茨城味自慢:茨城県産「春菊」は信頼の証 | ショートシナリオの館

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冬の鍋物料理に欠かせない存在といえば、春菊を思い浮かべる方も多いでしょう。独特の香り
とほのかな苦みが魅力の葉物野菜ですね。春菊は日本のハーブともいえる野菜で、さわやかな
香りがあります。鍋物やすき焼きに入れると臭み消しにもなり、味に深みが増すことが知られ
ています。春菊は、キク科シュンギク属の多年草の葉物野菜で、地上部の葉を収穫します。
葉物野菜といえば、害虫がつきやすいというイメージがありますが、キャベツやハクサイ、ブ
ロッコリーなどのアブラナ科の植物とは異なり、害虫がつきにくいそうです。原産地は地中海
沿岸で、比較的冷涼な気候を好みます。茨城県は春菊の生産量で全国3位の産地です。2021年度
の生産量は2,728トンで、全国シェアは8.4%でした
。茨城県の春菊は、水戸市、笠間市、常陸太田市などで多く栽培されています
春菊の旬の時期は11月~2月とされ、冬の定番料理の鍋などに入れる人も多いですね。春菊は収穫後の痛みが早いので、大消費地の近郊で栽培されることが多いのです。東京に近い茨城県が産地なのは必然なのですね。ですから、春菊の産地を知って、自分の住んでいる地域の近くの産地の春菊を味わうのが、実は一番新鮮で美味しいのです。春菊は栄養満点な野菜なので、ぜひ旬の時期にたくさん食べて健康になりましょう。今回は茨城県産の春菊を紹介します。
 

<春菊とは>

春菊は、地中海沿岸原産のハナゾノシュンギクが東アジアに伝わり、野菜用として改良されまし
た。キク科シュンギク属の植物で、若い茎葉が食用にされる野菜です。春菊は欧米では観賞用に
栽培されることが多いですが、日本では食用として栽培されています。葉に切れ込みの少ない大
葉(おおば)と、切れ込みのある中葉(ちゅうば)の二種類が主に栽培されます。香りと葉や花
の形から、関西では菊菜(きくな)とも呼ばれます。春菊は、春に黄色い花(時に白い花)を咲
かせることから、その名がつきました。春菊には、β-カロテンやカルシウムなどの栄養素が豊富
に含まれています。β-カロテンは、皮膚や粘膜の健康を保ち、抗酸化作用や視力の維持にも効果
があります。カルシウムは、骨や歯を強くし、神経の興奮を和らげる働きがあります。春菊は、
鍋料理や炒め物、天ぷらなどにして食べることができます。又、花も食用になります。春菊の収
穫時期は、春と秋冬に分かれます。春まきであれば、3~5月に種をまいて、4~6月に植え付けをし、5~7月に収穫時期を迎えます。秋まきであれば、8~9月に種をまいて、9~10月に植え付けをし、10~翌年1月に収穫時期を迎えます。ですから、真夏の8月、9月は端境期でハウス栽培物がわずかに出るだけです。
 

<春菊の品種>

葉の大きさや切れ込みの形によって、主に大葉種、中葉種、小葉種と品種が大別されますが、野
菜としての栽培は葉が厚く味が良い中葉種が主流です。その中葉種は、伸びた葉先を摘み取りな
がら繰り返し収穫する「摘み取り種」と、葉が柔らかく、株ごと収穫する「株張り種」がありま
す。日本において、関東地方では葉の切れ込みが深い中葉種が、茎から摘み取られて出荷されま
すが、関西地方では根をつけたまま出荷されるものが多いです。

(1)大葉種:葉の切れ込みが浅く、大ぶりで丸く肉厚。香りは弱い。日本では関西から九州に
       かけての西日本で多く栽培されています。味にクセがなく柔らかい。関西地方で
       は「菊菜」とも呼ばれ、株ごと収穫することが多い。「おたふく春菊」「 菊之

