マスメディアを通じたアメリカによる次期戦闘機の国産開発断念の機運を高める工作が進行中? | 朱雀ひのでのブログ

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先日の記事、ロッキードからのF2後継機開発提案持ち掛けに対してどう答えるべきか?で、アメリカのロッキード・マーティン社から航空自衛隊の「F2」戦闘機の後継に、米空軍のF22とF35両方を土台にした機体を開発する案を非公式に打診したという報道が、イギリスに本部を置くロイター通信から出た事を取り上げました。

(リンク切れの際は注目記事218参照)

 

この情報を、ロッキード・マーティン社単独のビジネスとして日本政府に提案してきたと見るのは、早計でしょう。

3月5日に朝日新聞から、F2後継機の国産断念へ 防衛省、国際共同開発を検討という記事が出され、それから国産開発方針の情報があまり出なくなり、共同開発が既成事実であるかのような情報が、次々に出るようになっています。

(リンク切れの際は注目記事109参照)

 

防衛省、防衛大臣の公式見解は、3月6日に「国産断念との事実はない」F2後継機開発で小野寺五典防衛相という情報が産経新聞から出されましたが、その方針が公式に変わったという報道は、今のところ出ていません。

(リンク切れの際は注目記事110参照)

 

そこへ来て、日本経済新聞が5月4日付けで次期戦闘機、F22主体 ロッキードが日本に打診という記事を上げました。

(有料記事であるため、注目記事としてはアップしません。ご覧になりたい方は、リンク切れになる前にお読みください)

 

その内容としては、先に示したロイター通信の記事の焼きまわしに近いものです。

記事内容の違いは、トランプ大統領によるアメリカの方針変更で、防衛装備品の輸出を許可する政策転換が行われたことを上げ、加えて北朝鮮問題が絡む中では、日本がアメリカ側の提案を阻むのは難しいとしている点です。

 

またF22とF35をベースにした開発になると、アメリカが開発主体となって、日本側はほとんど開発に関与できないとし、しかもその案が有力であると結論付けています。

 

日経新聞の記事の背景に、ロッキード・マーティン社や、更にはアメリカ政府が絡んでいるのかは、分かりません。

ただ記事の内容と、このところ次々に出てくる報道の方向性を見ると、次期戦闘機開発に妨害工作が入り始める?でも指摘した以下の推論が当たっているのではないかという感触を強くしています。

 

日本が次期戦闘機に関して、国産開発をさせないように情勢作りをしようとしている勢力がいて、メディアに情報を流したのではないか?

 

先に示した3月6日付けの産経新聞の記事を、防衛省、または小野寺防衛相が公式に否定し、国産開発を断念し、共同開発の方針を示したという事実は、今のところ出ていません。

 

それにもかかわらず、日米共同開発が決まったかのように報じる内外のマスメディア。

それが防衛省内水面下の方針をすっぱ抜いたものである可能性は、否定しません。

ただ今のところ、そう断言できる情報が出てきていないことも、また事実です。

 

この状況は、30年前のF2戦闘機開発をめぐっての、日米間のやり取りの中で起きていた、日米政府間の交渉と、それを報じていたメディアの姿勢とダブって見えるような気がします。

あの時も、当初は国産開発方針だったものが、アメリカ政府から完成品の輸入か、共同開発を強くごり押ししてきて、当時の中曽根政権はそれに抗しきれず、F16をベースにした共同開発になったのです。

 

その過程の報道は、日米政府間で水面下の交渉が進むにつれ、だんだんアメリカ寄りの報道を先行して行って、『共同開発やむなし』の世論を導いていた事を思い起こさせます。

あの当時とは全く同じではありませんが、アメリカ政府とその意向を受けた勢力が、詰め将棋の布石を次々に打ってきているような感触を覚えます。

 

ロッキードからのF2後継機開発提案持ち掛けに対してどう答えるべきか?では、私は確かにF22とF35をベースにした共同開発について、『これほどいい話はない』と言いました。

 

ただしそれは、『世界最強の戦闘機と見られているF22のハイパワーと高いステルス性を持ち、F35が持つ高いアビオニクスを持った技術がすべて日本に開示され、戦闘機開発(とその後の生産や販売)に自由に使える』事が条件です。

日本が戦闘機開発の資金を出し、日本の防衛のための戦闘機を作る(または既存機を導入する)事が目的なのです。

 

それが開発する側が他の国にイニシアティブを取られる開発なら、やらない方がましです。

日経新聞が指摘している様に、『アメリカが開発主体となって、日本側はほとんど開発に関与できない』のであれば、日本がお金だけ出して、アメリカ様に戦闘機を開発していただくという形になるという事です。

 

せっかくX-2で戦闘機が開発できるだけの技術があることを実証しながら、何が悲しくて、自国の戦闘機開発に自国の技術者が携われない事にならなくてはいけないのでしょうか?

