
「よく好んでボクシング選手や関係者のインタビューや評論などを見たり読んだりするんだが、思えば昔、練習の行き帰りの間の膨大な時間をipodとRing`s でしのいでいたからだ。」

でも、確かにそうだ。新鮮さや頃合、情報と意見、事実や推理が上手く調合された記事を読むと愉しいね。
今やニュースや情報を得るだけならインターネットがあるが、検索能力や目的みたいなのが関係してくるしやっぱり雑誌が必要だ。
たまにネットで読めるものを広告とで分割したような他人なんか褒めとったらええねん!と小奇麗につくられた雑誌を見るが・・・アレはアレで選手の応援雑誌としての役目があるんだろう。
とにかく、しっかりした雑誌は必要だ。ニュースだけじゃなく、ネットでは記事にされない情報やら歴史、良いインタービューまでのっていて一冊読み通すと勉強になる。」
「でも雑誌を読んだからってボクシングが上手くなる訳じゃないんだろ?」

ところで一時、ネットでも雑誌でもいつも話題に上がったのはボクシング人気の低迷だ。
一時はボクシングは死んだなんて言葉まで飛び交っていたぐらいだ。
急速な台頭を遂げたMMA。その理由のひとつにボクシングの衰退があるのは万人が認めるところだろう。
これは、人々が闘技を求める事は変わっていないのにボクシング自体が変質したと見ていいと思う。海外でも日本でも同様に、昔は熱心なボクシングファンだったのに今ではボクシングなんか見ないという人がとても多い。
ボクシング人気の失墜が目に見えて現れたのは世界的に見て2000年前後。
90年代前後の選手の能力というのもフィルムスタディーする限りでは前後の時代に比して低い。という事は、その始まりはもっと以前、偉大なラリー・ホームズが引退し、タイソンが出現するまでだろう。タイソンの熱にはMMA人気に似通ったところがあったね。タイソンがその時出来上がっていた構造を勢い良くぶち壊していった事が人々には爽快だったのだ。ちょうど日本でもこのあたりから何度目かのボクシングブームの到来だったそうだ。
ここで金銭面の話になるが、ファイトマネーとスポーツ自体の人気は比例しないという事がいえると思う。
現在では古くからボクシングを放送していた全米ネットワークが次々とボクシングの放送自体を止めてしまった中、PPVシステムが導入され有名な選手達は億単位のファイトマネーを手に入れるようになった。
ここで問題が起きる。ある種類のボクサー達はもはや金にならなければ試合しないのだ。
アメリカでは有望な若手達がデビュー戦から大金を約束され、実際手渡される金額がそれより低いといってキャリアを断念する例がある。つまり、いまや当のボクサーですら拝金主義で、団体さえも大金の動く選手を優遇するようになってしまっている。そして選手達は一年に1試合や2試合という時代を向かえ、案の定、試合離れのために試合自体のレベルが落ちる事となる。そもそもボクシングでヘビー級に人気が無いなんておかしいと思わないか?でも、今の内容じゃそれも頷けるけどね。」

48年ぶりに日本に金メダルをもたらした今、日本ボクシングの顔だ。
例えば日本でPPVが導入されたとしても正直PPVを買ってまでボクシングを見ようという一般の人はいないだろう。しかし、村田選手なら別だと思う。ファイトマネーと人気は違うとは言ったけど、こればかりは彼の人気の証明という意味で現在日本で最もPPVファイターに近い存在だね。まだデビュー戦前だが、世界チャンピオンですらこれが凄いあれが凄いと説明しなきゃならん鬱陶しい時代に、金メダル獲得という問答無用の実力を引っさげてやって来た村田選手は日本ボクシングの救世主になるかもしれないね。」
おまけ