       助」「大和きくな(中村系春菊)」 など
(2)中葉種:切れ込みの多い細い葉は「中葉」と呼ばれる形で、日本で最も多く栽培されてい
       ます。特に関東地方で多く見られる。葉の切れ込は大葉種と小葉種の間で、香り
       は強く、鍋料理には欠かせない素材です。。中葉種には、側枝が多く発生する株
       張り種と、主枝と側枝を継続的に摘みとっていく摘みとり種があります。関東で

       は摘み取り収穫することが多く、根付きで株ごと抜き取った「株張り」は関西地

       方に多く、「菊菜」とよばれています。「きわめ中葉春菊」「菊次郎」など
(3)小葉種:葉が小さくて切れ込みが深く、耐寒性や耐暑性に優れていますが、生育が遅く、

       収量が少ないため、東北地方の一部の市場に出回るぐらいです。
 

<春菊の生産量ランキング> 2021年

1位は千葉県で4,238 (t)13.1%、2位は大阪府で3,735 (t)11.5%、3位は茨城県2,728 (t)8.4%、4位は群馬県で2,523 (t)7.8%でした。上位4県で40%のシェアで生産しています。
いずれも、大消費地が近いです。輸入品の春菊はなく、冷凍物もほとんどありません。日本の食
文化を代表する野菜と言えますね。
 

<春菊の豆知識>

1.春菊の栄養素:

 (1)豊富なβカロテン:多くのβカロテンが含まれます。βカロテンは、体内でビタミンAに

     変わり、皮膚や粘膜を丈夫にし、抵抗力を高める働きがあり、風邪や肌荒れの予防を

     助けます。ほうれん草や小松菜を上回り、春菊1束(約200g) で1日に必要な量が摂

     取できます。
 (2)ミネラル豊富:骨を生成する上で欠かせない成分のカルシウム、マグネシウム、リン、

     鉄分などのミネラルが豊富で、特にカルシウムは牛乳と同じくらい豊富に含まれて

     います。
 (3)春菊の独特の香り:自律神経に作用し、胃腸の働きを活発にし、胃もたれを解消するな

     どの効果があると言われています。

2.春菊の栄養の効果的な食べ方

 (1)生で食べる:春菊はアクが少ないので、葉の部分は生でサラダに入れて食べられます。

     また、葉の部分は加熱するごとに苦みが増すので、苦みが苦手な方は生のまま食べる

     のがおすすめです。
 (2)鍋で食べる:茹でることで『β-カロテン』の量が2倍になりますので、たくさん摂取し

     たいときはおすすめです。 
 (3)炒め物:「β-カロテン」は油と摂取することで吸収率がアップしますし、生のときより

     もボリューム感が減りますので、たくさん食べて多くの栄養素を取り込むことができ

     ます。また、タンパク質と同時に摂取すると吸収率が上がるので、お魚やお肉と一緒

     に炒めるのが賢い食べ方ですよ!

