
どうも私立探偵コンサルタントボクサー、木村ホームズです。
カネロ、ユナニマスで勝利。
判定は115ー112、116-111、118-109。
カネロ、ララとやったら勝てませんな。
会場はほとんど4万人ぐらい入ってたんじゃないでしょうか。
自分のプロモーションも持っていて、
チャべスとデラホーヤを合わせたような正に次世代スター。
しかし中身はメイウェザーのように安全運転。
7回の始めに右ストレートでダウンをスコア。
そして8回から体力を温存し始めて最後まで回復できずにポイントボクシング。
んん・・メキシカンらしからんですな。
足を痛めたらしいですが。
この判定に不満のある人間が多いようですな。
確かに118-109はやりすぎ感が否めません。
ここに、この試合のコンピュボクスデータがあります。

拡大しないと読み難いですが、見てみましょう。

全体で放たれたパンチはカネロが431、トラウトが769と大きく違います。
しかし、パンチを当てた数はカネロが124、トラウトが154と近しい。
パーセンテージにしてカネロ29%、トラウト20%とカネロが上回ります。
パーセンテージで言えばカネロ、しかし実際の総数で言えばトラウト、当てた数もトラウトですね。
では、ジャブの欄を見てみましょう。
カネロが207発放って28発当てた。トラウトは416発放って59発当てた。
カネロ、トラウト両方14%という事のようです。
ではでは、「パワーパンチ」です。
これがプロとアマチュアを別ける最たる要素でしょうな。
アマチュアのコンピュータスコアリングは今は各地でどうか知りませんが、ダウンもジャブも1ポイントです。しかしプロではパンチの効果というものの印象がスコアリングの対象です。
カネロが224発放ち96発当て、トラウトが353発放ち95発当てた。
43%対27%。
決してパーセンテージを競っているわけではありません。
しかし、パンチの%には様々な理由がある。
例えば(多くのパンチを捨て効果的なパンチを当てたから)とか(パンチを外され・捨て続けたから)とか(パンチを当てれる時しか打たなかったから)などです。
逆に相手のほう、つまり(パンチを外し続けた)方のコネクト%はどうなのか?
そういった所を推理すればです、今回の試合はカネロのほうがカウンターパンチャーであったという事になる。
ボクシングは単なる防御、或いは単なる突進は採点の評価にしないらしいですが原則として攻勢点が優先対象ですね。しかし、体力の分配があることや(プレスをかけて休んだりなど)、ラウンド毎でポイントに優劣をつける事(常に圧倒的でなくともラウンドさえ取り続ければ結果としてポイントで圧倒できる)を理解しなければいけない・・・。
大局と状況を判断する能力というのが選手にも採点者にも求められるわけですね。
どうしてかというと洗練された選手らの試合、「ボクシングという教養」が高い選手達の戦いというのはそう易々と倒し倒されしないものだからです。
そうではないボクサーの事をアメリカでは俗語でバム(こじき)と呼びますね。力任せ、勢い任せの能無しという事でしょうか。
とにかく、この数字と数字の間の空間、パンチのマトリックスがボクシングという事になるんでしょうな。
ちなみに、私のスコアも116-111で5ポイント差、カネロでした。
結構「トラウト勝っていた」と思われている事でしょう、
が、リングジェネラルシップを執っていたのはカネロの方だった。
テクニックでもカネロの方が上回っていた。
トラウトは中盤以降専ら弾幕を張ってましたが全く踏み込めなかった。
逆に距離をあけてポットショットも狙えなかった。
相対的な定位置に釘付けにされていた。
ダウン後、距離を近く保ったのはトラウトでしたが、踏み込んだ距離でパンチをスコアしたのはカネロ。パンチを当てるのに自分の足を使うか相手の足を使うかの違いだったと思います。
トラウトが踏み込んだ時もパンチを被せたり、迎撃したり、追いかけて取り返したりと、より空間を支配していたのはカネロだったと言えるでしょう。
ロープ際のディフェンスで何を証明したかったのかはわかりませんが、ショルダーロールから右アッパーなんかに一応繋げ、ぎりぎり後の先を取っていたと思います。
忙しく多くパンチを放った数、物量ではトラウトでしたが、どっしりと迎え撃ったカネロのパンチのほうが効果的な印象でした。「タイミングはスピードを制する」という事でしょうか。
多勢に無勢で勝つ、小よく大を制す、まさに兵法。
カネロ、若干22歳にして良く洗練された「リングの将軍」ですなぁ。孔明の罠ならぬカネロの罠でした。

おまけ