かませ犬 | ボクシング原理主義

ボクシング原理主義

ボクシングの原理原則に則っとりながら技術論や方法論を分析考察。技術や意識の向上を目指したい、いちボクサーの見識メモ。
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 「ボクシングでよくかませという言葉を聞くが、ありゃ何だい?」

 「かませとはかませ犬の事だね。 以下はウィキペディから文章を抜粋させてもらった。

 ~かませ犬(かませいぬ)とは、本来は闘犬において調教する犬に噛ませて自信を付けさせるためにあてがわれる弱い犬のことである。他の通称としてアンダードッグがある。

若い闘犬には、まず弱い犬をあてがい、その犬を十分に噛ませることで勝つ味を教える。しかし若い犬は戦い方がわからず、うまく噛めないこともあるため、そういう場合には弱い犬の口を縛ったりする例もあるという。往々にして、闘犬を引退した老犬がかませ犬として使われる。

ここから転じて、スポーツ・格闘技において選手やチームの調整のためや華々しい勝利を観客に見せ付けるために、意図的に対戦させる実力の劣る相手を指すようになった。~(ウィキペディアより抜粋)」
 
  「成る程。」

 「ボクシング原理主義では出来るだけハイレベルなボクサーを紹介しよう!という意識があるんだが、今回はハイレベルなかませを紹介したい。

紹介するのは シド・ラザク と ジェイソン・ネスビット のお二方だ。

シド・ラザク選手の最近の試合。黒いトランクスがラザク。
戦績は118戦9勝(3KO)109敗(4KO)0分け

ジェイソン・ネスビット選手の試合。黒いトランクスがネスビット。
戦績は181戦9勝(6KO)167敗(13KO)4分け


二人とも1973年生まれで、バーミンガム出身のようだ。

とても有名なお二方の他にもクリスチャン・レイトという148敗ぐらいしてる選手もいて、この方は6,7月に3試合(負けるために)出場決定済みのようだ。

お三方は、まぁ、その道のプロなわけだね。

ボクシングにはこういった事実もあるわけで、犬扱いかと言ってしまえばそれまでだが、ボクシングが闘鶏や闘犬、あるいは古代グラディエーションなどと違い、命のやりとりを目的としないからこそ、こんな事が起こりえる訳だ。これを良く捉えるか悪く捉えるかで、その人のボクシングに対する全体的な見方がわかるような気がするね。

それにしても流石はボクシング発祥の地である英国、色々と奥行きが違う感じがする。
負けるのが仕事のボクサーか・・・文学的だ。
確かに、KO負けに気をつけてハイペースで負け試合を続ければ、色んな理由から需要も増え、収入も増え、名も売れるわけだし、勝つために負けていると言えるんだろう。正に身体を張った商売だね。
4回戦なら対戦レベルから言っても、デイフェンスに磨きがかかればダメージの蓄積も抑えられるだろうし、金の為にやってるボクシングの一つの成功例かもしれない。

プロボクシングとはプライズファイティングなわけだから、ダメージを抑えて儲ける事が一つの原則になりつつあるが、世界最高峰と世界最底辺のボクシングが奇しくもディフェンス重視という類似性を有している事は非常に面白い現象だね。

ところで、高いレベルのボクシングなんだが、ファイトマネーの事を考えてみよう。
勝とうが負けようがスター選手と試合できればそれだけ収入がある分、海外のトップ戦線は競ってビッグネームに挑戦したがるね。試合に負けても収入的には勝ち組みなわけだし、選手も日本とは感覚が違う感じがする。日本でも亀田のおかげで内藤が有名になったりした例があるように、ビッグマッチにはその勝敗以上の因果関係がある事が多いんだろう。」



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