3.生と茹でたもので、春菊の栄養はどう違う?:
   春菊の生と茹での栄養素を比較しました(可食部100gあたり)。ビタミンA(レチノール

   活性当量)とビタミンKは生よりも茹でたほうが多くなります。葉酸、カリウムは水に溶

   けるので茹でると減ります。

4.関東と関西では栽培される品種が違う:
   九州・中国地方では大葉種(葉の切れ込みが浅く柔らかで、肉厚な種類。クセが少ないの

   で食べやすい)、関西や関東では中葉系(一般的に流通している香りの強いタイプ)、関東

   以北では小葉系と栽培品種にも違いがあります。関西と関東では同じ中葉系ですが、種類

   は異なります。関西の「菊菜」は葉が大きく香りは控えめで、ふんわり柔らかなのでサラ

   ダなど生で食べるのに向いています。
   関東の「春菊」は、葉が小さめで香りが菊菜より強いです。茎が何本かに分かれるので、

   茎を摘み取りながら長期間収穫できますが、だんだん春菊がかたくなってきます。販売形

   態も異なり、関西では根元から株ごと(根付きで)販売されるのに対し、関東は茎から摘み

   取り販売します。実は、春菊は品種や栽培地域で旬の時期が違うのです。

5.春菊は地域によって食べ方や好みが異なります:
   例えば、関西では春菊をあまり食べないという説があります。その理由は、春菊の苦みが

   関西の味覚に合わないということや、春菊の代わりに小松菜や水菜を使うということが挙

   げられます。

6.春菊を夏に見かけない理由:
   主力の中葉種の露地栽培は春まきと秋まきがありますが、8月、9月の夏季には収穫しま

   せん。例えば、青森県八戸市の「阿房宮」は、ハウス栽培されていないものは10月下旬

   ~11月上旬、新潟県の「延命楽」は9月下旬~11月上旬、「ヤグルマギク」は4月~6月

   が流通の時期となっています。そのため、これらの品種を求めている場合は、夏にはスー

   パーに売っていない可能性があります。夏の時期にある春菊はハウスものとなります。

7.春菊の香り:
   春菊の特徴と言えば、まずあの独特の香りです。春菊の独特の香りはαピネンやペリルア

   ルデヒドなどの香り成分によるもので、せきを鎮め、痰を切る作用があります。精神を落

   ち着かせ、気分をリラックスさせる成分が含まれているのは有名ですが、自律神経に作用

   し、胃腸を活性化させるので風邪を引いている時に落ちがちな食欲を増進させてくれる働

   きもあります。

8.香りが苦手の方へ:
   なかなかあの香りが苦手…という方は、一度 50 ℃洗いをしてみて下さい。50℃にしたお

   湯に食材を浸すやり方で、春菊の場合は約 20 秒位そのままお湯につけて洗います。そう

   することによって独特の香りが和らぎ酵素が働きだすので甘味が増し食べやすくなります

   よ。

9.相性の良い食材:
   ・春菊×大豆製品…春菊の香りと大豆のコクのある味わいは相性抜群。
   ・春菊×肉…春菊の苦みと香りと肉のうまみが相性抜群。
   ・春菊×ねぎ…春菊のβカロテンとねぎの香り成分は、風邪予防に。

