茨城味自慢:茨城の「ほうれん草」は周年で栽培されている | ショートシナリオの館

ショートシナリオの館

気ままに会話形式を中心としたストーリーを書いています。

ほうれん草は、西アジアが原産地で、日本には江戸時代に伝わりました。ほうれん草は種類があまり多くなさそうと言うイメージがありませんか。実際にはかなりの種類が存在します。葉物野菜全般にいえることですが、ほうれん草も鮮度が命ですから、多くは大消費地の近郊で栽培されています。点在する消費地の周りには、その土地の気候風土に合った品種が栽培されているのです。今はハウス栽培が盛んで一年中スーパーで見かけますので、旬が分かりにくいですが、もっとも美味しい旬の時期は冬から春にかけてです。理由は、ほうれん草は寒さに強く、冬の寒さを乗り越えると甘みが増すからなのです。でもこれは関東圏を中心とした話で、北海道では6月~8月が旬なのです。茨城県はほうれん草の生産量が全国4位の産地です。2021年度の生産量は16,100トンで、全国シェアは7.4%でした。水戸市、笠間市、常陸太田市などで多く栽培されています。ほうれん草は、ヒユ科の一年草で、葉や茎にはビタミンAやカルシウムなどの栄養素が豊富に含まれています。ほうれん草は、サラダや炒め物、鍋物などに使われるほか、おひたしやスープなどにもなる万能野菜です。ほうれん草の花も食用になります。今回は栄養価が高い万能野菜である茨城県産「ほうれん草」の紹介です。

 

<ほうれん草の品種>

現在では、東洋種と西洋種の交配種が主流ですが、それぞれに特徴があります。

 

1.交配種(中間種):東洋種と西洋種の特徴を受け継いだ品種で、生育が旺盛で

   収量が多く、病害にも強いです。葉の形は剣葉系と丸葉系があります。代表

   的な品種には、アトラス、豊葉ほうれん草、チェックメイトなど。

2.西洋種:ヨーロッパから伝わった品種で、葉が丸くて厚みがあり、葉柄が短い

   です。高温に弱く、夏には花が咲きやすい。葉の食感はしっかりしており、

   加熱調理に向いています。代表的な品種には、ビロフレー、ノーベルほうれ

   ん草など。

3.東洋種:日本に最初に伝わった品種で、葉に切れ込みがあり、葉柄が長いで

   す。低温に強く、冬にもよく育ちます。葉の食味はやわらかく、和食に合い

   ます。代表的な品種には、治郎丸ほうれん草、山形赤根ほうれん草、禹城な

   ど。

4.その他の品種:特別な特徴を持つ品種で、生食や寒じめなどに適したものがあ

   ります。代表的な品種には、サラダほうれん草、ちぢみほうれん草(寒締め

   ほうれん草)、赤茎ほうれん草、雪美菜など。

 

実は、ほうれん草には別の分け方もあります。

①葉が大きくて厚い「大葉ほうれん草」、②葉が小さくて薄い「小葉ほうれん草」、③葉が縮れている「ちぢみほうれん草」などです。味の違いは、大葉ほうれん草は水分が多くてシャキシャキ感があり、小葉ほうれん草は水分が少なくてコクがあり、ちぢみほうれん草は甘みが強くてエグミが少ないとされています。旬の時期は、大葉ほうれん草は冬から春、小葉ほうれん草は秋から冬、ちぢみほうれん草は冬になります。

ほうれん草は種類や味の違いによって、料理の仕方や食べ方も変わってくると思います。ほうれん草は栄養豊富で美味しい野菜なので、ぜひ色々な種類を試してみてください。

 

<世界の「ほうれん草」生産量ランキング>(2021年)

  世界のほうれん草生産量は約2983万トンでした。この内、約2983万トン

  (約92%が中国で生産されています。2位はアメリカの約31万トン、3位は

  トルコの約22万トンを大きく引き離しています。日本は約213900トンで4

  にランクインしています。ほうれん草の生産量は、1961年から2021年の間に

  約10倍に増加しており、そのほとんどが中国の増産によるものです。中国で

  は、ほうれん草は主に冬季に栽培され、餃子や炒め物などの料理に使われま

  す。

<国内の「ほうれん草」の生産量ランキング>(2021年)

  1位は埼玉県22,800t10.8%)、2位は群馬県21,500t10.2%)、3位は千葉県
    18,500t 8.8%)、4位は茨城県17,800t8.5%)、5位は宮崎県13,100t

  (6.2%) でした。・・・関東圏の生産量が多いです。

 

<ほうれん草は露地栽培とハウス栽培ではどちらが多いか>
 

農林水産省の統計によると、2020年のほうれん草の全国の生産量は15万トンでした。そのうち、露地ものは9.5万トン(63.3%)、ハウスものは5.5万トン (36.7%)でした。したがって、露地ものの方がハウスものよりも約1.7倍多く生産されています。

