ようやく種苗の持ち出しを禁ずる法改正が審議へ | 朱雀ひのでのブログ

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日本の優良品種を守る法改正が、ようやく審議入りへ

 

これまでずっと問題になってきた、果物の苗木などの無断海外持ち出しで、海外で無断増殖などをされて、日本の農林水産物の輸出拡大を妨げてきた問題が、ようやく法改正で防がれる方向に踏み出しました。

江藤農林水産大臣は「農家の権利を守る制度で一刻の猶予もない」と述べ、種苗法の改正について、予定どおり今の国会での審議を求める考えを示したと報じられました

(リンク切れの際は、注目記事1339参照)

 

ただ法改正につき、国が登録する品種を農家が自分の畑などで増やす際、開発者の許諾が必要になるため、農家の負担が増えるおそれがあるとして一部の農業関係者から慎重な審議を求める声があると、反対意見も出ているようです。

 

 

長年問題となっていた、日本の品種の海外流出

 

この問題は、今に始まったことではなく、長年問題になっていたことです。

これまでに私は何度か取り上げてきました。

 

対応が遅すぎる、優良改良品種保護対策

 

カーリング選手が食べていた韓国産イチゴで改めて注目される、コリアンの知的財産無断使用、窃盗ぶり

 

注目記事99~カーリング選手が食べていたイチゴのパクリがNHKで暴露される

 

はっきり言いましょう。

検察庁法改正案や国家公務員定年延長法案などより、はるかに重要な法案です。

コロナ対策、景気対策の次くらいには重要な法案だと言えるでしょう。

これによって、日本の農林水産業製品の輸出が拡大できるかどうかが左右されるのですから。

 

 

種苗法改正に反対する勢力の主張は、新種開発者への権利侵害への正当化と同義

 

農家に負担が増えると言って、反対している勢力があるのは事実です。

例えばこんな感じですね。

しかしこの主張は、明らかにおかしいところがあります。

 

 

上記を見ていただければ、分かる人にはわかるでしょう。

江藤農林水産大臣が指摘している『一般品種』は、上の表の左側、青枠で示された部分です。

大臣も指摘していますが、コメの84%、みかん98%の品種が一般品種に当たり、国に登録されている品種というのは、全体から見ればごく少数だという事です。

種苗法が改正されて、無断(海外)持ち出し、増殖が禁止されるのは、右側の赤枠で囲まれた部分のみです。

 

これらは育種家が苦心の末編み出した新品種で、国にパテント申請されているものです。

同様のことは、これら以外にもあります。

 

一般の消費者がそれに触れやすい例を挙げると、園芸植物がいいと思います。

ホームセンターの園芸コーナーや園芸売店などで、花苗や野菜苗、あるいは果樹苗などのラベルを見てください。

その中で『無断増殖禁止』などと書かれているものが、それに当たります。

それは育種家(または種苗会社)がようやく作り出した品種で、国に品種登録して、一定期間パテントを認められた証です。

 

これらについては、個人が楽しむ、または農家が野菜、果樹苗を、許可を受けて生産し、販売するのは良いのですが、無断で種から、あるいは挿し木などから増殖、生産するのは、パテント権利者に損害を与えるから禁止するというものです。

アーティストらの著作物を、無断で複製、販売したり、ネット上に上げることが著作権侵害に当たるのと同じです。

 

無論、そうした新品種を無断で海外に持ち出されて生産され、輸出されてしまえば、日本産の農作物等が輸出する機会を、奪われることにつながります。

それを保護すべき法が今までなかったがために、外国で日本の種苗や畜産、水産資源を元に、外貨を稼ぐ種にされているのが現状です。

 

 

与野党問わず、政治家が怠慢だったから、日本の宝が盗み放題になっていた

 

これを今まで放置してきた政治家たちは、怠慢だったというそしりは免れません。

この問題は今に始まったことではなく、何十年も前からあった問題です。

 

この事で韓国ではイチゴを始め、多くの種苗が無断生産されてきています。

和牛の血統も無断で持ち出され、韓牛として輸出されています。

マグロ(の養殖技術)も、盗まれています。

 

それはシナでもそうですし、和牛の血統が持ち出されて、米国産和牛、オーストラリア産和牛として、既に商品化されてしまっています。

 

これというのも、種苗法についての問題点が、広く理解されていなかったこと。

そして反対派の意見が、一見もっともらしく見えることに問題があります。

 

農家による自家増殖禁止と言っても、先に触れた通り、『国に登録した品種』のみです。

これについては、開発した人(会社)の権利を守るべきです。

 

これに反対するという事は、『新品種でも許可なく自由に増殖させろ』と言っているも同然です。

それでは新種を作った方が、損でしょう。

著作物を無断複製したいという人と、同じ論理です。

その権利など、認めようという方がおかしいのです。

 

 

一般品種が後から国の登録品種になったり増殖禁止になることは、原理的にあり得ない

 

そして江藤大臣が言明している通り、パテントがない(または既に失効した)『一般品種』については、その縛りがありません。

それなのに、一般品種に生産許可が必要になり、『農家の負担が増える』という主張は、始めから成り立ちません。

そのような規定は、盛り込まれないのですから。

 

ちなみに一度登録品種パテントが切れると、再度申請が出来ません。

無論、第3者が一般品種になった品種を、パテント申請しても、却下されます。

パテント申請するという事は、その申請品種が『間違いなく他にない(申請時点で自分以外は生産していない)品種である』という事を証明しなければ、認められないからです。

 

既に一般品種になっているという事は、多くの人が既に生産している以上、『自分以外に生産している人がいない』事を証明することは、不可能です。

だからこの点について批判する人は、始めから論理が成り立たない事を主張しているのです。

 

また遺伝子組み換え表示云々という事を、種苗法にからめて批判する意見もありますが、それは全く別の問題で一緒に議論しようという方が、おかしいです。

遺伝子組み換え表示に関しては、景品表示法等で論じる問題です。

 

 

政治家はこれまでの怠慢を反省し、全会一致で法改正し、一日も早く日本の宝の流出を防げ

 

こうして考えれば、今国会で審議し、法案成立を図るのも、遅すぎるくらいです。

ただこれは、何も安倍政権や与党だけに責任があるのでもありません。

歴代の政権が怠慢だったのは間違いありませんし、問題を放置し、政府を追及してこなかったすべての野党政治家たちも、同罪です。

出来るなら全会一致で、一日でも早く、可決、成立させ、施行し、日本の財産とも言うべき品種を流出させないようにするべきです。

 

一般品種でも、海外流出することに問題があるというのならば、その視点で修正案を出せばいいのです。

例えば原則、海外に持ち出すすべての種苗等は、必ず政府に事前申請し、許可を得たものだけ認めればいいのです。

そして違反者には莫大な罰金を科すとすれば、いいのではないでしょうか?