それでは日本に全く新規開発するメリットがありません。

 

それ位ならば、既存機を買ってくる方が開発費を支払わなくて済む分、ましです。

アメリカがそれをごり押ししてくるのならば、今回は戦闘機開発を諦めて、F35を買い増しすればいいでしょう。

 

F2の共同開発の経緯を振り返ってみても、アメリカはF16という既存機の、しかもブラックボックス付きの技術供与しかしませんでした。

更には戦闘機を飛ばすためのアビオニクス技術は頑として提供しなかったため、結局独自開発してF2に載せました。

 

逆に当時は日本独自の技術だった、AESAレーダー、ステルス塗料技術、炭素繊維一体成型技術などが、無償でアメリカに流出しましたので、日本側は不平等感を相当感じ、今も遺恨に感じている関係者は多いと聞きます。

 

もっとも結果論ですが、それによって日本は比較的高度なアビオニクス技術を取得する事が出来、一応世界水準近くに達する戦闘機を完成させることが出来ましたので、悪い事ばかりではありませんでしたが。

 

先の記事で私が掲げた『共同開発する場合の条件』を、以下に再掲します。

 

1.戦闘機の共同開発するにあたり、持ち込まれる技術に関しては、すべて開示し、その開発、生産、その後の改良やアフターケアでの利用に対して、一切の制限を加え無い事。

2.それをロッキード・マーティン社、アメリカ政府、アメリカ議会が認めること。

3.共同開発に際して持ち寄られた技術に関しては、双方が戦闘機生産時、改造、アフターケア時、更には別の戦闘機等の開発等に用いる場合には、相手方のそれに関するパテントを、それぞれが正規に支払う事。

4.それぞれの技術に対するパテント料は、戦闘機開発終了時までに、双方が話し合って決める事。

5.開発された戦闘機に関して、生産、改造やアフターケアについてはもちろん、輸出を行う場合であっても、一切の制限を加え無い事。

6.輸出する際の技術流出に関しては、必要であれば双方間で協議し、輸出する国別にそのレベルを決めるものとする。

ただしあくまで技術流出を防ぐ観点のみで協議を行い、不当に輸出制限する協議であってはならない。

7.戦闘機開発に際して使用する技術は、日本政府と開発担当者(企業)の主体的判断で決められるものとし、共同開発国(この場合はアメリカ)の意向で左右されないものとする。

8.以上の項目に関して、将来にわたり、それを違えない事を確約すると、契約書に盛り込む事。

それを行ったことを、ロッキード・マーティン社、アメリカ政府、アメリカ議会それぞれが公の場で宣言すること。

 

 

これを要求し、一項目でも拒否するようなら、その提案は蹴るべきでしょう。

正式にロッキード・マーティン社、またはアメリカ政府から共同開発を持ち掛けられたら、日本はこういう方針で行いますと、公表すべきでしょう。

 

アメリカの思惑を排し、国産開発か日本主導でしかも上記の条件に沿った共同開発を日本政府が押し通せるようにするには、何といっても私たち日本国民の後押しの声の大きさです。

 

世論調査からは読み取れないものの、実は大多数の国民に支持されている事を安倍政権が気づいているからこそ、歴代政権がなしえなかった様々な方策が実行できるようになっている事は、皆さんも感じていらっしゃることでしょう。

 

それと同じで、私たち日本国民の大多数が、戦闘機の国産開発を支持している事、アメリカによる30年前の様な理不尽な『協力』ならいらないという意見が、多くの国民の中で支持されている事を、日本政府に聞こえるようにこの情報を拡散すべきと考えます。

私たち日本国民の意見が、日本政府を動かしたとなれば、アメリカも30年前の様な振る舞いはやりづらくなるでしょう。

 

そしてあまりに理不尽なら、直接アメリカ政府機関に私たちの意見を伝えるのも、一つでしょう。

もう4年ほど前になりますが、安倍総理が靖国神社参拝した時に、アメリカ大使館のFBが『失望した』というコメントを出して抗議の書き込みが1000件以上殺到、炎上したという事件が発生した事があります。

 

その当時に、日本人のパラダイムシフトが始まるかという記事で、多くの日本国民の声を代弁したと見られるアメリカ大使館FBへの書き込みを紹介しました。

恐らく書き込まれた内容を精査して、多くの日本国民を敵に回した事に気づいたのでしょう。

 

その時急に、アメリカの国務省が釈明ととれる記者会見を行ったのです。

日本国民を敵に回すことは、得策ではないと判断したと見てよいでしょう。

まして民主主義の守護者を気取る、アメリカの事です。

民衆の多数を占める意見に耳を傾けない、あるいは無視するという選択肢はありません。

 

アメリカが日本の戦闘機開発に共同開発をごり押しし、かつアメリカ主導の開発で、日本側に技術を開示せず、アメリカの国益ばかりの開発にしようとするならば、私たち日本国民が立ち上がってアメリカに抗議すべきでしょう。

かつ日本政府に、そんな不利な条件の共同開発ならば、初めから戦闘機開発を止めるように意見を寄せるべきでしょう。

 

アメリカなどの外国との共同開発をせず、国産で駄作機しか開発出来なくとも、その方がはるかにましです。

アメリカ主導の開発にしかならないならば、F2の開発時の事例から言って、結局は世界水準に少し及ばないレベルで、しかもブラックボックスだらけの、何が仕掛けられているか分からないものしか作って寄越さない可能性が高いでしょうから。

それでは切羽詰まった有事の際に、パイロットが安心して命を預けられる機体にはならないかもしれませんから。

 

そういう意志を多くの日本国民が持っていると伝わったならば、アメリカもこれまでの様な不誠実な対応は、やりにくくできるでしょう。