~沈黙は金なり、いい答えが無いときは~
モハメド・アリ

ボクシングにはこういった例がある。
例えばフリオ・セサール・チャべスJrやサウル・カネロ・アルバレスといった選手は、前日計量では自分達の該当する階級の体重だが、試合当日になんと170ポンド以上もあるように、実質ライトヘビー級なわけだ。チャべスJrは以前、体重が落とせない(当たり前)といって、ネバダ州コミッションが違法と定めている物質を摂取した事が問題となった。
次にこんな例もある。
メイウェザーがマルケスに対して行ったように、自分が重い場合は計量をわざとオーバーして罰金を支払ってでも体重とコンディションの優位さを保とうとするケースだ。フロイド・メイウェザーJrは昔から、計量時と試合当日の体重がほとんど変わらないボクサーとしても有名だ。当日に膨大な増量を経て、自分よりだいたい10~20ポンド重くなった選手達を相手に常に優位に試合を進めてきたので、スタイル的にあまり体重差に影響されないボクサーといえる。
9月のメイウェザー対アルバレスの契約体重について考察してみよう。
これは、152ポンドにメイウェザーが増量して、カネロは2ポンド余分に減量してくるのである。勿論、メイウェザーが階級を上げて、上の正規階級の王者を破ったことは今までにあった事だ。
しかし、今回はいつもとは少し違うね。それは、この契約体重が正規のリミットより2ポンド軽い152ポンドといっても、恐らくメイウェザーにはどうしても身体が重くなりすぎるクラスである事に変わりは無いという事だ。逆にカネロにとっては、当日はライトヘビー級の選手がスーパーウェルターまで落とすだけでも辛いのに、そこから更に2ポンドも落とすわけだね。
たかが2ポンド、されど2ポンドというわけだ。
ところで、もしカネロがこの2ポンドを落とさなかったらどうなるのか?
以前、WBCのスーパーウェルター級シルバータイトルホールダーだったアルバレスは2011年の3月5日にイギリスのWBUウェルター級チャンピオンのマシュー・ハットンと空位のWBCスパーウェルター級の正規タイトルを賭けて対戦。 この試合は150ポンドのキャッチウェイトだったが、アルバレスが1.8ポンドオーバーでその分の罰金を支払い、一方的な12ラウンドユナニマス判定勝利し、見事?現在防衛中のタイトルを獲得したわけだ。
軽い階級の選手をキャッチで上に誘って、体重オーバーして来る事で有利にタイトルを獲ったわけだね。悪質だと思う人が居ても不思議じゃないだろう。体重リミットをオーバーしても、その分の高い罰金を支払えば許されるのであるから、スターは有利と踏めば普通に体重オーバーする。
そして、契約体重でのタイトルマッチの成立という事の問題性だ。
以前シュガー・レイ・レナードがライトヘビー級王座を契約ウェイトを駆使して獲得しているが・・・これは、はっきり言って悪い冗談にしか聞こえない。」
「階級も異常に多い上に団体もタイトル乱立して、あげくキャッチウェイトによる重いクラスのタイトル獲得にウェイトオーバーは罰金制なんて、金持ち一番強いの構図じゃないか。」

やっぱりボクシングだって良くも悪くもインダストリーなんだからね。
だから、もしこの試合でカネロがウェイトオーバーしても驚かないし、彼にはそれだけのバックアップがある。契約項目に1ポンドオーバーにつき100万ドルとか、或いは団体が例えキャッチウェイトでも試合が成立したんだから罰則としてタイトルの剥奪×直接再取得不可とかいう風にしないとこの風潮は治まらないだろうね。
もはや世界トップは防衛記録に何の興味も示さず、多階級制覇が契約体重で行われても当たり前の時代に突入していて、皆が特別で誰も特別ではなくなってしまっているんだね。
また面白い話に、
この試合にはWBCの正規タイトルとWBAのスパータイトルが懸かっている。
カネロはWBCを差し置いてWBAのスパーベルトを巻く準備をしているわけだが、WBCはそれに難色を示している。が、承認料金の関係で何の処置も取っていない。
WBCがどういう処置をとるのか注目されているが、どうなんだろうね。
WBAはメイウェザーが防衛期間中に試合をしていなかったという事でスーパータイトルを一度剥奪した筈なんだが、カネロがトラウトを破ったので何事も無かったかのように剥奪を取り消したりと、スーパータイトル自体の概念も結構うやむやな感じだ。ボクシングはインダストリーでタイトルマッチはビジネスなのは判るんだが、まぁ色々とよく判らないね。
ただ、メイウェザーが自分をマネーと呼ぶ気持ちは判って来た気がするよ。
ところでリングという言葉だが、四角いリングが何でリングかというと、昔は人だかりで出来た輪の中で闘ったからだそうだ。そのリングを形成している人たちはもっと野次を飛ばすべきなのかもしれないね。」
おまけ