ツーハンデッドファイター | ボクシング原理主義

ボクシング原理主義

ボクシングの原理原則に則っとりながら技術論や方法論を分析考察。技術や意識の向上を目指したい、いちボクサーの見識メモ。
おまけ機能搭載

コット・トラウト観ました。

スコアは119-109が2人と117-111が1人でトラウトの完封勝利。

コンピュボクスの結果はわかりませんでしたがトラウトは結構な数字をはじき出したはずです。


現時点でのアメリカンボクシングのスタイルは大きく分けて二つに分類できるでしょう。一つは(トラウト、ドネア、ゲレロ、ブラッドリー、アレクサンダーそれとまぁ一応パッキャオとかに見られる)忙しく打ち続けながらコンビネーションやマネーパンチを当てるとこまでポジションを踏んでいきその後のディフェンス処理は角度をつくったりしながら能動的に働きかけてゆく「先の先」たるビジースタイル。


もう一つは(メイウェザー・ブローナー・トニーなど)条件的な空間をつくっておくことで(ポジショニングとパンチの種類などで相手の行動に制約を加えることで)「後の先」を実現する受動的なエコノミカルスタイル。こちらはインファイトが出来なくては無理がある。


アクティブ(能動)もパッシブ(受動)もポジショニング能力とその理解が必須でしょう。それに能・受に関係なくプレッシャーの有無は個人差でしょう。


今日の試合の後にトラウトがカネロ・アルバレスと統一戦をしたいとけしかけてガン無視されてましたが、もしトラウトがカネロとやれば面白い試合になるでしょう。


カネロは性質的にはメイウェザー的だと思います。ハンドスピードとポジショニングに頼り相手を正面にキープし、一応インファイトも出来るし、構えて打ちながら退がれるし。そうなるとトラウトはロープに詰まるようなことだけは絶対に避けたいでしょう。

しかし直線上ではカネロには近づけないから離れるしかなく。これもまたコット戦とまったく同じ戦法でリードでの差し合いから能動的に角度を取るしかない。もちろんカネロのジャブの外です(インサイドは右とその後が来るから無理)。


そこで気になるのはトラウトの左ボディーの後の行動でしょう。なぜなら角度を活かすためには接近しなければならずそうしなければ容易くアジャストされ相手をリング中央から退かせません。そうなると回れど回れどロープを背負ったままで何処かで直線に捕まります。ならコット戦の様に相手にくっつけばいいと思うのは大きな誤算だと思います。


トラウトのスタンスはよく交差しています「世界のヨコちん」ですら知っています。そう、インファイトできません。今日の試合で明らかだったのですがトラウトはストレートで相手の左の外に出ると右のフックをカウンターで返せるか窺います。相手が引いたり、自分のバランスを保てなくなるとクリンチに切り替えます。今日コットには前足を引いて右でトラウトに合わせるチャンスが幾度となくありましたがそれを可能にするほどのボディワークが無かったのとそもそも右が弱いからものにできませんでした。


しかしカネロはツーハンデッドファイターです。

その両手にパンチ力を持っています。

こうなるともうカネロがリングジェネラルシップを活用するかしないかで勝敗が決まるでしょう。


昔、モハメド・アリがアクティブ面でもパッシブ面でもすぐれた技量と身体能力(速度とバランス)を発揮しましたが、普通なら格下だけどより優れたリングジェネラルであったケン・ノートンに敗北を喫しました。


歴史は繰り返すでしょう、

これにて。