日本独自のGPS衛星「みちびき」に、米軍の宇宙ごみ監視センサー搭載の問題点 | 朱雀ひのでのブログ

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米国防総省が、宇宙協力で日本に宇宙ごみ監視センサー提供を申し出た

 

アメリカ国防総省は、日本独自のGPS衛星「みちびき」について、今後打ち上げる衛星に、アメリカ製の宇宙監視センサー搭載のための予算を、来年度(今年10月からの米・会計年度)から計上する方針であることが、報じられました

(リンク切れの際は、注目記事1165参照)

 

具体的には、このセンサーは人工衛星や宇宙ごみを探知、追跡するためのものだそうです。

またこれは日米宇宙協力の一環だとしているようです。

そのため、『日米にとって優先度が高く、将来の同盟協力に向けた準備となるものだ』としているようですね。

 

 

増えすぎた宇宙ごみに何も手を打たなければ、近い将来、人類は宇宙に出られなくなりかねない

 

これを言葉通りに受け止められれば、良い事には間違いありません。

宇宙ごみの問題は年々深刻になっており、何も手を打たずにこのまま放置すれば、いずれ人工衛星等の打ち上げが不可能になるとみられています。

無理に打ち上げをしても、打ち上げ軌道に宇宙ごみがやってくれば、せっかく打ち上げたロケット・人工衛星に衝突することになるでしょう。

 

少なくとも秒速8km程度(これ以下のスピードでは地球に落下するので、ありえない)で衝突することになるので、微小な宇宙ごみであっても、被害は甚大です。

何しろわずか1cm程度の宇宙ごみでも、国際宇宙ステーション(ISS)に甚大な被害を与え、当たり所が悪ければ、墜落するとまで見られているのです。

(速度が速い方が衝撃が大きくなるのは、高速道路での交通事故の方が、一般道より重大事故につながっているケースが多いことを見れば、分かりやすいと思います)

 

 

JAXAは打ち上げの際、極力宇宙ごみを出さないように配慮している

 

だから宇宙開発をする国々は、その動きに注意せざるを得なくなっており、宇宙ごみを出さない、減らす方策を模索しています。

 

例えばJAXAでは、打ち上げに使用しているH2A/Bについて、(惑星間探査機などを打ち上げるなど、特殊なケースを除いて)衛星分離後のロケットを減速させて、大気圏に再突入させて処理し、宇宙ごみを出さないように工夫するようになっています。

 

世界の宇宙開発をリードしているアメリカが、それを解決するための一つとして、GPS衛星に宇宙ごみ・人工衛星監視センサーを付けるというのは、GPS衛星に連動させることで監視対象に瞬時に位置情報をつけるためでしょうね。

実に合理的な考え方です。

 

リンク先記事には書かれていませんが、当然自国のGPS衛星には、標準でその装置をつけているのでしょう。

監視する衛星が増える方が、宇宙ごみや人工衛星の位置をより精度を高めて追跡できるようになるでしょう。

 

 

日本の安全保障のためには、アメリカ製センサーをブラックボックスにさせてはならない

 

その意味では、日米が協力する方が、今後の宇宙ごみ管理に有用なデータ取りと活動に役立つでしょう。

もろ手で歓迎したいところですが、合意する前にアメリカに確認するべきことがあります。

 

一つには、そのセンサーの仕様を全面開示し、日本にとってのブラックボックス装置にしない事。

もう一つは、そのセンサー制御のソフトウェアを、全面的に日本に開示の上、アップデートの場合でも、その内容を包み隠さず開示する事。

これが確約できるか、確認すべきです。

 

何もアメリカの軍事情報を求めるべきだという意味ではありません。

他国のセンサーが組み込まれ、日本の衛星の運用に謎の部分を作るべきでないという意味です。

 

 

もし「みちびき」を乗っ取れるバックドアを仕掛けられたら、有事に100年前の技術で戦いを強いられ、一方的なやられ役に追いやられる

 

このセンサーがブラックボックスとして組み込まれ、運用も日本が一切関与できないとなると、いざというときにアメリカが「みちびき」を乗っ取るプログラムを仕込まれるかもしれません。

そうなれば有事にアメリカと事を構える状況が生じた場合や、アメリカが敵対する国を攻撃するために「みちびき」をアメリカの都合の良いように運用したい時に、それが実行されかねないからです。

 

それは万一の可能性でしょうが、いざというときにそれをやられると、日本の安全保障上、重大な事態になりかねません。

「みちびき」を乗っ取られたら、次世代のネットワーク戦闘システムが動かなくされ、近代戦闘が出来なくなることになりかねません。

 

そうなれば21世紀国家と、20世紀前半国家との戦い位の技術格差になり、日本はどの国にも勝てなくなるでしょうね。

いや、それ以前に、一方的なやられ役を演じることになるでしょう。

 

だから日本政府は、安易に首を縦に振るべきではありません。

先に提案したように、提供されるセンサーの技術情報の開示を要求し、少なくともブラックボックスとしての搭載は、拒否すべきです。

 

これを許すことの危険性を、日本政府が認識していると思いたいですが、どうでしょうか?

分かっていても、断れない。

そういう関係を、いい加減卒業していただきたいものです。

安倍政権になって、それを卒業したものと思いたいですね。