10.春菊の栄養は、小松菜、ほうれん草とどう違う?
    春菊、小松菜、ほうれん草の生と茹でたものの栄養を比較しました(可食部100gあた

    り)。生の春菊は、ビタミンA(レチノール活性当量)が380gと豊富で、3種の中でも

    最も多く含みます。ビタミンK、葉酸、鉄は、ほうれん草に匹敵するほど含まれていま

    す。茹でたものを比べると、春菊はビタミンKが460μgと3種の中で最多。ビタミンA、

    葉酸、カリウムを、小松菜より多く含んでいます。

11.選び方:
    春菊はピンと張っていて緑色が鮮やかなものが良いです。ツヤがありみずみずしく香り

    が強いものは新鮮な証拠です。スーパーなどでは透明の袋に入っている場合が多いです

    が、その場合は切り口が変色していないか確認しましょう。茎が太すぎず茎の下のほう

    にも葉がよくついているものがおススメです。

12.保存方法:
    春菊は劣化が早いので、早めに使い切るようにしましょう。春菊は乾燥しないよう濡れ

    た新聞紙やキッチンペーパーなどでくるみ、ビニールやポリの袋に入れ、冷蔵庫の中で

    立てて保存しましょう。

13.日本や中国、韓国などのアジア諸国では食用としておなじみですが、ヨーロッパでは菊の

    香りを食用として好まず、花を観賞するものになっていますが、最近は日本食の普及の

    影響でしょうか、生のままトッピングに利用する使い方が増えてきました。

14.春菊の収穫方法なぜ2つあるのか?
    品種によって2つのタイプがあります。株張り型と株立ち型です。株張り型は、株ごと

    収穫するタイプで、春まき栽培に向いています。株立ち型は、摘み取り収穫するタイプ

    で、主枝を摘芯すると、脇芽が伸びてきて何度も収穫できます。株立ち型は、秋まき栽

    培に向いています。収穫方法の違いは、春菊の生育特性によるものです。春菊は、春に

    は早く花が咲いてしまうので、株ごと収穫する方が効率的です。秋には、花が咲くのが

    遅くなるので、摘み取り収穫する方が長期間収穫できます。

15.春菊の栽培は露地とハウス、どちらが多いか。
    春菊の生産量は、露地栽培とハウス栽培の比率は約6対4です。 露地栽培の主な産地は

    茨城県、千葉県、埼玉県など関東地方です。ハウス栽培の主な産地は北海道、青森県、

    岩手県など北海道・東北地方です。露地栽培は、春まきと秋まきができますが、高温や

    日照の影響でとう立ちしやすいので、秋まきが育てやすいです。ハウス栽培は、9月か

    ら10月に播種して、冬場の需要を見込んだ収穫が多いです。
 

<茨城県の春菊生産農家の誇り>

「JAなめがた」がある茨城県南東部は、霞ヶ浦と北浦という大きな湖に挟まれた温暖な地域で、水田地帯と大規模な畑作地帯が広がっています。水はけのとても良い赤土のため、管内では60品目以上もの多彩な農作物が栽培されています。この中で、春菊部会の歴史は古く、30年以上前より各地域で個別に部会が結成されていたそうです。平成元年にJAなめがたとなり合併すると、部会員は一気に396人まで増えました。多くの方が春菊と稲作両方の栽培に携わることから、圃場は2月から5月までは稲の苗を育てるのに使われ、6月から12月には春菊栽培に使用されます。主に栽培されている品種は中葉種の「菊蔵」で収量が多いのはもちろんのこと、葉肉が厚くて軸に甘みがあり食味がよいのが特徴です。作付け面積は全体で60ヘクタール、年間出荷量はなんと500トン以上にもおよび、京浜市場への出荷がほとんどを占めます。
 

茨城県の栽培は露地栽培の直まき方法とハウス栽培の移植方法の2通りがあります。ハウスでは9月上旬から種まきが始まり、約一か月後に定植します。収穫の目安は季節にもよりますが、だいたい30日ほど経過したものが「葉の大きさや茎の長さが均一にそろっている最高の状態」とのことです。11月から出荷がはじまり、なかでも鍋料理に活躍する年末年始が一年で最も忙しい時期です。そのため一日を通して収穫と袋詰めの作業をフル回転で行っています。
 

(1)機械に頼らず、手作業で丁寧に包装
    近年機械化が進む農業ですが、JAなめかたでは春菊は収穫・調整・梱包がすべて手作業

    で行われています。「ここが一袋ずつに目をかけられる良いところでもあり、大変なと

    ころでもある」と農家さんは言います。毎朝収穫してきた春菊を、やわらかなシートの

    上で整え、丸めたシートのまま袋の中へ入れます。袋をトントンと軽く揺らして春菊の

    足を揃え、シートを抜くと包装の完成です。長さが揃っていないと、輸送時の振動で葉

    先が傷んでしまう恐れがあるため、厳しい選別を行います。JAなめがたでは一箱に20

    袋詰めで出荷されます。

(2)安全安心・高品質への工夫
    茨城県銘柄産地の広域指定(行方市、潮来市)の交付を受けています。交付基準は非常

    に厳しく、該当品目の売り上げが年1億円以上、高品質で東京卸売市場の平均単価を概

    ね上回っていることなど細かな条件を満たすことが必要です。そのため、JAなめがたで

    は様々な取組みを行っています。目揃え会で意識の共有をはかるとともに、土壌分析に

    取り組んだり、有機質を利用した「土づくり」に力を入れています。また平成22年か

    らはGAP(農業生産工程管理)にも取り組んでいます。

(3)搬送にも信頼を
    流通の場では消費者まで一貫して鮮度を保ったまま届けるコールドチェーン、多様な

    ニーズに対応するための直接販売店の集配センターへ輸送する直送依頼対応、市場用の

    特別注文への細かな対応をおこない、市場での信頼を得ています。

 

茨城県産の春菊は信頼の証、是非、茨城県産の春菊をご賞味あれ!