
夢でわしは蝶じゃった。 無上に喜び飛んだのじゃ。
果たしてあれが夢なのか、わしが蝶の夢なのか、どちらが現(うつつ)で夢なのか。
わしはそれをまだ知らない。」
「真相は、まどろみ溶けたわけですな。
もしかして、我らはまどろみそのものでは? なんだか頭が割れそうだ。」


この世を彷徨い、迷ってる。
嗚呼、魂!
さすらい、迷い、答えを出す。
そのために!
剣なぞ手にして旅に出た。
ただ前へ、
決めつけないのが決まりごと。
そうさ人生大博打、
神のサイコロ、出た目が我ら!
・・・さ。」

どんな舞台も道化だけ!心静けさ保つのは。
彼は悲劇を軽くして、喜劇をずっと潤わす。
僕はね、ワっつぁん、時々さ、
区別がつかなくなるんだよ。
我らが道化を笑うのか、道化が我らを笑うのか。」

正義で頭に血が昇り、誤ち犯して満たされる。
それを見越して倦怠し、たやすく虚無に呑みこまれん。
とにかく、可笑しくできている。
醜い女は愛想良く、裏で全てを馬鹿にする。
たとえ愚かな女でも、信じる者は美しい。
見た目でないとは言うものの、全ては露骨に表れる。
禿げた頭に弛んだ肉、老いさらばえた為ではない。
若さは知らぬ為ではない、何かを忘れた為でもない。
皮肉な定めもあったもの!
徳と努めて信じたために、冷たい目つきに駆り出され、やってはならぬ事をした。
腐った女そのままの、つまらぬ男であるけれど、礼儀挨拶お手の物。
純粋この上無いけれど、礼儀を知らぬ無頼者、こいつも意気地が足りぬだけ。
愚か者が地位を得て、偽らざる者現れぬ。
そこを突いて金にする、そんな作家が取繕い、辻褄あわせの本を書く。
いつまでたっても逃げている、アイツも言い分あるけれど、つまるところが金次第。
昔の友に会ったけど、思い出させてくれたのは、結局いつかの失望よ。
綺麗事のその意味が、手を汚さずに生きること。
受けた屈辱思い出し、腹の虫が騒ぎ出す。
いつか殺すと捨て置いて、酒の肴と流すのみ。
つまりそれが誘惑で、己の道を出てしまう。
そういうことが判らねば、夢の道は歩けない。
そういうことも判らない、鳩の群れに一羽居て、一体何に成れるのか。
そういうわけで今後とも、信じるものは刃のみ。
自分も他人も贔屓無く、語る事なく切り捨てる、真理の如き刃のみ。
それを失くしてしまったら、全てを孤独に達観し、時も忘れてまどろまん。」
おまけ