茨城県でも同様で、露地ものとハウスものの生産量の比率は約64で、露地ものの方がやや多いです。ほうれん草の生産量は季節によって大きく変動します。一般的に、露地ものは 11月~2月にかけて旬を迎えますが、ハウスものは一年中栽培できます。

 

<ほうれん草の豆知識>

1.        ほうれん草の栄養素と効果

    ビタミン類:鉄の吸収を助けるビタミンCのほかに、葉酸とビタミンB群など、ミネラルとともに働くビタミンが豊富。不足しがちな栄養素を含み、消化もよい食材なので体質改善にも向いています。

     カロテン:カロテンは抗酸化作用があると言われ、発ガン性物質の毒性を軽減して、がん予防に効果が期待できるほか、動脈硬化を防ぐ作用もあるとされています。またカロテンとビタミンCの相乗的な効果で、肌荒れの防止、かぜ予防にも有効です。

    鉄:「鉄」の含有量は野菜ではトップクラス。鉄は赤血球中のヘモグロビンの合成に必要で、酸素を運ぶ役割をします。ほうれん草に含まれるビタミンCが、鉄の吸収を助けてくれます。また一緒にお肉や魚、卵などの動物性タンパク質を含む食品を食べると吸収率もよくなります。逆にお茶やコーヒーなどに含まれるタンニンは鉄の吸収を妨げるので、一緒に摂取するのは控えたほうがよいかもしれません。

④ほうれん草はとっても栄養価の高い野菜:なにせ100g食べるだけで1日に必

 要なビタミンAやビタミンC のほぼ全量を摂取できるほど。ポパイが食べる

 はずです。

    ほうれん草の根元の赤い部分には骨の形成に関わるマンガンが、また葉の部分にはカルシウムといった日本人に不足がちな栄養素が多く含まれています。体の基礎を作る成長期の子供にオススメの野菜と言えます。

2.ほうれん草にはシュウ酸というアクがあります。アクは茹でて水にさらすこと

   で、溶け出します。アクはカルシウムと結合して体内に吸収されにくくしま

   す。そのため、ほうれん草を食べるときは、牛乳やチーズなどの乳製品と一

   緒に摂るとよいと言われています。現在は品種改良によってシュウ酸を少な

   くした、生食でも食べられる「サラダほうれん草」などが人気です。

3.「寒締め」:ほうれん草は冬の露地ものが夏ものと比べて、栄養価が高く、お

   いしさも上回ります。霜にあたって甘みが増すので、収穫前にあえて冬の寒

   さにあてて栽培したものは「寒締め」と呼ばれ、甘みが強く、うま味の濃さ

   が特徴です。

4.午後2時のほうれん草は栄養価一番:ほうれん草の葉は、下の葉ほど葉柄が長

   くなって、どの葉にも日光が当たるように広がっています。冬の寒さに耐

   え、養分を蓄えているほうれん草は、冬を乗り切る活力源です。そして、

   「収穫するなら午後2時のほうれん草」と言う話があります。朝から日光を

   受けたほうれん草は、午後2時頃には栄養分をタップリ蓄え、そのころ収穫

   した物が栄養価も味も一番だといわれています。

5.品種によっては種まき時期が異なる:秋~冬まき、春~夏まきの品種が多いの

   ですが、中にはほぼ通年種まき出来るものもあります。このため、スーパー

   等で季節問わず購入できるのです。種まき後、約一か月で出荷できます。高

   温期は約30日で収穫可能なため、春~秋の温かい時期だけで45回の作付け

   がされます。もちろん品種を変えて育成時期を調節することも可能です。私

   たちが一年中ほうれん草を食べられるのは、多様化した品種のおかげなので

   す。

6.他の食材との相性:ほうれん草は、魚介類・肉類・乳製品など、ほとんどの食

   材との相性がいいです。ある意味、なにとでも相性が良く栄養価満点の万能

   な野菜です。パスタメニュー、キッシュ、サラダ、鍋、煮もの、お浸しなど

   考えれば色々なメニューに使われていますね。

7.ほうれん草の名の由来:ほうれん草の原産地はコーカサスからイランにかけて

   の西アジア。ほうれん草の「ほうれん」とは、中国語でペルシャ(現在のイ

   ラン)のことを意味します。日本へは江戸時代初期に中国から伝わりました

   が、その際ペルシャからシルクロードを経て中国に伝えられた葉菜というこ

   とでペルシャの草、すなわちほうれん草と呼ばれるようになったと言われて

   います。漢字で一番使われるのは「菠薐草」です。中国ではペルシャを「菠

   薐」と呼んでいたことに由来します。この言葉からほうれん草に変化したよ

   うです。他に「法蓮草」「鳳蓮草」「赤根草」など、正しい漢字として認め

   られたものがあります

8.ほうれん草の花:ほうれん草は雌雄異株という雄花と雌花が別々の株につく植物です。ほうれん草の花期は5月から6月で、花の色は、ピンク、黄色があります。雄花は0.2ミリほどで、雌花も0,5ミリほどと小さい。花は穂状に多数つき、11つの花はとても小さいため肉眼では確認することができません。

