書籍紹介:北村陽子著「戦争障害者の社会史」 | すずくるのお国のまもり

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お国の周りでは陸や海や空のみならず、宇宙やサイバー空間で軍事的動きが繰り広げられています。私たちが平和で豊かな暮らしを送るために政治や経済を知るのと同じように「軍事」について理解を深めることは大切なことです。ブログではそんな「軍事」の動きを追跡します。

 

目 次

序 章 戦争障害者の時代
      —— 社会国家のもう一つの源流

  第Ⅰ部 第一次世界大戦へ

第1章 英雄か「怪物」か
      —— 第一次世界大戦までの戦争障害者支援
     はじめに
     1 近代以前の表象と支援
     2 国民軍の創設と民間慈善の組織化
     3 統一戦争期の戦争障害者支援 —— 軍事年金法の拡充
     4 第一次世界大戦前の状況 —— 1906年の軍事年金法改正
     おわりに

第2章 「労働による自立」
      —— 第一次世界大戦下の戦争障害者支援
     はじめに
     1 開戦時の戦争障害者支援
     2 戦争障害者支援の拡充 —— 医療支援
     3 「労働による自立」の貫徹 —— 戦争障害者への就労支援
     4 農村移住
     おわりに

  第Ⅱ部 戦間期

第3章 「帰還者」の相互支援
      —— 戦争障害者の組織化と政治化
     はじめに
     1 在郷軍人会と「キフホイザー同盟」
     2 ヴァイマル期の除隊者・戦争犠牲者の組織化
     3 ナチ党政権下における「合一」
     おわりに

第4章 「生きた戦争記念碑」
      —— 戦争障害者へのまなざし
     はじめに
     1 戦争障害者という呼称
     2 誰が「戦争障害者」か?
     3 戦争障害者の男性性
     4 英雄からパリアへ
     おわりに

第5章 「リサイクル」される戦争障害者
      —— 国家援護の法制化
     はじめに
     1 戦争障害者支援の統合 —— 全国援護法と軍事援護法
     2 戦争障害者の就労状況
     3 経済危機下の戦争障害者
     おわりに

補論1 盲導犬
      —— 戦争障害者のための「支援器具」
     はじめに
     1 戦時下の救護犬
     2 第一次世界大戦下の戦争障害者支援と盲導犬の育成開始
     3 戦争失明者から一般市民の視覚障害者へ
     4 盲導犬に対する社会からのまなざし
     5 ナチ政権下の変容
     6 戦後の再建
     おわりに ——「支援器具」としての盲導犬

  第Ⅲ部 第二次世界大戦から二つのドイツへ

第6章 「戦争障害者は第一の市民である」
      —— ナチ党支配下の戦争障害者支援
     はじめに
     1 「民族共同体」の一員としての戦争障害者
     2 国防軍援護法の制定
     3 労働力としての戦争障害者 —— 戦時動員の一形態
     4 戦争障害者の自己意識と家族の感情
     おわりに

第7章 「受肉した」敗戦の象徴
      —— 占領統治下における再編と変容
     はじめに
     1 瓦礫社会からの出発
     2 戦争犠牲者支援の停止
     3 自主的な戦争障害者支援の展開
     おわりに

第8章 「五つ目の車輪にはならない」
      —— 西ドイツの戦争障害者支援
     はじめに
     1 西ドイツにおける国家援護の要求
     2 戦争障害者への就労支援とその功罪
     3 家族のなかの戦争障害者
     おわりに

補論2 戦争記念碑と戦争墓
      —— 戦争障害者支援の一形態
     はじめに
     1 ドイツにおける近代的な戦争記念碑の発展
     2 第一次世界大戦後の戦争記念碑
       —— ヨーロッパ的な共時性、時代を超えた普遍性
     3 戦没兵士の帰還 —— 戦争墓の設置
     4 「栄誉の碑」設置をめぐる議論
     5 第二次世界大戦後の戦争墓区画の再編
     おわりに ——「栄誉の碑」が表象するもの

終 章 戦争障害者支援からみえてくるもの

 あとがき
 注
 参考文献
 初出一覧
 図表一覧
 索 引