMAファイターの基礎だ。例:GSP、ニック・ディアズ、日本ではボチボチだったダン・ヘンダーソンなど。
そして、ボクシングとレスリングはフットワークに大きな類似性を持つので、とてもバランスが良い練習メニューとなる訳だ。ボクシングでもバーナード・ホプキンズは一時期レスリングを練習に取り入れていた。
パンチとキックの対戦だが、この試合は俗に言うアリ猪木状態も無かったしテイクダウンや体重差(*) があって、異種戦としては少し純度が薄れ、より総合化ている。
(*)西島95.5Kg対ハント132.5Kg 。これはスポーツでは無く、格闘技なので表記されるあらゆるデータの信憑性がほとんど無く、ありえない体重差での試合などが公然と行われていた。更に、アメリカに渡り、しっかりとしたコミッションの下で試合を行った有名外国人選手達が見せた肉体的変化は、日本格闘技界に根付いていた外国人選手達の薬物使用の現実を物語っていた。が、これは云わば公然の秘密で、格闘技自体はスポーツとは別次元のところにその商品価値を持っていて、それが格闘技ファンの求めるものでもあった。現在MMAは完全なスポーツ化を果たしたが、同時に日本では熱が冷めてしまい、実際海外でもズッファ社の市場独占状態が続いている
この数年後に、あのジェームス・トニーもランディー・クートゥアとMMA対戦している。が、あれはトニーが金を貰いに来ただけなのでノーカンである。UFCは当初トニー参戦を拒んだが、トニーの熱烈なラブコールとダナ・ホワイト氏が元はボクシングファンでトニーを尊敬していた事からUFC参戦が実現した。
この試合を観ると、負けたにも関わらず西島洋介というボクサーの魅力が見えてくる。
同時にハント選手は同等の階級でエリートボクサーとやったなら1ラウンド持たないだろうという事を思わせる試合内容だね。
この試合のコメンテーターの元UFC、パンクラス王者のバス・ルッテンはストライカーだが話を聞く限り寝技の事しか知らないグラップラー専門のストライカーで、ボクシングへの嫌味が絶えないし鬱陶しい。口を開けばリバーショットとしか言わない事でも有名な人物だ。
名前を忘れたが相方の方は、今はShowTimeでボクシングのアナウンサーとしていい仕事をしているね。」
「ボクシング・アンド・ムービングの時は選手は後ろ足重心だが、キックボクシングでもこれは良いとされている。何故なら、相手の蹴りをチェックしたりカット出来るからじゃ。」
「先生、お言葉ですがそれは実は違うのです!
以前、あるロシア人キックボクシングチャンピオンから伝授された方法ですと、ボクシング出身の選手は相手のキックをカットしてはいけないそうなんです。何故ならパンチを繰り出せなくなるからですな。
そこで、どうするかというと、
前足のつま先に全体重を乗せる事で太ももの筋肉を盛り上がらせて蹴りを受けるというのが最善の方法らしいのです。この時、膝の関節を狙われないように注意する事が大切です。
これはK-1のアルバート・クラウスという選手やマイク・ザンビディスという選手が使っていた方法で、ボディ打ちとの併用が効果的だと云われますな。
つまり、あえて蹴りを避けず、自分の脚の方から蹴りを受けに行って、それを合図にパンチを繰り出すという事ですな。この方法とボクシングが上手い事が、オランダ勢がキックボクシングに強い理由だそうです。 合理的なのですが、相手がムエタイ選手だと、ティープとかいう前蹴りで押しだすような蹴り技でキャンセルされてしまうんですなぁ、これが。」
「それにしても、フロイド・メイウェザーSrはよくやるね。
60歳で色んな病気にかかっていて生活にも支障があるのに、若い馬鹿とスパーリングするんだからね。本当に一度ボクサーやってしまったらやめられないんだろうね、きっと。」
おまけ