パッキャオ マルケス カウンター | ボクシング原理主義

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ボクシングの原理原則に則っとりながら技術論や方法論を分析考察。技術や意識の向上を目指したい、いちボクサーの見識メモ。
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今週末は藤田さん定道さんの試合。

そしてwowowでパッキャオ対マルケス4生放送ですね。


木村文祐のブログ


小生は、パックvsケス3を観てパックに触発されて髪を伸ばし始めたのでありますが、あの試合はそりゃあもう凄かった。二人の剣豪がリング上で切り結んでいるような迫力がありました。

そのパッキャオ・マルケス3、世界中でマルケス勝ってたとか、パッキャオの能力の低下が囁かれたりしてますが、とんでもないと思います。確かにパッキャオマルケス2はマルケスかなと思ったりしましたが。三戦目はパッキャオでしょう。原則として攻勢点が評価の優先対象であって、ミスらせてその分償わせたなら別ですが、一晩中カウンター狙って相打ちばっかなら攻めたほうが試合をつくってた訳で、それならパッキャオでしょう。ちゃいまっか?


そして、今回の試合。

パッキャオが止めて勝つような気がします。

なぜなら




マルケスの武器はカウンター。


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左右のカウンターがタイミング威力共に凄まじく、打ち抜くパンチよりは突き上げるカウンターのアッパーを得意としています。自分が相手を追いかけて当てるパンチは右を多用します。マルケスのスタイルを観ていると、距離を保つことが出来ればそれほどの脅威は無いと思うことがあります。が、しかしマルケスほど基本の出来ている選手をアウトボクシングできるのはメイウェザーjrぐらいでしょう。あのカサマヨールもマルケスをアウトボクスできなかったし。


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ところでメイウェザーって


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柳沢慎吾にそっくりですね。



話を戻しますが、


マルケスのカウンター


というのがあれほどのタイミングをもつのはフェイントを織り交ぜているからです。


(日本のボクサーでこの段階の鋭いカウンターと相手の動きを一瞬釘付けにするフェイントを併用できる選手にVADYジムの東洋太平洋チャンピオン小國以載選手がいますね)


しかしカウンターを破る方法というものがあります。

それは、こちらがフェイントを入れることで相手にカウンターを先に出させ逆に迎撃するというものです。


パッキャオは昔はただのファイターでした。

ただ特異だったのはそのスピードと、ストレートがリードよりも異様に長く伸びるという、回避に戸惑う種類のフットワークを踏んでいる点でした。それが今や本当に何でも出来る「ボクサー」に変身しました。

パッキャオ・マルケス2では1で散々喰わされたカウンターでダウンを奪いました。リードのフックを餌にして、くぐって攻めにきた相手を懐からのアッパーでカウンターするというものです。デイビッド・ディアズもこれで仕留めましたね。(これまた日本のボクサーで、多分右構えで角海老の土屋修平選手が使ってますね、同じ計略を。)



こうみると、マルケスという選手は自分も常にカウンターをもらうリスクを「備えている」な、と感じます。



マルケス最大の武器は左です。まず攻防兼備のジャブを使って距離をコントロールします。ここで相手がどの距離で闘い、どの方向に動くのか計ります。そのためには相手をジャブで捉えるために、相手が直進しようがサークリングしようが、こっちは後退です。


そして右を上手く相手に放ります。


この右がマルケスのセットアップムーブとなるわけです。このとき相手が下がってもマルケスは右の追い打ち・そこからのバランス悪い左フック。スリップされれば左ボディ。入って来たら左アッパーとなるわけです(ナチョ・べレスタイントレーナーの選手はこの左ジャブ・アッパーが特徴的だと思います)。特にこの左アッパーは多くの試合展開を左右してきた鍵、キーパンチだと思います。


これが週末の試合を占う意味で重要な要素だと思います。それは、マルケスが左を生むためにまず右を「放らねば」ならず、それはパッキャオに信号を送っていることに他ならないという事です。


マルケスは右を投げた後にそのまま前脚に乗ることで左を打ちます。

その証拠に、マルケスのここ数年のダウンはおそらくほぼ全て相手の左の攻撃によってです。

なぜかというと、自分の右側で相手を半分に切ってしまっているから予測は出来ても見えてないのです。左が見えてない時というのはつまり左を打つ前なので、前足重心のままパンチを貰いカウンターになるわけです。

ジョー・フレイジャーやマイク・タイソンならこんなことにはなりません。

同じ原理でパンチを生んでいてもです。

なぜなら、彼らは距離を前足で踏み込んで潰し、後ろ足をドラッグしてバランスをイーブンにしているからです。

マルケスはそうではなく後ろ足を残したままカカトを返すのみで左をセットするのです、後退するために。

そういうわけでマルケスが間合いの前方の相手を打つ場合、ジャブと放る右にしか頼れないのです。


それでもまぁ、マルケスの凄い所はどんな相手にもパンチを合わせられる所ですが、

(例えば、パッキャオは打った・打たれたその瞬間に回転して角度を変えますが、マルケスはそれを見越してパンチを当てることが出来ます。普通無理です。) 

1・2戦目で当てまくった左は3戦目ではなかなかあたらなかった。

それはパッキャオがボクシング可能になってジャブも差し合ってくるし何より距離をあけながら戦えるようになったからです。そうなると退くことでだけでは相手のサークリングやポジショニングを中和出来なくなり、上手く射程に誘導できません。さらにパッキャオは相手の左を警戒して自分の左にステップアウトしまくります。もうこうなると左の攻撃は機能しにくいでしょう。 左が当たれば右が当たった以前と違って、今や単発の右しか狙えないマルケスに果たして勝機はあるのでしょうか?


パッキャオのインファイトでのアッパーはもはや昇竜拳なみだと思うので、そのパッキャオが右前方に見えたときマルケスが放つであろう右のあとに出しちゃいそうな左に合わせてぶち込まれそうですね、必殺技。



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