宮部みゆき『桜ほうさら』 | applejamな休日

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せかせか暮らしてるのに、気が付けば何もせずに一日が終わってる…
ゆっくりとジャムでも煮ながらお休みの日を過ごしたいなぁ…
大好きな韓国のドラマや音楽、その他もろもろについて書いてます

 PHP研究所 2013年2月刊

 

 

 

 

 

先日読んだ『きたきた捕物帖』

主人公・北一が住むに富勘長屋を舞台にした小説ということで、

興味をもって読みf始めました。

 

 

 

時代物は、やはりその時代の言葉や風物の理解がないと難しくて、

『きたきた』の時と同じように、

よくわからないところもありながら読みました。

でも、細かいところはわからなくても、十分面白かった!!

 

 

 

 


22歳の古橋笙之介は上総国搗根(とうがね)藩で

小納戸役を仰せつかる古橋家の次男。

剣は苦手だが、学問は得意な心優しい青年だ。
しかし、父・宗左右衛門が商家から賄賂を受け取ったとの疑いをかけられ自刃。

賄賂の証拠とされたのは、

父自身が自分で書いたと思うほどそっくりな筆跡の偽文書だった。

 

 

古橋家は断絶、母・里江が期待する兄・勝之介も蟄居の身となる。

父の汚名をそそぎたいと考える笙之介のもとに、

江戸に上り、搗根藩江戸留守居役・坂崎重秀に会えとの密命が下る。

父の事件には搗根藩の御家騒動がからんでいると聞かされた笙之介は、

事件の真相究明のため、偽文書を書いた代書屋を探すことに。

 

 

深川の富勘長屋に住み、

写本の仕事で生計をたてることになった笙之介。

長屋の人々に支えられながら生きる彼の身のまわりでは、

次々と不思議な出来事が起こるのだった…

 

 

 

 

第1話 富勘長屋

父の事件や、笙之介が富勘長屋で暮らすようになったいきさつ。

長屋の人々との温かな交流。

そして、笙之介が「桜の精」と見まごう、和香との出会い。

父の筆跡をまねた人物は何者なのか?

 

 

第2話 三八野愛郷録

突然、笙之介を訪ねてきた東北の武士・長堀金吾郎は、

主君の書く謎の文字の意味を知るために、

その暗号解読のルールを知る人物を探し求めていた。

笙之介は長屋の人たちの力も借りて、

暗号解読に乗り出すのだが…

 

 

第3話 拐(かどわ)かし

笙之介が写本の仕事を請け負っている、

貸本屋の治兵衛が行方知れずになる。

人々が心配する中、治兵衛は無事帰って来るが、

彼は、娘が誘拐されたという知り合いの世話をしていたと言う。

届いた脅迫状の文字を見て、

犯人にあたりをつける笙之介だったが…

 

 

第4話 桜ほうさら

治兵衛から預かっていた戯作本の作者・押込御免郎が

笙之介を訪ねてくる。

治兵衛からすでに亡くなったと聞かされていた御免郎が

笙之介に語った事実は衝撃的なものだった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

500ページ以上の長編、

3年半かけて雑誌に連載された大作で、

宮部みゆきの意気込みを感じさせる作品です。

 

 

作者自身が「家族は万能薬ではありません」と語り、

家族ではない長屋の人々との関りが主人公を救うというところが

そのまま『きたきた捕物帖』に引き継がれていますね。

 

 

本の宣伝文句に

「人生の切なさ、ほろ苦さ、そして長屋の人々の温かさが心に沁みる物語。」

とありますが、まさにその通りです。

 

 

ただ、こうしてあらすじを振り返っていると、

笙之介って、彼が行動するより先に、

事件の方が彼のもとにやって来るよね。

これって、彼が頼りないってこと?

それとも、名探偵の性(さが)?

 

 

第2話の暗号解読、

もっと具体的なオリジナルな暗号の説明があるのかと思ったら、

ホームズの「踊る人形」の焼き直しだったり、

第3話の事件の顛末、

ちょっと私には納得のいかない部分があったり。

それでも、人情味豊かな登場人物の魅力にはまった私。

ミステリーっぽい味付けはあるけど、

作者が書きたいのはこの「人情物」なんだろうなと、納得。

これからもこの手の作品を期待しています。
 

 

さて、タイトルにもなっている「桜ほうさら」とは?


「『ささらほうさらだねえ』とは、南信州や甲州で『酷いめにあいましたねえ』ということ。

『桜ほうさら』とは、この『ささらほうさら』に物語に象徴的に使われている桜をからめた言葉です。物語の中でどう使われているか、ぜひ読んで味わってみてください。」

とのことです。

 

『桜ほうさら』公式サイト

 

 

 

この作品、2014年、NHKの正月時代劇だったそうで、

その時の笙之介の役が玉木宏だったらしいのですが、

ちょっと、玉木宏では落ち着きすぎてて、

未熟な若侍の笙之介の雰囲気ではないな~

神木隆之介君とか、

志尊淳君とか、

そういうちょっと頼りなさげな若者のイメージですね、私は。