9.調理に関するもの:ほうれん草は、葉先からどんどん水分が蒸発してしまうの

   で、鮮度が命です。新鮮なうちに調理することがおすすめです。

 (1)ほうれん草の選び方:

    ①鮮やかな緑色をしている ②葉先がピンとしている(鮮度の目安にな

    る)    葉に厚みがある ④葉脈が左右対称になっている(養分が行き渡っ

    ている)⑤根本が赤くなっている(根本が赤いほうれん草は甘みが強くて

    おいしい)

 (2)加熱時間:ほうれん草には水溶性の栄養素が豊富に含まれているため、長

    時間茹でてしまうと大切な栄養素を損なってしまうだけでなく食感も悪く

    なります。1分程度でサッと手早く茹でるのがポイントです。お鍋にお湯を

    沸かしたら、まずは茎の部分のみを先に30秒くらい浸けてから葉の部分を

    お湯に入れ、数回かき混ぜて取り出します。茹でた後、冷水につけること

    で色やシャキシャキ感を保てますよ!

 (3)茹で方:茹でる時は、根元に十字に切れ目を入れると、土が落ちやすく、

    火の通りもよくなります。

 (4)レンジで茹でるメリット:レンジで茹でれば、お湯で茹でる場合に比べ

    て、栄養素の流出を防げます。ほうれん草の栄養素をしっかり残して茹で

    たいときは、レンジで茹でるのがおすすめです。

 (5)フライパンで茹でるメリット:ほうれん草のアクをしっかり抜きつつ、手

    軽に茹でたいときは、フライパンで茹でるのがおすすめです。
 (6)保存方法:水分が蒸発しやすいので、湿らせた新聞紙やキッチンペーパー

    に包んでビニール袋に入れ、冷蔵庫に立てて保存してください。長期間保

    存する場合は、かためにゆでてから適当な大きさに切り、ラップで包んで

    冷凍します。

 

<茨城県で栽培されている「ほうれん草の品種」について>
 

茨城県では露地栽培そしてハウス栽培で年間を通してほうれん草が栽培されています。当然種まき時期や栽培環境にあった品種を使い分けているので、栽培している品種は多いです。スーパーで見かけるほうれん草は、常に同じに見えますが、季節により品種が違うのです。

生産量が多いのは、タキイ種苗栽培技術の品種です。秋~年内どりには「タフスカイ」や「吉兵衛」、冬どりには「寒兵衛」や「伸兵衛」、春どりには「福兵衛」や「徳兵衛」などが植えられます。「福兵衛」「伸兵衛」「タフスカイ」は多収性と作業性を両立したべと病抵抗性品種です。この3品種を組み合わせることで、周年栽培を可能にしているのです。

 

そして、JAグループ茨城が出荷している冬季限定のほうれん草があります。葉がちりめんのように縮れているので「ちりめんほうれんそう」や「寒締めほうれん草」とも呼ばれています。寒締め栽培という、昔ながらの露地栽培で作物が寒さから身を守ろうとする力を活かした栽培方法で育てられています。通常のほうれん草より栄養価が高く甘みが強くなり、エグミが少ないのが特徴です。

 

<茨城県のほうれん草栽培>
 

秋まき栽培:9月下旬から10月上旬に種まきをしたホウレン草は秋から晩秋にか

      けて収穫が見込めます。

1.        種まき・間引きと畑の準備

肥料をまいて、畑をたがやします。ほうれん草は酸性の土に弱いので、タネを

まく前に石灰で酸性を弱めておきます。また、「うね」をつくって地面より少

し高くしておきます。溝に2cm間隔でタネをまきます。本葉が2枚になったら、

間引いて、株と株の間5cmぐらいにします。

2.管理

本葉が4枚ぐらいになったら、列と列の間をたがやして、雑草をとりのぞき、肥

料をまきます。ほうれん草は若い葉を食べる作物で、雨や風に弱いので、ビ

ニールハウスの中で育てることもあります

3.収穫・調整・出荷

葉が10枚ぐらい、高さ20cmほどに成長したら、根元を切るか、そのまま引きぬ

いて収穫します。

ほうれん草は1ヵ月程度のサイクルで年間45回も収穫できる人気の作物です。

 

是非、茨城県産のほうれん草をお召し上がりあれ!