実はF35開発が、日英伊の共同開発の縁らしい。
(日本経済新聞 2022年7月20日 3:09)
【ロンドン=中島裕介】英政府は19日、日本、イタリアと次期戦闘機の開発で協力を強化すると発表した。英政府によるとすでに両国の防衛関係者と3カ国で開発協力できる分野について分析に入っている。年末までに具体的な協力計画を策定する。
日本政府が2035年に自衛隊への配備を目指す次期戦闘機を巡り、日英間では共同開発が進んでいる。エンジン部分は両国企業が共同研究している。協力の枠組みがイタリアにも広がることになる。
英政府は日本とイタリアの両国がともに最新鋭ステルス戦闘機F35を運用し、過去に共同演習を実施したことを協力強化の理由に挙げた。ステルス戦闘機の最先端技術などに関して3カ国の協力を深める。
英政府は3カ国での開発協力に加えて、ステルス機能をテストするための新しい実証機を5年以内に公開すると発表した。日本の次期戦闘機の共同開発を担う可能性がある英航空・防衛大手のBAEシステムズが実証機の開発を手掛ける。イタリア企業とも協力を検討している。
英政府は実証機について「英国では初めての21世紀の技術を使った超音速機になる」と説明している。
イギリスの次期戦闘機「テンペスト」の想像図
次期戦闘機開発については、以前から追ってきたとおり、日本の次期戦闘機開発の主要パートナー国として、イギリスと組むことが報じられてきましたし、またイタリアも、これに加わりたい意向を示していたことも、報道されてきています。
(次期戦闘機開発については、書いてきた記事があまりにも多いので、戦闘機開発に関する記事・リンク版から目的の記事に飛んでください)
これをイギリス政府が正式に発表した格好ですね。
その期待感は、以下の記事を見れば、よりはっきりと分かると思います。
日本も協力しているイギリスの次期戦闘機の開発について、イギリス国防省の開発責任者が「今後も緊密に連携したい」と述べて、日本のさらなる協力に期待感を示しました。
ロンドン郊外で開幕した国際的な航空見本市で、イギリスが開発中の次期戦闘機「テンペスト」の模型が展示されました。
特徴は人工知能の搭載で、敵からの攻撃の方向などを自動でパイロットに知らせるだけでなく、パイロットが搭乗しない無人での飛行も可能になるとされ、今後5年以内に試験飛行を行う予定です。
この戦闘機について、日本企業はこれまでもエンジンやレーダーなどの調査、開発で連携してきましたが、日本とイギリス両政府は共同開発とすることも念頭に、協力のあり方を今年末までに合意する予定です。
イギリス国防省は18日、「日本とどこまで連携できるか検討している」と表明しました。
イギリス国防省 開発責任者
「日本とイギリスは潜在的に非常に良いパートナーだと思う。日本とはさらに緊密に連携していきたい」
両国は、先の日英首脳会談でロシアの脅威を背景に、共同での防衛訓練を円滑に行うことで合意しています。
日テレの動画も見ればより分かりますが、かなり先進的な技術が使われることが分かります。
F35でもパイロットが着用するヘルメットに様々な情報が掲示されることは明らかになっていますが、それをさらに進めてパーチャルリアリティー画面として表示するというのですから、パイロットの状況把握がより分かりやすくなるようですね。
更にはこれを無人機としても飛ばせるというのですから、もう現行の第5世代戦闘機を超える存在として開発しようという、相当な意欲をもっていることが見て取れます。
これを『日本と』共同開発するというのですから、当然日本の次期戦闘機にも採用されるか、少なくとも同じ方向性の技術が用いられることは間違いないと見るべきでしょう。
しかもイギリス国防省の開発責任者が出した発言は、日本と協力関係を深くすることに、鼻息が荒いとさえ感じる発言が出ています。
「今後も緊密に連携したい」
「日本とイギリスは潜在的に非常に良いパートナーだと思う。日本とはさらに緊密に連携していきたい」
これ、相当に日本との協力関係強化が、イギリスの次期戦闘機(テンペスト)開発に深くかかわっているかが分かろうというものです。
エンジンはIHI開発のXF9がベースになる事はまず間違いありません。
また次世代レーダーも日本の技術がベースになるようですし、搭載するミサイル開発も、既に日本のミサイルをベースにイギリスとの共同開発が進んでいます。
引用記事で出てきたVR技術については、イギリスの航空見本市で公開されたものですから、これはイギリスの技術でしょう。
アビオニクス(航空機操縦をコントロールするソフトウェア)については、日本はまだ経験が浅いので、この辺は欧米に後れを取っています。
これをイギリスが高らかに(?)航空見本市で公開した上で、開発責任者が日本との協力関係重視を謳ったのですから、日本に技術開示するつもりと見ていいと思います。
エンジン、レーダー、さらにミサイル技術まで提供されるならば、VR技術の公開をしても、イギリスとしては十分見合うでしょう。
それなくしては、テンペストも飛ばせないのですから。
ブラックボックスなしで双方の技術を公開し、パテントについては正規に双方に支払う。
それならばお互いに有意義な共同開発と言えるでしょう。
期待しつつ、(油断せず)今後も見守りたいと思います。